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#112

熱中ゲスト:歌舞伎俳優 中村 吉右衛門

歌舞伎俳優 中村 吉右衛門

人間国宝の中村吉右衛門さんをゲストに招く。
東京生まれ。4歳で初舞台を踏み、祖父である初代中村吉右衛門の養子になる。その後、わずか10歳で初代が亡くなってから、吉右衛門さんの跡を継ぐことへの長い戦いが始まる。
様々な葛藤を乗り越えてきた吉右衛門さんの歌舞伎に対する情熱を伺う。
そして初代の芸を伝え残したいと始めた興行「秀山祭九月大歌舞伎」にかける思いとは…。
また愛するお孫さんの話では、目じりが下がり、思わぬ本音も漏れてきた。

4歳で初舞台 初代吉右衛門の養子に

祖父が初代中村吉右衛門、父が松本白鸚、兄が松本幸四郎という歌舞伎一家。生まれる前から初代中村吉右衛門の養子になり、その芸を受け継ぐことを決められていたという。4歳で初舞台を踏んだが、今の吉右衛門さんからは想像がつかないようなやんちゃな一面があったという。初代の家と実家の二つの家を行き来する生活の中で、少年ならではの微笑ましいエピソードも明らかに…。そして10歳の時に初代が亡くなり、実父松本白鸚の指導も受けながら初代の芸を受け継ぐ修行の日々、息抜きになったのは音楽や絵を描くことだったという。
大学生の時には「役者をやめてフランスに留学したい」と父松本白鸚に伝えた際に、父の予想しなかった反応に改めて気付かされたこととは…。そしてフランス行きの思いには吉右衛門さんの恋が隠されていた。
初代の芸を継ぐことと、2つ違いの兄松本幸四郎さんへの当時の思いなどを伺った。

22歳で襲名 「芸を受け継ぐこと」とは…

1966年、22歳で二代目中村吉右衛門を襲名。子供の頃に母親代わりだったばあやの言葉などに背中を押された。ここから初代の芸を継ぐことへの長い戦いが始まる。吉右衛門さんに聞く「芸を受け継ぐこと」とは…。先人を真似ることから始まり芸を身に着けていく歌舞伎の世界で、「真似」と「物真似」の違いを聞いた。吉右衛門さんが出した答えとは…。
そして昔と今の歌舞伎界の違いが稽古時の面白いエピソードで明らかに…。
歌舞伎の敷居を低くして多くのお客さんへ足を運んでもらいたいとの思いから全国の小学校を回り、その楽しさも伝えてきた。2011年には67歳で人間国宝に認められた。
吉右衛門さんの歌舞伎への尽きることがない情熱に迫る。

支度風景に密着 全国巡業と「秀山祭九月大歌舞伎」

2017年はおよそ30日の巡業をした吉右衛門さん。今回、新潟の巡業地へ同行し、支度風景に密着。隈取の真剣なまなざしを見て、舞台前に思うことなど鴻上、進藤が聞いた。中でも驚いたのは着替えでの衣装の重さだった。73歳で舞台に立ち続けるパワーの源とは…。
そして2006年から始めた初代の俳名を冠した「秀山祭九月大歌舞伎」
今年の演目「幡随長兵衛」と「ひらかな盛衰記 逆櫓」の見どころを語った。激しい歌舞伎の動きに鴻上から感嘆の声が…。吉右衛門さんを支える多くの人の心を捉え魅せる歌舞伎の真髄とは…。

四女瓔子さんと尾上菊之助さんの結婚 孫和史くんへの思い

2013年に四女瓔子さんと尾上菊之助さんが結婚。当時両家の父、尾上菊五郎さんと吉右衛門さんを交えた4人の婚約会見が話題になった。菊五郎さんがこの縁談を聞いてあまりに驚いて語った言葉とは…。これにはスタジオも爆笑。そして娘瓔子さんが会見で語った父吉右衛門さんの反応に対して、本人はおもわず「違う!」と否定。その内容とは…。
現在3歳になる孫和史くんの話になると思わず吉右衛門さんの目じりが下がった。そこで意外な本音が漏れた。その微笑ましい姿にスタジオでも暖かい笑いで包まれた。

熱中世代からの質問 自作絵画「法治国家日本」を披露

「連獅子など演じる役柄に年齢制限はありますか?」、「休日は何をしていますか?」という質問に答える。演じることと年齢の話では、60代70代と年を重ねる中で気付いたことを語った。そして少ない休みには、絵を描いて過ごすこともあったという。今回自作絵画「法治国家日本」を披露してもらった。描かれているのは最高裁判所。この意外な題材は
歌舞伎の会場、国立劇場の近くにあることからだという。その場でスケッチしたという絵には、日本に対するメッセージが込められていた。
吉右衛門さんの貴重なプライベートが垣間見えた。

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中村 吉右衛門(歌舞伎俳優)
1944年5月22日、八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)の次男として生まれ、母方の祖父である初代中村吉右衛門の養子となる。1948年6月東京劇場『御存俎板長兵衛』の長松ほかで、中村萬之助を名乗り初舞台。1966年10月帝国劇場『祗園祭礼信仰記 金閣寺』の此下東吉ほかで二代目中村吉右衛門を襲名。2011年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。日本芸術院会員。歌舞伎界を代表する立役。2006年から初代吉右衛門の功績を顕彰する初代の俳名を冠した「秀山祭」を行っている。松貫四の作者名で自ら筆をとるなど幅広い活躍をみせる。