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#227

“政界と旧統一教会” 決別できるか 問われる自民党

2022年8月7日の『BS朝日 日曜スクープ』は、全国霊感商法対策弁護士連絡会が政界に繰り返し、旧統一教会との関係を断つように要請してきたことを取り上げ、今、何が問われているのか、特集しました。

■“政界と旧統一教会”決別できるのか 問われる自民党

政界で旧統一教会との関わりが自民党を中心に続々と明らかになっています。さらに、2015年、『世界平和統一家庭連合』に名称変更したときも、不透明な経緯が問題になっています。2022年8月7日の『BS朝日 日曜スクープ』は、全国霊感商法対策弁護士連絡会が政界に繰り返し、旧統一教会との関係を断つように要請してきたことを取り上げ、今、何が問われているのか、特集しました。

■「“お墨付き”与えないようお願いしてきた」

菅原

次々と明らかになる政治家と旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」との関係。国民の間に不信感が広がっています。多くの家族を崩壊させてきた旧統一教会との関係を政治家はなぜ断つことができないのか、詳しく考えていきます。

菅原

本日のゲストを紹介します。旧統一教会の問題に長年取り組んでいる全国霊感商法対策弁護士連絡会、紀藤正樹弁護士です。よろしくお願いします

紀藤

よろしくお願いいたします。

菅原

そしてもう一方、政治ジャーナリスト角谷浩一さんです、よろしくお願いします。

角谷

よろしくお願いいたします。

菅原

最初のテーマはこちらです。「政治と旧統一教会の関係 岸田政権の閣僚も続々と」詳しく見ていきます。

こちら、旧統一教会、関連団体との関係が明らかになった主な議員です。自民党、そして立憲民主党、日本維新の会、国民民主党と与野党の議員たちが関係を持っていました。イベントへの参加、祝辞、選挙支援など、その形も様々です。

その中でも特に多いのが自民党です。現在の岸田政権に入っている9人の議員も関係があったことが確認されています。関わり方は様々で、岸防衛大臣は選挙支援、萩生田経産大臣はイベント出席、末松文科大臣は祝電を送ったこと、パーティ券の購入、山口環境大臣、野田少子化担当大臣も祝電を送ったことを認めました。

さらに有力議員でも細田衆院議長がイベント出席、下村前政調会長、石破元幹事長が関連団体から献金を受けていたことがわかっています。紀藤さん、旧統一教会と関わりがあった議員が次々と明らかになっていますが、これだけ関わっている議員がいるということは把握されていたのでしょうか?

紀藤

特に2012年に安倍政権ができてから、急激に閣僚、有力な議員、あるいは、これから当選するギリギリの議員との関係がかなり強くなっています。自民党の閣僚、見てもらったら分かるんですけど、やはり閣僚の中でも統一協会との関係で所管大臣になるような人たち、例えば、国家公安員会の委員長だったら警察庁を所管している、それから文部科学大臣であれば統一教会の宗務課というところで認証も所管している、それと危機管理上問題になっている防衛大臣とか、諸外国との関係も調整しているでしょけども、そういう所管との関係で問題となる大臣にかなり強く食い込んでいることはこちらも分かっていてですね、それで何度も繰り返し、統一協会のような、社会的に問題となっている団体に近づかないように、お墨付きを与えないようにと、これまでもお願いをしていたところだったんですね。

 

第2次岸田改造内閣では8月15日現在、大臣に加え、副大臣や政務官も含め、政務三役で73人中少なくとも29人が旧統一教会との関わりを認めました。また、自民党の萩生田光一政調会長が参院選の公示4日前の今年6月18日、当時、候補者だった生稲晃子参院議員とともに、東京・八王子市にある教団の関連施設を訪れていたことも新たに明らかになりました。

■自民党の派閥で“票を取りまとめ”の証言も

菅原

それにも関わらず、政権の一部中枢にまで関わりがあったということが分かってきています。

上山

政治家、個人個人の関係とされていますが、このような情報も出てきています。自民党内では旧統一教会による選挙支援を、派閥で取りまとめていた可能性が指摘されています。

2016年の参院選、自民党の伊達忠一元参院議長は、旧統一教会の組織票の割り振りを細田派に依頼。旧統一教会の支援を受けた宮島喜文前参院議員は初当選を果たしました。しかし、2022年の参院選では、宮嶋氏が安倍元総理に2度会って、再び教団の友好団体の支援を依頼しますが、安倍元総理から「6年前のような選挙協力は難しいかもしれない」と言われたということです。代わりに支援を受けた、井上義行氏が当選しました。旧統一教会の票を、自民党が調整しているようにも見えます。さらに、自民党の青山繫晴参院議員は、「ある議員から話があって、所属している派閥の長から『現状では今回の参院選で当選圏内に届かない恐れがあるから、旧統一教会の票を割り振りたい』という話があったが、断ったと。その派閥の長に確認したら事実だと認めた」。派閥が旧統一教会の票をとりまとめていたと証言しています。こうした証言に対して旧統一教会、世界平和統一家庭連合は、「特定の政党さま、および候補者様を組織的に応援することはございません」。このようにコメントを出しています。角谷さん、政治家と旧統一教会の関係をどうご覧になっていますか?

