ふしぎの深海で大発見!~密着!ジャムステック最新研究 地球生命のナゾに挑む~

ふしぎの深海で大発見!~密着!ジャムステック最新研究 地球生命のナゾに挑む~

お知らせ

【放送日時】
2016年12月25日(日)よる9:00~10:54放送

番組概要

深海研究で世界をリードしている「海洋研究開発機構(通称:ジャムステック)」の最新調査現場を取材する、BS朝日“深海シリーズ”。第4弾では、ジャムステックの研究者の現場を、水中写真家・中村征夫が訪問。世界初となる実験の数々を、独占で初公開します。
深海の研究は、現代の私たちの暮らしに直結するものもあれば、遥か昔、地球生命が誕生した謎をひもとく調査まで、多岐に及んでいます。人類は未知なるフロンディアへの挑戦を繰り返しますが、深海研究の歴史は、水圧が高く光の届かない世界に到達するための探査機開発の歴史ともいえます。特に日本は世界記録を誇る探査機を数多く開発してきたのです。そんな探査機開発の歴史も振り返りながら、歴史的に貴重な深海映像を紹介します。

■出演 中村征夫(水中写真家) ほか

放送内容

地球生命の限界を探れ!

地球生命が生息できるのは、いったい何度までなのか―。地球の中心には核があり、海底からその中心に行けば行くほど、温度が高くなっていきます。では、地球の生物はいったい何度まで生息することができるのか? その限界を探る国際研究がジャムステックによって行われています。地球深部探査船「ちきゅう」が高知県室戸沖で海底の地層を掘削し、その地層の中に生物がいるかどうかを調査。もっとも温度が高い場所で生息することができる地球生物の存在を確認しようというものです。
「ちきゅう」は2016年9月、静岡県・清水港を出港。今回の調査ポイントは高知県室戸沖。水深約5000mの海底から1200mまで掘り進んだ付近です。室戸沖は極地的に熱流量が高く、海底下1200m付近では、摂氏130度にまで到達すると予想されています。現在、調査の結果として判明している「地球生命が生息する温度の限界」は摂氏122度なので、この室戸沖の調査で生物が確認されれば、生命の生息温度の限界を更新することになります。
「ちきゅう」は海底下1200m付近の地層の採取に成功! すぐさま船上のヘリポートから陸の研究施設へ輸送され、スーパークリーンルーム(菌が非常に少ない空間)で地層を管理し、その中に生物(微生物)がいるかどうかを観察していきます。
番組ではその調査に密着! 微生物が発見されれば「世界初」の快挙となります。果たして、その結果は!?

深海の生態系ピラミッドを明らかにせよ!

生き物たちの生態が目に見える陸とは違い、人間が行くことのできない深海における生態系ピラミッドは謎に包まれていて、よく分かっていません。そんな深海の生態系ピラミッドを明らかにすることもできる装置を開発したのが、ジャムステックの大河内直彦博士です。サンプルとなる深海生物の化学組成を詳しく解析することで、そういった生物が何を食べて生きているのかが明らかに。世界で最も感度の高い装置で、非常に小さなものまで測定できます。
大河内博士はこの装置をさまざまな分野で活用しようとしています。1億年前に海底で堆積したヘドロを分析し、石油の起源生物を明らかにしました。深海の最先端研究、その驚きの成果を紹介します。

深海には現代社会のヒントが詰まっている!

深海生物を模倣し、その生態を現代社会に活用しようという研究を行っているのが、出口茂博士。「海綿」は無脊椎の多細胞生物の一種で、世界中のあらゆる海に生息しています。胃や腸などの消化器、脳などの器官を一切持ちませんが、体の中に張りめぐらされた水路を持ち、体表にある小さな穴から海水を水路に取り込み、海水に含まれる餌や酸素をとりこみ、使い終わった水を大きな穴から吐き出しています。出口博士はそんな「海綿」の水路に着目し、CTスキャンにかけて研究を行いました。その結果、「海綿」の体内には水路がびっしり張りめぐらされていて、1つの穴がふさがったとしても別の穴に水が流れ込み、全体の流れは断絶されないということが分かったのです。
「海綿」の仕組みを解明することで人間社会に応用ができる、と出口博士は考えています。例えば、都会の交通システムなど。一カ所が停電すると壊滅的な被害へと広がりますが、「海綿」の仕組みを応用すればそれを回避できるのではないかと研究を続けているのです。ほかにも、海底温泉の仕組みを模倣して、水と油を混ぜる実験に成功するなど、深海を学ぶことは人類の快適な暮らしを生み出すことにもつながるのです。

未知なるフロンティアへの挑戦!深海研究の歴史

人類の歴史は、フロンティア開拓の歴史といっても過言ではありません。新しい世界を見たい欲求が、科学者たちの開発心をかき立ててきました。深海への憧れもその一つです。
深海への挑戦は紀元前から始まっていたといいます。大帝国を築いたアレキサンダー大王が、ガラスのたるに乗って巨大生物を見たという伝説が残っています。1900年代になると、各国が競って深海調査のための機器を開発、しのぎを削る時代に。そして1981年、ジャムステックは文字どおり、水深2000mまで潜ることができる有人潜水船「しんかい2000」を開発。ここから深海研究においてジャムステックが世界をリードする時代が始まります。
今回、水中写真家・中村征夫がその探査機の歴史を追体験。「しんかい2000」に始まり、現在の有人潜水船「しんかい6500」。その最先端技術を維持するための舞台裏に潜入します。さらに、無人探査機から深海で自律して調査する探査機まで、日本が誇る深海研究技術を一挙紹介します。