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#291

湖水を望む明治の皇室別邸
~福島県猪苗代町「天鏡閣」続編~

今回は福島県猪苗代町にある「天鏡閣」の続編。明治41年に有栖川宮威仁親王の別邸として建てられた天鏡閣は、大正13年に高松宮宣仁親王に引き継がれ、さらに昭和27年に福島県の所有となり、現在は一般公開されています。その間ほぼ当初の姿を変えることなく維持され、皇室別邸としては最北端に位置し、国の重要文化財にも指定されました。
今回は、プライベートゾーンである2階部分を拝見します。階段ホールの天井には、何やら八角形の不思議なへこみが現れます。これは会津地方はかつて新政府軍と対峙した歴史があり、威仁親王の安全を期して造った隠し部屋の入り口なのです。隠し部屋からは塔屋の2階に抜ける隠し動線まで設けられており、明治後期といえ、皇室と会津の関係が微妙だったことを伺い知ることが出来ます。昭和55年から57年にかけて行われた修復工事では、地元の職人たちが心血を注ぎました。今もなお猪苗代町を象徴する建物として愛され続けています。

 
案内人:長田城治(郡山女子大学准教授)

取材先情報

・天鏡閣
福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢字御殿山1048 TEL:0242-65-2811
【開館日時】
・5月~10月 午前8時半~午後5時
・11月~4月 午前9時~午後4時半
・年中無休
【入館料】
 一般370円、高校生210円、小中学生100円
【アクセス】
〔鉄道〕
磐越西線猪苗代駅からバス約15分 長浜下車徒歩約5分