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過去のゲスト

#143

末續慎吾

今回のゲストは、日本陸上競技界のレジェンド・末續慎吾さんです。2003年、世界選手権パリ大会の200mで、日本短距離史上初のメダルとなる銅メダルを獲得。08 年北京五輪の4×100mリレーでも、日本トラック種目史上初のメダルとなる銀メダルを獲得するなど、次々と歴史を塗り替えてきました。

日本中が歓喜に沸いた北京での快挙。しかし、そのことで「価値観が崩壊した」と末續さんは振り返ります。それは「メダルを獲ったのに嬉しくなかった」から。強すぎる使命感を帯び、「負けたら帰れない、戦争のような」心境に陥っていたそうです。ただ苦しいだけだった陸上。末續さんは一度、競技から距離を置くことを決断しました。その先に待っていた、選手として、そして人としての変化に迫ります。

現在40歳。末續さんは今、「自由」を感じながら走ることを楽しみ、オリンピックを目指しています。そして最近は「スポーツは勝ち負けだけを問うものではないのではないか」という考えに至っているそう。きっかけは2017年、9年ぶりに出場した日本選手権でした。結果は最下位。周囲からも「残念でしたね」と気を遣われましたが、本人の胸には意外な感情が芽生えていたと語ります。

現役を続ける一方で、経験や知識を文章で次の世代に伝えています。それは、自分自身にも影響を与えています。「感覚的なことを言葉にする。そうすることで、理解も深まるし、フィードバックもできる。主観と客観がマッチすると、思考が生まれてくる」。そんな末續さん、近頃は走り方で性格が分かるようになったそうです。指をピンと伸ばしながら走る“末續タイプ”の性格とは?

Shigeki Yamamoto/Number