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#209

自民・茂木幹事長に問う!!ウクライナ侵攻と日本の防衛

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。『BS朝日 日曜スクープ』は2022年3月4日、党のウクライナ問題対策本部長に就いた自民党・茂木敏充幹事長を緊急インタビューしました。茂木幹事長は「国際社会の根幹を揺るがす問題」「言語道断」と、ロシアを強く非難。「こうした暴挙が許されては、健全な経済活動は成り立たない」と、国際社会と連携した強い制裁を訴えました。さらに、ニュークリア・シェアリング=核共有について、非核三原則の重要性を踏まえた上で、「核抑止力や意思決定を共有する仕組み」と指摘。日本の安全保障を取り巻く環境が激変しているのを踏まえ、防衛費のあり方も含め、発想の転換を訴えました。

 
茂木幹事長へのインタビューは動画でもご覧いただけます。
■【独自】茂木幹事長激白1「ロシアの暴挙 言語道断」
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH

■【独自】茂木幹事長激白2 “核共有”と日本の安全保障
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH

■「国際秩序の根幹を揺るがす問題」

上山

現在のウクライナ情勢、ここ数日の動きで言いますと、4日未明は、ウクライナ南東部の原子力発電所、ここに対して砲撃があって、放射線が漏れたことは無いようですが、一歩間違えば非常に深刻な事態に陥る状態でした。今、人命がかなり犠牲になっています。事態が益々、深刻になっているわけですが、幹事長の危機感、お話しいただけますでしょうか?

茂木

今回の事態、非常に深刻に捉えています。その上で、危機感というよりも、今回のロシアのウクライナ侵攻を強く非難したいと、これが率直な気持ちでありまして、今回の軍事侵攻、これは国際法に違反します。決して、ヨーロッパ、ウクライナの問題だけではなくて、我々の東アジアを含めて、国際秩序の根幹を揺るがす問題として、強く非難し、また厳しく対応していきたい。

上山

どのような点が今回、ロシア軍の侵攻に関して、非常に問題だと思っていますか?

茂木

まず、力による一方的な現状変更です、これが実際に行われている。そして、ある意味、無差別攻撃、こういったものが行われている。こういったことに対しては、世界全体から非常に強い非難の声が上がっておりまして、先日の国連のロシア非難決議、国連加盟国全体の3分の2以上にあたります141か国が非難の声を上げているということでありまして、国際社会が一致して強い立場をとっていく、絶対にこういうことは許されないという声を上げ、また措置をとっていくということが大切なんだと思っています。

上山

一方でプーチン大統領は、核兵器の保有に関して言及していて、その保有能力を示しながら軍事侵攻をしています。これについては岸田総理も言語道断だとお話になっていますが、やはり茂木幹事長も同様の危機感といいますか、深刻に捉えていらっしゃるんでしょうか?

茂木

言語道断、 もってのほか、どういう言葉を使っていいのか、いずれにしても、核の力を誇示して、相手を威嚇して自分の主張を通す、こういうことはあってはならないことだと思っています。核であろうがなかろうがですね、国際法上、武力による威嚇、これは禁止をされているわけであります。今、各国は相当、厳しい措置、プーチン大統領を含めた資産の凍結であったりとか、国際決済システムからロシアの銀行を締め出すという措置をとっておりまして、それが効いているという側面もあるのかもしれないですが、ロシア軍の核戦力部隊が本当に戦闘態勢に入ったいうことであれば、間違いなく不安定要因が増していく材料になりうると考えています。特に、唯一の戦争被爆国で、核兵器の非人道性を誰よりも知っている日本として、ここは声を上げていかなきゃならない、絶対にそういうことは許されないと国際社会に広く訴えていきたいと思っております。

■「“暴挙”許されては、経済活動も成り立たない」

上山

一方で経済界では、やはり経済制裁をロシアに対してして行けば、やはり日本に対してもブーメラン効果でダメージが来ることを心配されてる方もいらっしゃると思います。そういった懸念があっても、やはり日本としては厳しい経済制裁に臨んでいくべきなのか、そのあたりはどういうお考えをお持ちですか?

