放送番組審議会

BS朝日第59回 放送番組審議会議事録
BS朝日は、平成27年4月17日に、第59回放送番組審議会を開催しました。(2015.5.14)
開催日時 2015年4月17日(金)午後12時45分~2時15分
開催場所 BS朝日大会議室
出席者

近藤委員長
若林副委員長、近藤大博委員、玉生委員、中井委員、水口委員、吉永委員、野村委員

 

【会社側】
風間代表取締役社長、菊地専務取締役、相原取締役、横山取締役、
森本常務執行役員編成制作局専任局長、藤川執行役員編成制作局長、大和田執行役員営業局長、
江頭編成部長、江野制作部長、有賀編成担当部長、柿崎制作部プロデューサー

 

(事務局)佐藤事務局長、根岸担当部長、北川ライツ・考査室員、堀同室員

 

議題

(1) 会社側より報告
(2) 2014年度下期の番組種別の集計結果について
(3) 2015年4月改編について
(4) 前回課題番組「人生を変える7日旅」について報告
(5) 課題番組「ヨーロッパいちばん旅行記」講評
(6) 次回日程および課題番組について
(7) その他

配布資料

(1) 2014年度第3四半期 決算収支状況
(2) BS朝日主要単発一覧(2015年3月~5月)
(3) BS朝日スポーツ単発放送実績一覧
(4) 2014年度下期(10月~3月)の番組種別の集計結果について
(5) 2015年4月改編について(基本編成表・新番組概要)
(6) BSデジタルパワー調査・2015年3月度接触率
(7) BSデジタル世帯普及状況
(8) 「人生を変える7日旅」ご講評を受けて
(9) 次回課題番組案

講評

金曜夜9時という時間はリラックスした気分で楽しむことができる。ゆったりとしたテイストで構成も良かった。
日本人の登場人物が魅力的だった。知る人ぞ知る有名人が出ることもあり、外国で街に溶け込んで活躍する日本人にエールを贈りたくなった。
「旅行記」なのでガイドブックとしての役割も果たしており裏切られなかった。
なぜBS民放の番組はヨーロッパという地域を取り上げることが多いのか。 ⇒(会社側回答)視聴データの分析から、ヨーロッパという名前を番組に付けると視聴者の接触率が上がる傾向にあることが判っている。また、実際に訪れる国はアジアなど身近な場所が多いかもしれないが、時間とお金をかけないと訪れることができないヨーロッパは、憧れの都市でもあり、テレビで見たいと思う方も多いのではないか。
旅人の視点ではなく、現地で暮らす人々の目線でその土地の魅力を紹介するという番組のコンセプトは達成されている。
音楽やナレーションがヨーロッパを紹介する番組のテイストに合っている。
そこに暮らしてみないと分からない情報を楽しんだ。街に住む人にフォーカスするのは良い。
ナレーターの志田未来さんの声ははっきりしていて爽やか。とても聞きやすかった。
全体として好感を持った。
旅番組として面白く、楽しめる番組であった。
ヨーロッパで働く日本人のおすすめという切り口がよかった。それぞれが紹介する「創作活動の拠点」などが興味深い。
ちぎり絵作家や建築家など、人に魅力があると良い。いかに良い人材を見つけられるかどうかが鍵。
構成は冒頭から明確で判りやすかった。映像も美しく、ナレーションや音楽も申し分ない。しかし、トピックの取り上げ方には問題があるのではないか。3人を並べるより、誰かに絞った方が良い。
ウェブの情報を増やしたり、視聴者が参加できたりするような仕掛けを考えてみてはどうか。例えば、視聴者から様々な写真を送ってもらい、「自分にとってのエッフェル塔」といったような様々な角度からの「視点」を集めて、画面の最後で紹介してみるのも一案だと思う。
ヨーロッパの成熟都市ではない都市に焦点を当てるのも良いのではないか。
1時間があっという間に過ぎる、良質な番組で楽しめた。アバンで今日取り上げる場所・人物がよく分かる。
東欧などを取り上げても良いかもしれないと思う。
取り上げ方は浅くても、その街、その土地に住む人の暮らしぶりを紹介する手法は良かった。
日本人の出演者が、人間ドキュメントにしても楽しめるのではないかというほど魅力的であった。
画面の色彩・カメラアングルも良いので映像が美しく、品のある番組だ。
音楽もヨーロッパを旅しているような気分になってとても良かった。
教会と「私のいちばん」はやはり関係があったが、あまり多くはなかったのでほっとした。
志田未来さんのナレーションは、明るくて可愛らしい。個人的には、もう少し大人っぽく語ってもよいと感じた。
以前、学生たちにはヨーロッパを見て、日本と比較してみることを薦めてきた。
ナレーションですべてを説明しようとしているのか言葉が多いように感じた。ナレーション以外からの情報提供を工夫すべきではないかと思う。
番組ホームページも情報量が少ない。写真4点と言葉のみなので、また番組では拾いきれなかった詳しい情報をウェブで補足するといいのではないか。
街の紹介に生活感がなかった。同じような番組が多くある中で、番組自体のコンセプトを精査する必要があるのではないか。
「誰が、どこで、何を、何のために」が判らなかった。
「いちばん」の映像の意味づけが分かりづらい。フィレンツェ、ミラノ、パリと、都市には都市の意味合いがある。フィレンツェであれば、ギルドの街であったことなど歴史を考えて、全体の中での位置づけや、国の中での位置づけをしないと、その空間のことは伝わらないのではないか。

