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#220

数寄屋がもてなす麗しの館
~旧三輪善兵衛別邸「沼津倶楽部」~

今回は静岡県沼津市の「沼津倶楽部」を訪ねます。千本松原と呼ばれる壮大な松林を持つ沼津界隈は、明治22年に御用邸が建てられて以降、多くの政財界人たちの別荘地として栄えました。沼津倶楽部もその一つとして、ミツワ石鹸の創業者・二代目三輪善兵衛が大正2年に建てた別邸です。三輪善兵衛は茶人としても知られ、建物の造りも施主の好みが強く反映されています。戦後の一時期GHQによって接収されましたが、地元有志が一般社団法人を結成し建物を継承。現在は食事や宿泊ができる施設として保存・運営しています。広い敷地内に入るとまず客を迎えるのは長屋門。武家屋敷に見られる重厚なそれとは違い、瀟洒な数寄屋の設えが目を惹きます。豊かな木立の中に建つ別邸は北棟と南棟で構成され、渡り廊下でそれぞれをつないでいます。どの部屋でも茶が嗜めるように考え抜かれた数寄屋の意匠は枚挙にいとまがありませんが、中でもユニークなのはサロンと呼ばれる和洋折衷の部屋。広い開口部と高い天井を持つこの部屋は、まるでサンルームのような趣を感じさせますが、そこには卓越した職人技と優れた意匠が見事に組み込まれています。沼津倶楽部はまさに麗しき数寄屋の名建築です。

取材先情報

・沼津倶楽部
静岡県沼津市千本郷林1907 TEL:055-954-6611
チェックイン 14:00
チェックアウト 11:00
定休日:水曜日
ランチ:土日祝日のみ営業
ディナー:定休日を除く
※予約は3日前までの完全予約制
交通機関
電車:最寄り駅はJR沼津駅、新幹線では三島駅
タクシー…沼津駅より10分、三島駅より20分
路線バス…JR沼津駅南口より箱根登山鉄道2番乗り場「千本経由」または
「港湾経由」乗車、「牧水記念館前」下車
※本数が少なく限られますのでご確認下さい。
(送迎サービスは行なっておりません)