角谷

旧統一教会と自民党の付き合いは、随分、長い歴史があると思っているんですね。それは個々の議員に受け継がれてきたものや、それから、その当時、若かった議員がどんどんポストが幹部の方になっていくことによって影響力を増していくという、様々な形はあると思います。自民党の茂木幹事長も、旧統一教会の方も、組織的なものはないと言ってますけれども、一方で、裏部隊としての組織的な協力というのがあったんじゃないだろうか。つまり表でやることはないかもしれないけれども、協力態勢というのは、バックアップの態勢は別の方法であったんじゃないかという見られ方はしているんじゃないでしょうかね。

上山

今のお話ですけども、自民党が旧統一教会を、ある程度、利用しようとしていた面はあるのでしょうか。

角谷

一覧表にもあるように、どちらかと言うと、保守系の議員の人たちに手を差し伸べていますね。一方で、それは新人の場合には、また候補者の場合には、選挙に弱い人に手を差し伸べているというところ、または、その派閥からここに支援してほしいと、井上さんのような状態を作っているという状況もあるんでしょうけど、大方は、あと一歩だという人たちに、どうやって入り込んでいくかという部分はあったかもしれない。それは表だけじゃなくて、やっぱり裏部隊の組織として役立っていたんじゃないかという見られ方をしていると思います。

上山

裏部隊の組織とは…。

角谷

つまり、党から言われたわけじゃなくて、“僕の付き合いのある人から支援したい”という申し出があるよと言うような、ヌルヌルっとした付き合い方です。もっと言うと、保守系の議員の特徴というのは、自分のところに来て協力したいと言ってきた人は、いい人だと思って、味方だと思って、受け入れやすいというところなんですよ。助けたいと言ってきた人に「いや結構です」ということはないんですね。そこがどういう人か、ちょっと調べなきゃとか、どういう団体なのか調べなきゃっというよりは、もう選挙で今、厳しい状態だから、協力したい人たちはどんどん受け入れていきたいという議員心理が、また候補者心理が働いていたんじゃないか、こういうことは言えると思うんですね。

上山

そういった議員としての心理があるにしても、ただ、大二郎さん。旧統一教会をめぐっては、やっぱり多くの方が被害を訴えていて、そして裁判にもなっている。それでも、政治家が関係を持ち続けるというのは、どうしてなんでしょう。

橋本

そういう団体だということは、多くの人が認識してますので、そこと付き合うことにはある程度、罪の意識がかつてはあったと思います。それがここ数年ですね、自民党でいえば、党の幹部または派閥の幹部が堂々とそういう会合に出ていて祝辞を述べる。また講演をして相手方のトップ総裁を「敬意を表します」と言って、持ち上げるということがあると、みんな、それじゃ付き合ってもいいんだろうかと罪の意識が薄れて、むしろ付き合った方が、そういう親分に、いい目で見られるんじゃないかという気持ちさえ、持ち始めたんじゃないかなという流れを感じますけどね。

■閣僚たちの釈明に違和感と不安

菅原

続いてのテーマこちらです。「政治家の認識と国民の問題意識に温度差」。詳しく見ていきます。

旧統一教会との関わりが指摘された議員がこの1週間、相次いで釈明しています。旧統一教会の関連団体のイベントに祝電を送っていた山口環境大臣はおととい(8月5日)、「(祝電は)色々なところから頼まれたら、全部出しているんですね。だから、そんな中で機械的に出したようですけれども、全く意識はありません。どこからでも来たものは全部、出しています、よほどおかしい団体でなければ。今後は祝電は出しません」。このように、誰にでも祝電を出していた、「誰にでも」に旧統一教会の関連団体のイベントが含まれていたと釈明しました。

旧統一教会関連イベントに名義を貸して実行委員長を務めていた二之湯国家公安委員長は、「政治家なのでお付き合いの一環として名前を貸した」。お付き合いで名前を貸した相手が、旧統一教会の関連団体だった、こう話しています。

さらに、二之湯国家公安委員長のこの発言も注目されています。警察庁を管理する、二之湯国家公安委員長が釈明の中で「統一教会がどういう教義をもって布教活動しているか、さっぱりわからない」、このように発言しました。その3日後、「統一教会の霊感商法に関する事件は、2010年を最後に被害の届け出はない。だから10年以上経ったことなので、私としてはそういう認識だった」「さっぱりわからない」と釈明したのですが、会見後、警察庁が「被害届」を「検挙」に訂正しました。2010年を最後にないのは「検挙」だったということです。

大二郎さん、警察庁を管理する二之湯国家公安委員長が旧統一教会のことを知らないのか、どうお考えですか?

