ラストメッセージ 偉人たちのことば

ラストメッセージ 偉人たちのことば

お知らせ

【放送日時】
2016年5月30日(月) よる7:00~8:54再放送

番組概要

類まれなる才能を発揮して、昭和という時代を彩った偉人たち。
遺された“最後の言葉”には、これまで表舞台では語られなかった素顔や真実が隠されていた。
俳優・渥美清。作家・山口洋子。マラソンランナー・円谷幸吉。女優・太地喜和子。
刻まれた言葉は、現代を生きる者にどのようなメッセージを伝えているのか?
発掘される貴重な遺物をたどりながら彼らが生きた“時代”を浮かび上がらせる。

そして、波乱に満ちた人生ドラマに厚みを加えるのは、名優による朗読劇。
今回は、“こだわり派”の俳優として、独自のキャラクターを築きあげる髙嶋政宏と昨年、歌手デビュー30周年、歌だけでなく作詞も手掛け、女優としてNHK大河ドラマに出演するなどマルチな活躍を続ける斉藤由貴が偉人たちの言葉に命を吹き込む。

寅さんこと渥美清、本名・田所康雄は、およそ20年前の1996年8月4日に転移性肺がんでこの世を去った。自らの死期を悟った時に語られた「俺のやせ細った死に顔を他人に見せたくない。」という言葉は、最期まで“寅さん”として生きた男の人生そのものだった。死後発見された手帳に「家族で旅行に行こう。ギョウさんも一緒に…」とつづられ、自他ともに認める数少ない親友である脚本家・早坂暁は“ある時期”から俳句に傾倒していった渥美の素顔を証言する。
渥美の俳号は“風天”。早坂は、俳句の中にこそ、寅さんではない渥美清という男の人生の機微が遺されていると語る。辞世の句として詠まれた言葉には、どのようなメッセージが込められているのか…?

昭和という時代に銀座で輝いた女、作家・山口洋子は、自らの人生を振り返るような小説を数多く書き上げ、直木賞作家となった。2014年に77歳の生涯を閉じる間際に書き上げられた本には、老いとは何かを考察しながらも、女として充実した人生を送るための極意ともとれるメッセージがしたためられていた。昭和30年代の銀座においてトップクラスのクラブとして名をはせた山口の店「姫」。店のホステスとして働いていた田村順子さんは病床の山口にかけられた言葉を証言する。「ママは、昭和という時代を愛した女。昭和が終わった時の寂しさは男を失ったときと同じだった…。」山口が作詞した石原裕次郎の遺作「北の旅人」の自筆詞や盟友・平尾正晃さんの証言を重ねながら、山口洋子のラストメッセージに迫る。

そして、1964年(昭和39年)に開かれた東京オリンピックで日本陸上界唯一のメダルを獲得しながらも、3年後に自殺したマラソンランナー・円谷幸吉。ストイックな青年が伝えたかった思いを遺書に綴られた言葉から読み解く。遺族の一人である兄・喜久造さんは、見ることを避けてきた弟の遺書に初めて目を通す。家族への遺書の最後に綴られた「幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました。」の言葉に悔し涙を流しながら弟・幸吉の人柄を証言する。おもむろに取り出したのは、弟がオリンピックのために諦めざるをえなかった幻の結婚式のスケジュール。そこに、秘められた悲劇の真相があった。そして、幸吉が両親と共に眠る十念寺へ…。兄・喜久造さんは悩みや相談事があると話をするためにやってくる。4年後に迫った2度目の東京五輪。日本スポーツ界に教訓として刻まれた円谷幸吉の思いに迫る。

今も数々の名優を世に送り出す老舗劇団・文学座において、20年以上封印されてきた演目がある「唐人お吉」。伊豆・下田を舞台に外国人の妾となった女性の内に秘めた葛藤を描きながら非業の死を遂げる物語。最後となった舞台で主人公・吉を演じたのが女優・太地喜和子。与えられた役を体当たりで好演して、数々の伝説を生んだ、昭和を代表する女優である。太地がそれまでにない情熱を傾けた舞台「唐人お吉」において、舞台監督を務める予定だった男の証言と最後の台本に綴られた太地の言葉を紐解きながら、女優・太地喜和子として生きた女が遺したメッセージに迫る。公演期間中に、まるで主人公・吉の思いが憑依したかの如く下田の海で亡くなった女優魂とはいったい何だったのか…?そして今、文学座の後輩に受け継がれた太地の生きざまを浮かび上がらせる。