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#152

谷崎潤一郎の愛した京都の家 ~粋と雅の共存する「石村亭」~

今回は京都に建つ「石村亭」を訪ねます。下鴨神社に隣接して建つ石村亭は、文豪・谷崎潤一郎が最も愛したと言われる邸宅です。生涯に43回も住居を変えた谷崎ですが、石村亭には最も長く、昭和24年から31年までの7年8か月を過ごしています。もともと石村亭は明治44年に、塚本儀助という実業家が建てた家でした。谷崎は売りに出ていたその邸宅を見てすぐに気に入り、ほとんど創建時のままで過ごしました。当初彼はこの家を「潺湲亭(せんかんてい)」と名付けていましたが、昭和31年に現在の持主「日新電機」に売却する際、石村亭という新たな名前を与えたのです。売却にあたり谷崎は、「現状のままで残してほしい」との条件をつけ、日新電機は今もその約束を守って維持保存に努めています。そんな石村亭は、小ぶりながらも緑豊かな池泉回遊式庭園の中に、主屋や茶室などがバランスよく配されています。中でも主屋は、数寄屋造りと書院造り、さらには寝殿造りの趣を合体させるという、極めて珍しい造りをしています。谷崎はこの地で「新訳源氏物語」を完成させました。そんな彼の息遣いが聞こえてきそうな石村亭は、近代文学史の“聖地”とも言える貴重な存在です。

取材先情報

下鴨神社(賀茂御祖神社)
京都府京都市左京区下鴨泉川町59番地 TEL:075-781-0010
定休日:なし
開閉門時間:午前6時30分~午後5時00分
交通:京阪出町柳駅・叡電出町柳駅より徒歩8分(三条京阪で地下鉄東西線連絡)
地下鉄烏丸線「北大路」駅より市バス1番・205番「下鴨神社前(または糺ノ森)」
停下車                    
JR「京都」駅より市バス4番・205番「下鴨神社前(または糺ノ森前)」停下車
阪急「河原町」駅より市バス4番・205番「下鴨神社前(または糺ノ森前)」
停下車
駐車場:有料(神社の西側にございます)

石村亭
※非公開となっております。

※上記以外の情報については、公開出来ません。