橋本

警察庁を管轄する立場の大臣が、まず被害届と検挙を、もうゆっくり喋りながら間違えているというのも、相当なものだと思いますし

菅原

初歩的なところですよね。

橋本

そうですね。しかも、この統一教会の布教活動がどんなものだったかさっぱり分からないと言われると、多くの国民は、こういう方に治安や警察を任せておいていいんだろうかという不安を抱くだろうと思うんですよね。しかも、この二之湯さんという方は、京都で野中広務さんという有名な、官房長官や自民党の幹事長をされた政治家がいますが、その方の後援会の事務局長をしていた方なんです。この方は、もう酸いも甘いも噛み分けて、政治の裏も知っていた大政治家で、その後援会を仕切っていた方がですね、様々な団体がどういう団体かということを知らないことはまずないだろうと。今、もし野中さんがご存命であれば、“おいおい君何を言うんだ”と言って、お叱りになるんじゃないかと僕は思うんですけどね。

菅原

シラを切っているんじゃないかということですかね。

橋本

シラと言ってはあれかもしれないけれども、そんなことはあり得ないだろうと思いますね。

■「知らなかったかどうかより、知らなきゃいけないこと」

菅原

そういった意味では、他の議員に関しても、釈明の内容がやはり関連団体とは知らなかったですとか、知らなかったからこそ、祝電、それからイベントに出席してしまったんだ。こういった釈明が相次いでいますが、本当に知らなかったと思いますか。

橋本

知らなかったかどうかより、知らなきゃいけないことだと思いますね。特に当団体について、過去の様々な被害状況、そして、そのことが今も、家族が崩壊した様々な思いを多くの被害者にもたらしているということを考えたとき、当然、その関係かどうかということは考えるべきだと思います。特に今、暴力団対策法というものが平成3年にできて、宗教団体とは違いますけども、反社会的な活動をしているところと付き合っちゃいけないということは、芸能人の方でも非常に厳しく、今、コンプライアンスが問われている時代ですよね。そういう中で、やっぱりきちんと、ある程度の調べを事務所でしていないということがあり得るだろうかなと。そんな危険な政治家がいっぱいいるのかなということを不安に思いますけどね。

菅原

確かに角谷さん。今、この時代、いわゆる反社勢力と写真を撮ることだけでも1発アウトという時代に、政治家が本当に、素性とか、背景を調べずに、付き合いを持つということは、本当にあり得ると思いますか。

角谷

実際はありえないはずですけども、そういう議員も出てきているのは間違いないと思うんですね。ことに、今回の内閣改造が早まったのは、もう二之湯さんのせいではないかと言われるぐらい、二之湯さんの発言の不適切な部分もあるし、それから今、国家公安委員長を民間人がやっていることも一つありますね。それから、実は、安倍さんの事件の責任をまだ誰もとっていないという警察の中の問題点もある。そういう意味では、内閣改造が早まった理由はここにあるのかなと思う一方ですね、もし、祝電を出してほしいと依頼が来たけれども、どうするかという時には、やっぱり本来なら議員、最終的には議員が決裁するけれど、全部それを秘書が取りまとめているのなら、秘書がどういう団体か、ここに出していいかどうか、この付き合いがいいかどうか、これはもちろん、精査するのは当たり前なことです。

本来、全部出していると山口大臣もおっしゃっているけども、お断りにされているのもあるんだと思います。ですから、やっぱりそれは、精査のレベルが、そのハードルが随分下がっていると見ていいのか。それから、先ほども話が出ましたけども、党内の幹部や先輩議員たちが名前を出したり、色々な様々な会報で顔を出していたりすれば、ここなら大丈夫だなとか、いいのかなと。逆に、積極的に出した方が先輩とも色んな話ができるかもしれないと感じる議員がいるとするならば、やっぱりこれは自分としては、個々の祝電程度とか、何かその程度の思いかもしれないけども、団体から見れば、協力者であり、それから、その人たちがどんどん幹部になっていけばなるほど、その広告塔の役割を担っているという担保になっているんだという認識が余りにもなかったんじゃないでしょうかね。

安倍元総理大臣の銃撃事件について、警察庁は8月25日、警護状況に関する検証結果を発表。これを受け、警察庁の中村格長官は、辞職する意向を明らかにし、翌日の閣議で、8月30日付の辞職が承認されました。事実上の引責辞任です。また、奈良県警の鬼塚友章本部長も、8月30日付で辞職します。

■弁護士連絡会が繰り返し政治家に警鐘

菅原

確かに、その意識の低さが本当に、今回、感じる問題点だと思います。こうした中、紀藤さんたち全国霊感商法対策弁護士連絡会は、何度も政治家に対して警鐘を鳴らしてきたと言います。2005年、2006年、安倍元総理が友好団体である「天宙平和連合」の行事に祝電を送った時には、公開質問状を送っています。さらに2018年には全国会議員に対して旧統一教会を支援しないように要望する声明。2019年にも同様の要望書を出すなど、何度も政治家に対して関係をもたないよう、働きかけてきたとのことです。

どのような内容かというと「政治家の皆さん、家庭連合(旧統一教会)からの支援を受けないで下さい」というタイトルで、一部抜粋ですが「昨今、国会議員、地方議員問わず、家庭連合の集会や式典に出席し祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っています。これらの祝電は家庭連合により、自分たちの活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという『お墨付き』として利用されます」。このように、政治家の祝電が信用を与えてしまうと訴えています。

連絡会の山口広弁護士は、政治家のリアクションについて「2018年は議員会館に直接持って行った。その時は40人くらいの政治家が『まずいよね』と言っていた」このように話しています。紀藤さん、2018年、2019年にも政治家に働きかけてきた中、政治家の問題意識というものはどう感じていましたか?

