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深野晃正 (釣りしのぶ工房「萬園」)

エアコンや扇風機の無い江戸時代、人々はどうやって真夏の暑さをしのいでいたのでしょうか?当時の暮らしを偲ばせる「江戸の粋の極み・涼の工芸品」があります。青々とした葉がひらひら揺れる「釣りしのぶ」。江戸っ子たちは夏になると軒に吊るして、家々に涼を呼びこんでいたのです。歌川広重も浮世絵「音曲町繁花の商人」にその涼しげな風情を描いています。かつては沢山あった釣りしのぶ工房も、今は東京では1軒だけ。江戸川区の「萬園」の2代目深野晃正さんが、家族で年に3000個ほど作り、貴重な「涼の工芸品」を今に伝えています。「しのぶ」とは樹木に着生するシダの一種。割り竹や木炭・杉板などをコケで包み込み、その上に芽が出る前の「しのぶ」の根をはわせ、銅線を使って灯篭や井げたなど様々な形に組み上げていきます。井げたは井戸の水がコンコンと湧くが如く、商いがうまくいくようにという縁起物。江戸庶民の願いを深野さんは伝えています。その一方で深野さんは時代に即した新たな釣りしのぶに挑戦。例えば金魚をあしらった釣りしのぶは、地元江戸川が金魚の名産地であることから発想したものです。また美大生とコラボして新しいデザインを試作するなど、76歳になっても深野さんの挑戦に終わりはありません。釣りしのぶ作り一筋の深野さんの味あるコトノハから、江戸の人々の粋な暮らし方も学びたいと思います。

深野さんの仕事をもっと知るには・・・
https://ameblo.jp/tsuri-shinobu/