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#320

中村家住宅ⅠⅡ

中村家は、越前海岸沿いの狭隘な河野浦にある。江戸時代初期から廻船業に乗り出し、幕末から明治中期にかけて激増する北前船主の中で隆盛を得て、同じ河野の北前船主である右近家と並んで日本海五大船主に挙げられる有力商人になった。海に向かって2階建の主屋と望楼を持つ3階建で繊細な数寄屋意匠を駆使した新座敷(離れ)がある。中村家住宅は、充実した室と規模を有する主屋、趣向を凝らした3階建の新座敷など、近代的な形式や造形が導入された和風住宅として価値がある。