紀藤

やはり問題意識がほとんどないということですよね。説明に行っても、ただ受け取るだけっていう議員も多かったです。この時、やっぱり我々は危機感を感じてですね、午後いっぱい全部使って、弁護士が10人以上、被害者の方々も100人以上来られて政治家に説明すると。説明して手渡しにした方がわかりやすいんじゃないかという話だったんですけども、結果的に、説明できた政治家は10人に1人ぐらいで、あとはもう秘書が受け取るとかですね。政治家の方が出てこられた方もいらっしゃいますけども、そういう方は野党の人が多かったです。秘書に手渡しできるだけでも良かったなぐらいの感触だったんですね。

ですから、二之湯さんのコメント、これは危機意識のなさから、こういう発言が出るんでしょうけども、安倍元総理が殺害される事件に至ったということは、明らかに警察のミスなわけですよ。ミスですよね。ところが、その警察を所管している大臣がいまだに統一教会との関係を御理解していただけてないところ、あるいは問題意識を持たれていないこと自体が、ちょっと正直言って驚きですし、私は警察の組織もよく存じ上げているんですけども、警察の組織がむしろ二之湯さんに情報をあげてないんじゃないかという疑いも持ちますね。つまり、警察の方では、やはり今回の警備ミスはやっぱり大失策なわけでしょう。ところが、二之湯さんの認識が甘いわけですよ。そうすると、警察から二之湯さんに情報をあげると、統一教会に流れるんじゃないかという心配ぐらい持っている。大臣と警察との関係も上手くいっていないんじゃないかと思うぐらいに、非常に大臣としての資質に問題が私は感じられるんですね。

■「”お墨付き”与えることは被害者を増やす」

紀藤

ですから統一教会というのは、まず実態を理解していただきたいんですよ。非常に被害者が出ていて、社会問題になっているという実態を理解していただいて、理解していただければお墨付きを与えるような電報とかは打てるはずがないんですよ。やっぱりそれは信者たちの士気を上げて、被害者を増やして、被害者といっても個別の被害者だけではなくて、その家族全体が信者を抱えるだけでも被害を受けるようなことになっていて、そういう実態をよく理解していただければ、やはり単純な、曖昧なコメントにならないと思うんです。だから、そこは政治家の皆さんもきっちり今回のマスコミの報道とかを見ていただいて、我々も資料を提供してますので、それを見ていただいて、やっぱり被害実態を認識していただいた上で、この団体とどう付き合うのかと。我々の希望はですね、決別宣言です。それはもう最低限やっていただいて、被害者をどう救済するかということまでつなげていただければ、ですね。我々の被害者救済の活動は、この30年ずっとやってきていますけれども、それをずっと目的にやってきていますので、超党派でそれを考えてもらいたいなと、つくづく思います。

菅原

2018年2019年と続けて渡しに行ったのは、何か重要なタイミングだったんでしょうか。

紀藤

それは、安倍政権の中で、結局、その閣僚もですね、有力な議員たちも、派閥の長と言われている人たち、それから地方議会でも結構、有力な議員の人たちが統一教会との関係を隠さなくなったからです。それまでは統一教会というのは、あくまでも先ほど裏部隊とありましたけど、その選挙応援の事実をあまり公にしていなかったんですね、政治家自身が。やっぱり統一教会の実態をある程度わかっていたからだと思うんですよ。ところが、2015年に(名称変更を)認証されて以降、顕著に、統一教会との関係を隠さない議員がとても地方議会・国政も含めて増えたから、もうやむを得ず、ですよ。だって自費と労力を使ってやってるんですから。

菅原

わざわざ行かれたということですから

紀藤

みんなそうなんですから。手紙を送るだけでもお金がかかるんですから。それをみんなの浄財、僕らのお金を使ってやってやらないといけないぐらいの危機感にかられたからです。

菅原

表立ってお墨つきを与える議員が本当に増えてきているなということを実感したためということですね。

紀藤

そうですね。

■「政治家が国民の視点に立っていただいていない」

上山

政治家の旧統一教会に対する問題意識を象徴しているのが福田達夫総務会長の発言です。「僕自身が個人的に全く関係がないので、なんでこんな騒いでんのか、正直よくわかんないというのはあります。何か本当に明確に我が党が組織的にある団体から強い影響を受けて、それで政治を動かしているのであれば問題かもしれませんが」このように発言して、批判が高まりました。

福田総務会長はその夜、すぐに釈明したのですが、「団体との付き合いについて『何が問題かわからない』という趣旨の発言ではございません。党としての問題ではなく、個人として何か抜き差しならない関係になっていて、その結果、政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題だと思う」。やはり「政治活動に影響を受けているかどうか」がポイントだとしています。角谷さん、政治家は旧統一教会と関係があっても彼らの影響を受けていない、コントロールできている、こういう考えがあるのでしょうか?

