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#50

“Athlete” 古川佳奈美(パラ卓球)
“With” 古川倫子(母)

2021年に延期された東京パラリンピックで金メダル獲得を目指す、パラ卓球・知的障がいクラスの古川佳奈美(22)。
彼女には、“軽度知的障がい”と“自閉症”がある。
リオパラリンピック金メダリストを倒したこともある実力者だ。
武器は、知的障がいクラスで習得している選手がほとんどいない『しゃがみこみサーブ』。
同じようなフォームから、数種類の回転を打ち分ける。
平日は、明太子の製造工場で働き、夕方から卓球クラブで練習に励んでいる。

そんな卓球漬けの古川を支えているのは、母の倫子さん(49)。
卓球を楽しく続けてほしいと、外出時の持ち物の確認や毎日のお弁当作り、スケジュール管理、移動方法など、さまざまな面でサポートをしている。

母が1歳離れた妹との成長の違いに気づいたのは、小学生の頃。
古川が小学校中学年の頃には、妹から小学校低学年で習うことを教えてもらっていたという。
そして、小学4年生の時に専門機関で受診をすると、障がいと診断された。

転機は、中学に入学した頃。友人と一緒に入部した『卓球部』。中学、高校と、楽しく卓球に打ち込み、笑顔が増えたという。しかし、高校を卒業後、練習場所がなくなってしまう。
卓球で変わる娘を見てきた母・倫子さんは、卓球を続けてほしい一心で、練習場と、障がいを受け入れてくれるコーチを探し奔走。現在のコーチと出会い、急成長を遂げた。

番組が取材を始めた2019年6月、古川は攻撃型スタイルで国内大会に挑んだが、
左右に打ち込まれる球にペースを崩され、準決勝で敗退。守りを強化するという課題に直面した。

その後、ある“秘密の特訓”で弱点を克服し、さらなる進化を遂げた古川。
サポートし続けてくれる母とともに、東京パラリンピックでの金メダル獲得を目指す軌跡に迫った。


古川佳奈美(ふるかわ・かなみ)※写真左

1997年7月27日 福岡県生まれ。
軽度知的障がいと自閉症がある。
中学進学時、友人に誘われ卓球部に入部。
中学、高校と卓球を続けた後、博多卓球クラブへ。
2017年 ITTFパラ アジア大会 優勝
2018年 世界選手権 3位
2019年 ITTFパラ ジャパン・オープン 3位
世界ランキング5位(2020年4月時点)

古川倫子(ふるかわ・みちこ)※写真右

古川佳奈美の母。
娘が楽しく卓球を続けられるよう、
さまざまな面でサポートをしている。