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#384

五代目尾上菊之助(歌舞伎俳優)

ゲスト×インタビュアー
五代目尾上菊之助(歌舞伎俳優)× 小島慶子(タレント、エッセイスト)

1977年8月1日、七代目尾上菊五郎の長男として生まれ、1984年2月に歌舞伎座「絵本牛若丸」の牛若丸で六代目尾上丑之助を名のり初舞台。1992年には、祖父梅幸、父菊五郎とともに歌舞伎座で「京鹿子三人道成寺」を踊り、大きな話題を集める。1996年5月、歌舞伎座「白浪五人男」の弁天小僧、「春興鏡獅子」の小姓弥生で五代目尾上菊之助を襲名。「本朝廿四考」の八重垣姫(2000年)など女方の大役を次々と勤める。
これまで多彩な役を演じてきたが、とりわけ評判を得たのが「女方」。その美貌と可憐さ、そして美声は多くの観客を唸らせ、菊之助は若女方として名声を確かなものにする。あの歌舞伎界屈指の女方・坂東玉三郎とも舞台に立ち、薫陶を受けてきた。しかしその評価に胡坐をかくこともなく、立役、つまり男役にも踏み出し、更には映画、テレビ、舞台…と外に世界にも打って出る。中でも、あの世界的な演出家、蜷川幸雄とタッグを組み、シェイクスピアの「十二夜」の歌舞伎版を手掛けた「NINAGAWA 十二夜」は、大きな話題となり、数々の演劇賞を受賞した。
2013年には、中村吉右衛門の四女、瓔子さんと結婚。3人の子宝に恵まれ、一昨年には長男・和史君が初お目見得を果たすなど、公私ともに順風満帆、非の打ちどころがない華麗な歩みのように見えるが、実は本人は人知れず「音羽屋」という名門の重圧と戦い、常にギリギリ、崖っぷちの毎日を送ってきたという。
歌舞伎の世界では、積み上げてきたものが開花し始めるのが40歳過ぎ…などと言われることがある。まさに今、脂がのり始めた時。家族の秘話から女方の悩みまで…名門を背負って立つ男の胸の内を余すところなく、聞いた。