角谷

これは与野党ともにだと思いますけれども、様々な宗教団体が選挙中にうちの教団にちょっと挨拶に来てくれないかとか、ちょっと選挙中ちょっと挨拶でいいと。何かやってくれとか、そこまではないけれども、選挙中、候補者や陣営から見ると、味方に来なくてもいいけど敵になってほしくないと思えば、挨拶ぐらいするよとか、祝電ぐらいは別に政治家だから、これはもうみんなに、どことの宗派と関係なく、みんなに出しているよと。つまり、その一つなんだから問題ないという理屈から物を見るんですね。

だけど、他の宗教団体とどう違うかということは、もう今までも多くの、紀藤さんたちの努力で分かっているけれども、そこに目を向けたがらない人たちがいる。そこは間違いなくあるんだと思います。それから、もう一つは、若い頃に助けてもらった恩をどこかで返さなきゃという思いが候補者、また幹部議員になってからも、それが残っていれば何かやらなければと、あの時にお世話になったお返しをしなければと、こういう人間関係の中に付き合いがあるんだと政治家は思いがちなんですよ。そこに、ちゃんと精査をするとか、見極めるというものよりは、どうもそこが足りなくなっている。そこはあるんだと思いますね。

上山

つまり、初当選の時にも、人の手をすごく借りたい時に世話になったと。それから数年経って年次も重ねていった中でキャリアも積んできたけれども、そこで何かを返さなきゃいけないという意識になっていく背景もある。

角谷

議員会館に取材していると、大体の政治記者は分かると思いますけれども、世界日報という新聞が「贈呈」という赤い判を押されて事務所に配られるんですね。ですから、議員会館にちょっと覗きに行くと、どの事務所にも大体それが積まれていると。それは自分で取っているわけじゃない。向こうから配られてるんだけれども、でも、それをわざわざ拒む必要もないと言って、何となく受け入れていくうちに抜き差しならない関係も、自分では今でも作っているとは議員は思っていないかもしれないけれども、親しくしている側から言えば、うちとは親しい議員だという思いに変わっていると。この認識のズレがいくら説明しても、国民には、“なるほど、そういうことか”とは、議員の説明では納得されないということにつながっているんじゃないでしょうか。

上山

今の角谷さんのお話ですけども、ちょっと挨拶ということではありますけれども、紀藤さん、改めて確認ですけれども、挨拶、それから祝電などが団体やイベントにやっぱりお墨付きを与えてしまう、それが新たな被害者を生んでしまう可能性が、政治家は真摯に受け止められない現状、なぜなんでしょうか。

紀藤

政治家が国民の視点に立っていただいていないということが往々にしてあるんですよね。結局、全体の国の形とかを論ずるのはいいですよ。だけど、その中には、国民それぞれの生活があるわけですよね。その生活までなかなか目を向けてくれていないというのもあるんですけど、やっぱり福田さんの発言は、僕はやっぱり、彼、元々三菱商事の社員だった人なので、ちょっととても残念でですね。やっぱりコンプライアンスの観点から問題があるのかと思うんですよね。やっぱり自民党とこういった団体との付き合い方というのは、むしろコンプライアンスの観点からも、とても重要な視点なわけですから、問題意識、つまり被害者が出ているという問題意識と同時に、自民党をどう守るかという問題意識を持っていただきたいなと、つくづく思います。とても残念です。

■2009年にコンプライアンス宣言をしたが…

上山

一方、先ほどの二之湯国家公安委員長の発言にもありましたが、2010年以降、旧統一教会の「検挙」がありません。2009年、「新世事件」で、霊感商法に対して初めて懲役刑が言い渡されました。旧統一教会はこの年、コンプライアンス宣言として「献金と先祖の因縁等を殊更に結びつけた献金奨励・勧誘行為をしない」「献金先が統一教会であることを明示して受け取る」こうしたことを打ち出しました。

先月行われた、世界平和統一家庭連合の会見では、「2009年以降、末端に至るまでコンプライアンスの徹底を進めてまいりました」。今はトラブルがないのか、という記者の質問に対して2009年以降の案件でそのような献金をめぐるトラブルはありませんと発言しました。しかし、翌日行われた全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見では、昨年までの過去5年に限っても、弁護士や消費生活センターで相談を受けた件数は580件、被害総額は54億円に上ると公表。これを受ける形で、旧統一教会側は声明を出し「それまでのトラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません。言葉不足で誤解を招いてしまったことを素直にお詫び申し上げます」。トラブルがゼロになったわけではないと認めました。紀藤さん、旧統一教会の問題は終わっていないということですか?

