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#53

“Athlete” 土田和歌子(パラトライアスロン・車いすマラソン)
“With” 髙橋慶樹(夫・コーチ)

パラスポーツ界のレジェンド・土田和歌子(45)。
パラリンピック出場回数は、夏と冬合わせて、なんと7回。日本人で初めて、夏・冬パラリンピックで金メダルを獲得し、20年以上、車いすマラソンの舞台でも活躍してきた。
 
そんなレジェンドが、3年前から、新たな挑戦に始めたという。
それは、パラスポーツの中で最も過酷な競技とされる「パラトライアスロン」。
スイム(0.75km)・バイク(20km)・ラン(5km)の3種目を順に行い、合計25.75kmの速さを競う。

パラトライアスロンは、障がいの種類や程度によってクラスが分かれ、土田はシッティングの中でも障がいが軽い方のクラス(PTWC2)。シッティングクラスは、バイクで、仰向けの状態になり手でこぐ自転車「ハンドサイクル」、ランでは「競技用車いす」を使用する。

20年以上、競技用車いすに乗り世界で戦ってきた土田は、ランを最も得意としている。だが、ランは5kmと距離が短く、他の種目の強化が重要だ。

40歳を過ぎて始めた土田の過酷な挑戦には、欠かすことのできない人物がいる。
夫でコーチの髙橋慶樹。髙橋は、ソルトレークオリンピックのスピードスケート日本代表コーチの経験を持っている。
2001年、土田が所属したマネジメント会社で、アスリートのコーチをしていたところ、指導を依頼されたのが出会いのきっかけ。初めてのパラアスリートの指導に戸惑いながらも、他の車いす陸上選手の練習を見学するなど、競技への理解を深め、徐々に土田の力になっていった。そして、意気投合した二人は、2005年に結婚。
練習場所へは、いつも髙橋の運転で向かい、練習スケジュールやメニューの管理、合宿や遠征試合の手配、家庭では積極的に家事を行うなど、コーチとしても、夫としても、土田の挑戦を支え続けている。

去年8月、東京パラリンピックの実施会場のお台場海浜公園で、前哨戦ともいえる大会が開催された。
水質悪化の影響で、スイムがランに変更になり、ラン(2.5km)・バイク(20km)・ラン(5km)の形式で実施。
ランが得意な土田は、この大会で圧倒的な強さを見せつけた。だが、バイクではライバル選手に追い抜かれ、課題を残す結果に。

そして、今年6月から、新型コロナの自粛期間を経てトレーニングを本格始動。土田は、髙橋とバイクの強化に励んでいた。過酷な競技で、東京パラリンピックへの挑戦を始めた夫婦に迫る。


土田和歌子(つちだ・わかこ)※写真左

八千代工業株式会社 所属
1974年10月15日生まれ
高校2年の時、事故で両下肢機能障がいになった。

<パラリンピック成績>
・アイススレッジスピードレース
1994年 リレハンメル 100m 700m 1000m入賞
1998年 長野 1000m 1500m金メダル、100m 500m銀メダル
・陸上競技
2000年 シドニー 車いすマラソン 銅メダル
2004年 アテネ 5000m 金メダル、車いすマラソン 銀メダル
2008年 北京 5000m 車いすマラソン 代表
2012年 ロンドン 車いすマラソン 5位
2016年 リオデジャネイロ 車いすマラソン 4位

他、車いすマラソン大会の優勝も多数。
 
<トライアスロン>
2017〜2019年 ASTCアジアパラトライアスロン選手権 優勝
2017〜2019年 ITU世界パラトライアスロンシリーズ 優勝3回
ITUパラリンピック出場資格ランキング9位(2020年3月16日時点)

髙橋慶樹(たかはし・けいじゅ)※写真右

1973年8月5日生まれ
1997年 冬季ユニバーシアード スピードスケート 500m 銅メダル
2002年 ソルトレークオリンピック スピードスケート日本代表コーチ
2005年に土田と結婚。