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中洞正(山地酪農家)

岩手県の山あいに、日本では珍しい楽園のような牧場があります。200頭もの牛たちが山の斜面を駆け上がり、野草を食み、沢の水を飲み、のんびりと木陰で休みます。1年を通じて山で過ごし、山の中で子牛を産み、生まれた子牛は母親からたっぷり乳を飲むことができるのです。そんな「山地(やまち)酪農」を続けてきたのが、中洞牧場の中洞正さん。乳量は一般的な牛舎飼いの1/3~1/5ほどになりますが、「おいしい牛乳は、幸せな牛からできる。子牛のおすそ分けで充分」と、牛たちの健やかな日々を守り抜いてきました。家畜の苦痛やストレスを極限まで排除する中洞牧場は、アニマルウェルフェアの認証を日本で初めて取得しました。中洞さんの一番のこだわりは、自然の摂理に従い牛の餌を確保すること。成長が早く肥料が要る外来種の牧草を避け、日本の在来種である野シバを数年かけて山に根付かせます。それは牛との共同作業。野シバは、葉っぱを食べられることで成長が進み、また牛のふん尿が肥料となります。そして、大地に厚い層を成す野シバは、土壌の流出防止に役立つのです。中洞さんの山地酪農は、多くの事を物語ります。

★中洞さんの仕事をもっと知るには・・・
https://nakahora-bokujou.jp/