紀藤

捜査を終結するためにですね、あえて宣言したものと言うか、捜査逃れという宣言だと思うんですね。ですから、過去に遡って被害者を救済するというコンプライアンス宣言でもないんですよ。止めましたというだけなんですね。だけど結局、末端まで徹底されていないわけですね。紙の上のものだけであってですね、その後も被害は続いてますし、この時、(宣言を)出したのは田中会長の前の会長なんですよね。徳野会長というんですけども、この徳野会長は、実はこの時、2009年にコンプライアンス宣言を出した後、霊感商法が問題になっているということで、辞職しているんですね。ところが、2012年にもう一回、会長に返り咲くんですよ。

そして2015年に名称変更するんですね。だからこの流れを見ると、きちっと自分たちが本当にコンプライアンスで被害をなくすのであれば、抜本的に、過去の被害も含めて、救済する措置とか窓口とか設置すべきなんですけど、そんなことをやらずに相変わらず現在まで続いていて、田中会長はその中身を、おそらくきちんと精査もせず、御存じないと思うんですよ、なったばかりの会長ですので。彼自身が私は統一教会のナンバーワンの会長ではなくて、統一教会という団体、もし団体として見る場合はですね、ナンバー4くらいの人なので、彼の発言よりも、大事な人、つまり今回で言うとUPF(天宙平和連合)の会長とかが、本来はコメントをすべきだし、記者会見をすべきなんですけども、相変わらずUPFの会長は、まだ記者会見もされていないということで、メディアは次第に実名報道しますけれども、やはり彼とかがまさに安倍元総理のビデオメッセージを繋げた人ですから。本来、真実を語るべき、あるいは謝罪をすべき人じゃないかと私なんかは思っているんですけども、田中会長の発言というのは、こういう形で私どもから見ると虚偽があるということになるんだと思います。

橋本

この2009年に止めたことがあるとすれば、物品販売をやめたということですかね。他に何か大きな変化があったんでしょうか。

紀藤

ほとんど感じたことがないですね。2009年以降も彼らがそのやり方を変えたというような印象はほとんどなくて、2015年以降ですね、世界平和統一家庭連合という名前に変えますよね。そこからは家庭連合と名乗る場合があると。伝道の際に家庭連合と名乗る場合がある程度の変化があって、ところが、家庭連合と言われた人も宗教団体と思っていないんですよね。家庭連合じゃ分からないですよね。統一教会との関係性も分からないから、我々から見ると、家庭連合と名乗ったとしても、やはりちゃんと説明のない伝道を相変わらず続けているとしか評価できないと思います。

■教団本部の家宅捜索に至らなかった“捜査”

上山

2009年にコンプライアンス宣言が出て警察庁の話だと2010年以降、検挙がないんだという話なんですけども、こういったコンプライアンス宣言を出したことで検挙しづらくなったとか、そういったことあったんでしょうか。

紀藤

私はむしろ2009年の翌年に捜査が終結したことが、捜査終結した力関係がどう働いたか分かりませんけども、そこから統一教会に本来、家宅捜索をすべきだったんですけども、本部にですね。その家宅捜索が途中で止まってしまったんですね。この「新世事件」の時にですね。そのことが、その後の警察と統一教会との関係が大きく変わった変化であって、被害届は沢山、出ていると思いますよ、その後も。我々も被害届を出したい人に関しては、むしろ警察にも言ってくださいと。なかなか取り上げてくれないかもしれないけども、過去に摘発例があるわけだから言ってくださいとはお願いしていましたので、全国を見た時に被害届が全くないなんてあり得ないと思いますけども。

上山

こういった現状を、やはり政治家の方は向き合ってほしいと、一人の国民としては思うんですが、角谷さんどうですか。

角谷

2009年というのは、もし何かポイントがあるとすれば、これは民主党政権に変わる時期なんですね。そう考えますと、それによって、少なくとも今まで付き合ってた自民党の議員の人たちが野党になったということによる、少しの何かの変化や、または今度は与党になった民主党政権側の人たちに接触する方法は何かないかと考えたと思うし、そういう変化は団体側にもあったかもしれないと僕は感じますね。一方で、政治家はどちらかと言うと、霊感商法の情報は、こういったコンプライアンスを出していて、随分もうあまりないんですと、落ち着いたんですという喧伝を、どちらかと言うと、“ああそう、変わったなら良かったね”と言って、受け入れやすくしたんだと思うんですね。

その代わり、保守系議員に声をかける最大のコミットの方法は、「私たちは反共産主義なんです」と。「反共なんです」というところが、“それなら私たちとその関わりでは付き合いますね”というところに接点ができちゃうんですね。ですから、他の旧統一教会系がやっている色々な事業や問題点のことよりも“私たちは反共でつながるんです”というところが、もしかしたら保守系議員に刺さるように入っていく。それなら私たちとこれは味方だねとか、仲間だねと、保守系議員が受け入れやすくしていた部分はなかっただろうかと、そんな感じはしますね。

■「名称変更」直前にも弁護士連合会が反対表明

菅原

こうした政治と旧統一教会の関係が行政に影響を与えた疑惑に注目が集まっています。続いてのテーマはこちらです。「名称変更問題 下村元文科大臣の関係は?」詳しく見ていきます。

