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#422

堺 裕太 株式会社welloop(ウェルループ) プロジェクトリーダー/理学療法士

理学療法士として、リハビリの患者さんと接する中で、杖というものが、これまでずっと変わっていないということに気付き、ただ転ばないためだけではなく、姿勢を矯正し、歩行を改善するという全く新しい杖、Paracane(パラケイン)の開発に携わる。
 
脳梗塞やくも膜下出血など脳卒中の後遺症として多く見られる、身体の左右どちらかに麻痺症状が残る「片麻痺」。日本では毎年70000人以上の患者が増えているとされ、片手片足の杖生活を余儀なくされており、社会問題となっている。
 
堺は、片麻痺の患者から杖に体重がかかりすぎて、手が痛くて仕方ないという話を聞き、その人に合った杖を作ることを考えた。手に負担がかからないクッション性のあるもの、スポーツ用の義足と同じカーボン素材で作っていくと、やがてその杖が姿勢を矯正し、反発力によって歩行を推進する機能もあることが判明。専門家に検証してもらうと、杖で歩行が改善できるのでは?という理学療法士ならではの発想は、確証に変わった。
 
これまで患者とは接してきたが、ものづくりはしたことがなかったので、堺たちには杖の開発は試行錯誤の連続だった。ユーザーの歩行データを取り、それぞれの後遺症を確認しながら調整していくと、開発には4年の歳月がかかった。
単価が10万円を超える商品になってしまったが、月2980円のサブスクリプションも導入。
片麻痺の患者には、リハビリを頑張って、いつか杖を手放したいという思いもあるので、そのような気持ちに寄り添いたいと考えている。

 

さかい ゆうた

 
1989年8月7日生まれ