茂木

経済的懸念の前に、最も大きな懸念というのは、国際秩序を揺るがすような軍事行動が許される、それによって一国の主権というのがないがしろにされてしまう、この懸念の方が大きいと考えております。こういった暴挙、これが許されるのでしたら健全な経済活動、貿易、投資も成り立たないわけですから、制裁は強いものでなくてはならない。

その一方でですね、日本経済や国民生活に対する影響というのは最小限に抑えられるような対策を引き続きとって行きたいと思います。日本としても先週、今までガソリンの補助金が5円だったのを25円に引き上げる。さらには、農林漁業だったり、中小企業、運輸、様々な産業に影響が出ていますから、予備費3600億円を使って、より手厚い、そして、より包括的な支援策というか、激変緩和措置をとって行きたいと考えております。

上山

例えばですね、ロシアの軍事侵攻がさらにエスカレートして、キエフに侵攻するような事態、沢山の人命が奪われるような事態になった場合、さらなる制裁は考えていらっしゃるのかどうか、その必要性に関してはいかがですか。

茂木

ありうると思っております。それは今の段階でもかなり強い制裁ということになっておりまして、また、こういった制裁は一国だけでやったって意味がありません。国際社会全体で圧力をかけていく、具体的な制裁をやって行くという中で、今、かなり強いレベルまで行っていますが、これが打ち止めということはありません。ロシアがさらなる暴挙に出るということがあれば、国際社会が一致して、より強い対策、これも検討していかなければならないと思っています。

■「中国・習近平国家主席は見ている…」

上山

もうひとつ、制裁を厳しくすることの懸念点で、あまりにもロシアに対して厳しい姿勢をとってしまうと、かえって、ロシア側が暴発してしまうのではないか。プーチン大統領が何をするのかわからないという懸念も、国民の方の中にはあるんじゃないかと思いますが、このあたりは、難しい判断ですが、どういう考えをお持ちでしょうか?

茂木

プーチン大統領は、今の時点で、何をするかはわからない、という状態だと私は思います。だから、あらゆる手段を使って、プーチン大統領そのものにもそうですが、ロシアの国内世論も含めて、こういった侵攻というのは間違っていると、どこかでやはり止めなければ。こういった圧力がですね、力と言いますか、影響がロシア国内にも及んでいる、ということが重要だと思っています。

そして今回、プーチンがどういう行動に出るか、またそれによってどういう代償を払う事になるか。これを間違いなく見ているのが習近平国家主席です。間違いない。ある意味間違ったメッセージをですね、様々な国の指導者に与えてはいけない。

上山

台湾有事というものが念頭にあるということですか?

茂木

台湾海峡の問題につきましては、昨年4月の日米首脳会談でも、その一か月前の日米2+2でも、台湾海峡の平和と安定が重要だということを、共同コミュニケの中でも50年ぶりに盛り込むといった形で、この問題に焦点を当てながら、日米で連携していく、こういう姿勢はとっているところです。

今回の問題によって、ある意味、「力による一方的な現状変更を試みる」。なかなか国民のみなさんにわからないというか、わかりにくい概念であったのが、「あ、こういう事なんだ」と。「力による一方的な現状変更を試みる」というのは、今、ウクライナの東側で、そして同時にキエフであったりとか、様々なウクライナの街で、起こっていることです。民間の人を巻き込んで、多くの死者が出ている。100万人の避難民が出ている。こういう状態が「力による一方的な現状変更」なんだと。おそらく国民の皆さんもですね、この一週間、リアリティを持って、この問題をお感じになっていらっしゃるのではないかと思います。

■議論を呼ぶ核共有=ニュークリア・シェアリング

ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本国内で議論を呼んでいるのが、「ニュークリア・シェアリング=核共有」です。これは、〝核保有国が核兵器を同盟国と共有する考え〟のことです。

問題提起したのは安倍元総理です。2月27日民放番組で〝ニュークリア・シェアリング=核共有〟を取り上げた上で、「日本は非核三原則があるが、世界の安全がどう守られているかという現実についての議論をタブー視してはならない」と語りました。一方で、岸田総理は3月2日の参院予算委員会の答弁で「政府としては核共有は認めないと申し上げています。政府として議論することは考えておりません」としています。

上山

茂木幹事長は、核共有=ニュークリア・シェアリングについては、どのようなお考えをお持ちですか?