注目されているのは2015年に旧統一教会が「世界平和統一家庭連合」に名称を変更したことです。霊感商法で何度も報道されていた「統一教会」という名前から「世界平和統一家庭連合」という名前に変わったことで、多くの人が旧統一教会だと認識できなくなったと指摘されています。文化庁が認証したのですが、その過程で政治の影響を受けたのではないか、こうした疑惑です。

菅原

旧統一教会の名称変更が文化庁に認証された問題。いったい何があったのか、詳しく見ていきたいと思います。1997年に旧統一教会が名称変更について文化庁に相談してから、18年間「名称変更について要望があったが、実際には書類があがってきていなかった」。相談はあるものの、申請は行われなかったということです。そんな中、2012年12月、下村博文氏が文部科学大臣に就任。その後、2015年6月に申請され、約1カ月に受理。さらに1カ月後に認証されました。18年間、申請されなかったものが突然申請され認証されたことで、2012年に文部科学大臣に就任した下村氏が何か働きかけたのかどうか、問題になっています。

下村氏は、名称変更の手続きとの関わりについて「今後、文化部長のもとで認証をどうするかについての手続きに入るという報告があった。私がそれを受理しろと、担当者に申し上げたことはなかった」。報告を受けたが、受理しろとなど指示はしていない、こう話しています。

しかしこれに対して、1997年に文化庁の宗務課長として名称変更の手続きを止めていた前川氏、2015年には文部科学省のナンバー3である審議官になっていたのですが、「当時、文部科学大臣だった下村博文氏は、イエスかノーか意思を表明する機会があった。意思が働いていたのは100%間違いない」。このように下村氏の意思が働いていた可能性を野党ヒアリングで指摘しました。名称変更がどのように決定されたのか、しかし、決裁文書は名称の変更理由が黒塗りになっていて理由がわかりません。下村氏は黒塗り文書について「私もすごく迷惑を受けているから(文化庁には)ぜひ開示してもらいたい」このように求めています。

ただ、まず政治の介入の前に押さえておきたいのが名称変更の直前の動きです。紀藤さんたち、全国霊感商法対策弁護士連絡会が下村氏に対して、名称変更を認めないよう申し入れをしています。詳しい内容ですが、名称変更、正体を隠した資金や人材の獲得につながる、宗教勧誘であることを気付かせなくなる、名称変更で賠償責任を回避する、こうした狙いがあるので、認めないようにと申し入れていました。紀藤さん、下村氏には統一教会の名称変更に懸念があるということを認識していたことになりますよね。

紀藤

これは認識してないはずがないと思いますけれどもね、過去に何度も政治家の皆さんの先生にも色々お願いもしていましたし、統一教会問題というのは、知らないわけはないと思いますけども。

菅原

旧統一教会、世界平和統一家庭連合は名称変更について「統一教会の創立当時から『世界基督教統一神霊協会』の名前のままで活動するつもりはありませんでした。1997年の『世界平和統一家庭連合』に名称変更するとの文鮮明師のメッセージを受け、世界各国の統一教会は『世界平和統一家庭連合』に名称を変更するようになりました」こう説明しています。

■「受理したもの全て認証はあり得ない」

上山

下村氏ですが、名称変更についてこのように釈明しています。8月3日は「今後、文化部長のもとで、それについて認証、どうするかということについての手続きに入るということの報告があった。その時の説明では、申請があがってきたものを対応しなければ、行政上の不作為になる可能性があるという説明も確かあったと思います」認証の手続きに入るという報告があったと話しています。さらに、「申請されたものを対応しないと、行政上の不作為、違法に問われる恐れがあるという説明を受けた」こう話しています。

さらに翌日、8月4日ですが、「受けなければ不作為で法的に訴えられたら負ける可能性があるので、これは申請については受理をすることにしたいということが事前に報告がありました。名称変更で許認可ではないので、あくまで書類上の問題ですので、書類の中で齟齬があるかないかをチェックした結果、名称変更については、これはせざるを得ないということで、報告をその後受けた」。許認可ではなく書類上のチェックで、問題なければ名称変更せざるを得なかったんだ、こう説明しています。つまり、名称変更を申請されたら、書類の問題がなければ認めるしかないと説明された、こう話しています。

旧統一教会のような、問題が指摘されている団体でも、名称変更は申請されれば、受けなければならないのか。名称変更の手続き、ポイントは3つです「申請」「受理」「認証」です。まず、この受理については、末松文科大臣が「申請書の必要記載事項に不備がなく、必要な書類が添付されるなど、形式上の要件に適合する場合には受理する必要がある。形式上の要件以外のことを理由として受理を拒むことは、行政上の不作為として違法性を問われる恐れがあるものと認識している」。こう話している通り、受理を拒むことは原則できない。

ただ、認証について、末松文科大臣は「宗教法人法上、宗教法人から規則変更の認証申請を受理した場合、所轄庁は28条の規定に基づき、変更の手続きが同法の規定に従いなされていること等を備えているかどうかを審査し、要件を備えていると認めたときは、認証する旨の決定を行う必要がある」。要件を備えていれば認証する必要があるとしています。認証について、前川氏も、野党ヒアリングで受理しても断れるのかを聞かれ、「断れます。認証しないという場合には、これはなかなか簡単にはいかないんですけれど、認証しないという決定をする場合には、宗教法人審議会にかけなくてはいけない。宗教法人審議会にかけて、これは認証しないという理由があるんだということをちゃんと説明して、宗教法人審議会がそうだねっていうことで、了解するということであれば、認証しないという決定はできるわけです」。つまり、「申請」されれば「受理」はしないといけない。ただ「認証」は、必ずしも、しないといけないわけではないということです。行政の手続きにも詳しい大二郎さん、下村氏が話している内容、どのようにご覧になりますか?