フランス・パリ 歴史と彩の街(ちぎり絵作家・横山明子)2014年10月24日 放送
・構成上、楽器職人を取り上げた尺が短く、話の広がりが薄く全体のバランスを欠いたと感じた。「3人」を取り上げるという全体の構成に縛られず、人数にこだわる必要はないのではないか。場合によっては1人でもよいと思う。
女優・中山美穂 私が愛したパリのいちばん(前編・後編)2015年2月6、13日 放送
・パリのウィンドウショッピングに付き合わされているような気がした。中山さんの魅力が引き出せなかったのではないか。
・「友人が遊びに来たら連れて行く場所」の紹介になってしまっていた。
・旅人のような視点になっている。現地に根差した人なので、そうした個人的なものを深掘りして紹介するのでもよかったのではないか。
・彼女の役割がよく分からないままに終わってしまった。
・佐藤絵子/長江桂子/赤木曠児郎の3人で進めてもよかったのではないか。
⇒エディター・佐藤絵子:ノートルダム大聖堂の裏側からの景色を紹介するなど、「観光」にはない視点があってよかった。
⇒パティシエ・長江桂子:ミシュランの調査員の話がとても興味深かった。撮影できる機会もなかなか無いはずので、もう少し丁寧に尺をとって紹介してもよかったのではないか。
⇒画家・赤木曠児郎:作品(絵)をもう少し見せてほしかった。彼のパリの原点として屋上の部屋からパリの街を見ることから始まった、と紹介されていたのはとても良かった。
 紹介していたパリの地下石切場は、単身の旅行者はほとんど入ることができない場所で、通常は見ることができないが、映像で見たのは初めてでとても良かった。その歴史や保存の良さに驚いた。
現地での仕事ぶりと暮らしぶり、外国人としての視点と街の住人としての視点が組み合わされていた。街を画家として「定点観測」していることが映像からよく伝わってきていた。
彼の持つ空間のとらえ方やコンセプトの打ち出し方は大切と思った。
⇒建築家・田根剛:グランパレの展示設計を見せてほしかった。もう少しその人自身のことを掘り下げてみてもよいのではないか。
若き建築家集団に感動した。
女優・岸惠子 パリ“私のいちばん”2014年12月5日 放送
・さらに豊富なネタがあるのではないかと感じた。
・「ベンチのシーン」では、あれだけの大女優でも、何かを思い出して寂しいと感じているかのように思えた。
イタリア・フィレンツェ 中世が今も残る街2015年2月27日 放送
・スーツの仕立職人として働く男性が、流行に左右されず、伝統の中に自分なりの仕事のやり方を残す気持ちが伝わってきてとても良かった。
・「職人」というくくりの構成が判りやすかった。
・とても興味深く面白かった。伝統家具の女性職人が、第二次大戦中に軍医が使用していたものを引き継いで作業をするところなど、「ドキュメンタリーっていいな」と思わせられる趣があった。彼女の気持ちの入れようや、たたずまい、そして境遇などが伝わってきて、久々に「歴史」を感じられる映像であった。とても良かったと思う。
・必ず取り上げられるようなボッティチェリ、ミケランジェロやラファエロが出てこなくて安心した。知る人ぞ知るものしか取り扱わなかったコンセプトが良い。
イタリア・ミラノ 活気あふれる学生街 ミラノ大学界隈のいちばん2015年1月30日 放送
・美容師の方からは街へのこだわりがあまり伝わってこなかった。
・3人の存在をどう考えていいのか判らなかった。番組全体の焦点が大学にあるのか、他にあるのか、あまり合っていないように感じた。
・大学近くのパン屋での「将来づくりのお手伝いをしている」という言葉が印象に残っている。

◆次回日程:第60回・7月17日<金>
◆課題番組:「黒柳徹子のコドモノクニ~夢を描いた芸術家たち~」