奇跡のピアニスト 辻井伸行 ビートルズの街で弾く至高の旋律

奇跡のピアニスト 辻井伸行 ビートルズの街で弾く至高の旋律

お知らせ

番組概要

あくなき挑戦を続ける奇跡のピアニスト・辻井伸行。今回は、ビートルズを生んだ音楽の聖地・リバプールの名門オーケストラ「ロイヤル・リヴァプール・フィル」と初共演! ピアノ協奏曲史上屈指の難曲に挑戦する。さらに、ジョン・レノンの旧家などビートルズゆかりの地へ。

2009年、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに日本人として初めて優勝して以来、国際的に活躍しているピアニスト・辻井伸行。
去年はフェスティバルホールのこけら落し公演で佐渡裕指揮のBBCフィルと共演、巨匠アシュケナージとの日本ツアー、そしてベルリンフィルのホールでの初リサイタルと次々に実績を積み重ねてきた。そして、今年11月。かつてない大曲に挑んだ。ビートルズを生んだ音楽の聖地・リバプールに1840年創立され、175年の歴史を誇る名門オーケストラ「ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団」と初共演。指揮者は世界のクラシック界が注視する若手指揮者、ヴァシリー・ペトレンコ、そして演奏する曲はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」でピアノ協奏曲史上屈指の難曲といわれる作品だ。ラフマニノフのピアノ協奏曲2番でヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの優勝を勝ち取った辻井伸行が5年の歳月を経て、満を持しての初挑戦となった。さてその成果は・・・?
番組は、リバプール公演に密着。さらに英国の重要文化財となっているジョン・レノンの旧家を訪問して、少年時代の足跡をたどる。今回、辻井の訪問を受けて、特別に内部の撮影が許された。そのほか、ビートルズストーリー(博物館)など、ビートルズゆかりの地も訪ねる。
去年のベルリンフィルでのリサイタルではショパンやリストの新曲が披露されたが、今年もピアノソロの新曲に挑み、ラヴェルの「夜のガスパール」やショパンの「バラード第4番」などの大曲を発表。
今回辻井は、あえて難曲に挑んだ。中でもラヴェルの「夜のガスパール」は演奏時間が20分。さらに、第3曲「スカルボ」は演奏技巧上、最高難度の曲を目指して作曲されという。また「バラード第4番」はショパン晩年の曲で、彼の作曲技法が譜面に尽くされており、最も演奏が困難とされる作品である。
ラフマニノフもラヴェルも、音の膨大さと複雑さにかけてはピアノ音楽の歴史にそびえ立つ断崖絶壁のような存在。辻井自身、「今回は大変だった」と言いつつも、コンサートでは難しそうなそぶりを見せず、鮮やかに弾き切る。その姿が、聴衆を技巧の向こうにある真実の感動へと誘う。これこそ、世界中から招かれ、喝采を浴びつつける理由だ。

2015年1月に公開される映画『マエストロ!』ではエンディングテーマ曲を作曲した。映画音楽の作曲依頼は『神様のカルテ』『はやぶさ』に次いで3作目。海外公演や日本ツアーの合間をぬって作曲にも精力的に挑戦する辻井。10月には3年ぶりとなる自作アルバムのレコーディングも行われ、今回はピアノソロのほか、オーケストラが入った曲も用意された。常に果敢に挑戦する辻井伸行にBS朝日のカメラが独占密着取材。その全貌を開局15周年となる2015年元日にお届けする。

【PROFILE】
辻井伸行(つじい・のぶゆき)
1988年9月13日東京に生まれる。生まれてすぐに全盲と判明するが、音に対する感覚が非常に敏感であった。1歳3カ月でピアノを弾き始め、4歳から正式に習い始める。
1999年、全国PTNAピアノコンペティションD級で金賞受賞。アメリカ・カーネギーホール、ロシア・モスクワ音楽院ホールで演奏するなど、国際的な場でも活躍、高い評価を受ける。
17歳の時、史上最年少でポーランドの「ショパン・コンクール」に出場し、批評家賞を受賞。
2009年6月、アメリカ・テキサス州で開催された、世界最高峰のピアノコンクールであるヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人として初めて優勝。名実ともに世界的なピアニストとして認められる。