茂木

政府の立場からしますと、長年、日本として堅持してきた非核三原則があるわけでございますから、なかなか議論できないというのが当然だと思います。このニュークリア・シェアリングについて、まず、あたかも物理的に置くことを前提にして議論が必要だと言う人がいます。非核三原則があるからできないというのがあります。ただ、ニュークリア・シェアリングの概念そのものが必ずしも物理的に置くものではないというのが一つある。今、ありうる脅威と言いますか、我が国の安全保障をしっかりしていくために必要なこというのは、脅威の性格は明らかにしたい。さらには、ミサイル防衛も含めた日本の自衛力を高めていく、さらには宇宙・サイバー・情報こういった戦略をしっかりと組み立て直す、こういう国家安全保障戦略を作っていく一貫としてというか、その流れの中で日本の安全保障の基盤である日米同盟がどうあるべきかという議論も出てくる可能性がある。

このニュークリア・シェアリングの基本的な考え方、これは集団的軍事同盟でありますNATOにおいては、加盟国が核抑止力及びそれに関連する意思決定であったり、政治的責任を共有する仕組みでありまして、核兵器そのものを物理的に共有するというものではないとされています。実際にNATO、沢山の国が加盟をしておりますが、NATOの中で、核兵器が配備されているのはドイツ・イタリア・オランダ等々、5カ国にとどまっているという状況です。こういう集団的安全保障だったり、集団的自衛権、こういう概念の元での態勢として、ニュークリア・シェアリングというのは成り立っている。

一方の日米安保、これは主に米国の対日防衛義務を定めておりまして、NATOの集団的防衛体制とは性格が当然違っているわけであります。日米ガイドラインではですね、非核三原則など日本の基本的な方針に沿って行動するということが明記をされているわけであります。ただし、ニュークリア・シェアリングは、先ほども申し上げたように、核兵器そのものを物理的にそれぞれの国が共有する、それぞれの国に配備するという概念ではありませんから、非核三原則にですね、直ちにバイオレイトする、つまり、反するか否かについては、議論の余地があるのかなと思っております。その上で、今、重要なことと言うのは、先ほども申し上げたように、厳しさを増している、我が国周辺の安全保障環境にどう対処するのかと、議論を加速して、年内にも策定をされます国家安全保障戦略、この中に具体的な戦略方針であったりとか、態勢のあり方、これをしっかり盛り込んでいくということになるんじゃないかなと思っております。

■防衛費「GDP比でなく…拡充が必要」

茂木

どういうことがポイントになってくるのかと言うと、一つは我が国にとっての脅威と一体どこなのですか?一体どういう形態なのですか?と、明示をするということだと思います。そして2つ目に、日米同盟の抑止力、対処力を向上させるのを同時に、我が国自身の防衛力、これを高めていかなきゃならないと。特に、ミサイル防衛ということにつきましては、日本自ら反撃力、これは言葉の上で、敵基地反撃能力とか攻撃能力とか色々言われますけど、おそらく、基地に留まらない、司令部であったりとか、通信施設も含めてですね、ある程度、反撃能力を持たないと、本当にミサイル防衛ができるのかと、こういった議論も進めていかなきゃならないと思っております。

実際には、これからの戦争形態、これは単に軍事力だけではなくて、経済であったりとか、サイバーであったりとか、宇宙であったりとか、様々な領域に広がっていまして、そして、軍事力とこういう経済力、情報、色々なものが組み合わさるという形で、言ってみると戦闘行為と言いますか、作戦行為というのが進んでくるわけでありまして、宇宙であったりとか、サイバー、こういった分野での、さらには情報戦略、この組み直しということが必要になってくるのではないのかなと思います。そして、こういったことをやっていくためには、今の防衛費では間に合いません。当然、あのGDP比何%とこれまでの延長線上ではない防衛費の拡充というのが必要になってくると思っています。

上山

GDP比1%…

茂木

補正と合わせると、それを超えるということなのですけれども、そういうGDPと比べて何%ということよりも、本当にこれだけの脅威があると、新たな脅威でが生まれていると、そこから国民、主権、領土、これを守りきるのには、どれだけの体制が必要なのか、その態勢を作るためには、どれだけの予算が必要なのか、こういう発想に変えていかなくてはならない。

上山

そうしますと、かなり多角的に防衛を考えていかなくてはいけない中で、何兆円ぐらいを想定していますか。

茂木

これはですね、どこまでを防衛費というかいう概念にもよりますけど、宇宙であったりとか、情報、こういったものはですね、単に軍事利用だけではなくて、民生利用ということも出てきますので、デュアルユースと言いますか、その予算を防衛費と呼ぶかどうかというのがありますけれど、少なくとも今の5兆円に留まらない、民生も含めた分野で、予算というのが当然、必要になってくるかと思ってます。

(2022年3月6日放送)