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PART1 八代亜紀・小林幸子 「みだれ髪」

「みだれ髪」 (昭和62年、1987年)作詩・星野哲郎 作曲・船村徹
♪髪のみだれに 手をやれば 赤い蹴出しが 風に舞う…

大病をしたひばりの復帰作。作詞の星野哲郎は作業の過程で、ひばりから「削った“祈る”という言葉を残して欲しい」と手紙をもらった。一方、船村徹は「病み上がりだからといって手加減しないで欲しい」と手紙をもらい、これまで使ったことのない高音を用いた。そして、レコーディング。コロムビアのスタジオにひばりが現れた。
レコーディングの指揮を執るのは船村徹。だが、音合わせここで異変が起きた。ひばりは、一か所、船村が書いた譜面と違う音で歌ったのである。実は船村が曲作りの過程で一番迷った箇所であった。ひばりは船村が迷ったもうひとつの音で歌ったのである。
船村はその場で譜面を直しレコーディングを終えた。
迎えた翌年の復帰の舞台、東京ドームでの不死鳥コンサート。ひばりは、この日までの胸中を語ったあと「みだれ髪」を熱唱した。