橋本

そうですね。僕がしていた知事という仕事と大臣という仕事は、国民に選ばれた政治家が行政のトップになって、その行政組織を動かしていくという意味で、同質のものだと思います。そういう経験からお話しすると、今、何度も繰り返し、お話があったように、申請があったものをそのまま何の理由もなく、受理しなければ、また受理したものをほったらかしにして判断をしないまま、ずっと店ざらしにしていたら、それは行政の手続として透明なものではないので、不作為になって違法になりますよという決まりに当然なっています。

しかし、だからと言って、受理したものを全て認証しなきゃいけないかと、そんなことはあり得ないので、やはりそれは通常の場合は、要件が揃っていればそのまま認証ということになるけれども、通常じゃない場合は、その限りではないということになる。つまり、この場合は明らかにその対象の団体が今、色々説明があったような、色々な問題があって、その団体が名前を変えていくということによって、弁護団の方々が指摘をされたような損害賠償責任を逃れるとか、また新しく勧誘される人が、その前のことを全然、頭にイメージできない、色んな問題が生じるでしょうということがあって、当然、審議をしなきゃいけない課題だということを思います。

文化庁の担当者がわざわざ大臣のところに報告に来た、レクチャーに来たということですから、こういうものが来ていますので、“ただご報告します”なんということを言って帰るということはあり得ないわけですね。そこまで来るということは、これは色んな背景があるからご判断どうですかということを伺いながら来るということになると思います。このケースでも当然何らかの大臣の反応を聞かずに、ただ、これからルール通りそのままやりますよということを報告に来るということはないと思いますし、もしそういうことを形式上やったのであれば、そこにはまた別の何か忖度と言われる、よく言われる忖度が働いたんじゃないかなという気がしますね。

■「本当にOKしていいのか、聞くのが大臣の仕事」

菅原

本当に忖度があったのか介入があったのか、しっかりと追及しなければいけないと思いますけれども、角谷さん。こうした政治家と、それから旧統一教会とのつながり、どうすれば、今後、断っていくことができるのか、どうお考えでしょうか。

角谷

下村さんは関与していないから、もう文化庁がどんどん進めていって不作為になっちゃうから認めたんだみたいな、どっちかと言うと関与しなかったことで、正当性を見せようとしていますけれども、大臣は関与して、これ本当にOKしていいのかと聞くのが、本当は大臣の仕事だと思うんですね。ですから、「これはあんまり僕、関わっていないんですよ」と逃げれば逃げるほど、逆に大臣の仕事をしてなかったんじゃないか。つまりチェックする人たちがこれだけいるのに、チェックしきれなかった。または紀藤さんたちが色々申し入れをしているのに、それは無視されていたというところが、何だったのかという検証が必要なんですね。

内閣改造とともに総理は、統一教会のことについても点検するという発言がありました。それから多分、新しい閣僚の人事が発表されれば、メディアは統一教会の関係を一人一人聞いていくと思うんですね。その時にもちろん、どういう付き合い方をすべきかということ。それから党におかれては関係がないだけではなくて、どういう付き合いを作るべきなのかという、少なくともガイドラインを作るべきだという指示ぐらいは、僕は総理総裁として、党にも降ろすべきだと思うし、これだけ問題があるものを、いや普通の団体と同じですよと、うそぶいていいのかということ自体が検証されるべきだと思いますね。

菅原

紀藤さん。本当に多くの被害者の方の声を聞いてきたわけですが、今後、政治家に何を望みますか。

紀藤

やはり今回は、安倍さんの襲撃に至った事件なわけです。この被害を防止するために、統一教会に対して何をすべきかということで、“戻る橋”は幾つかあったわけですよ。それが2010年の捜査終結ですよ。2009年の「新世事件」の後の翌年の捜査終結というのは、とてもこれは統一教会の被害を予防する観点では難しかった。その次は2015年のこの名称変更ですよ。ここも“戻る橋”があったんですね。

ところが、政治家はですね。その“戻る橋”を、どちらもなくしていくんですね。行政と政治はですね。だから、今も我々が考えなければいけないのは、この“戻る橋”を、もう一度検証して、何が問題点だったのか、そして被害を救済するには何をすればいいのか。そして、その救済するための処方箋をどういうふうに検討していくのかを、やはり政治家も、それから行政の担当者、文化庁の宗務課とか文部科学省もそうなんですけども、行政の担当者も一緒に検討しないといけない時期に、日本はやっぱり差しかかっていると思うんですよね。私はそれを強く言いたいです。

(2022年8月7日放送)