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#237

ロシア核使用の場合…NATO内で議論する“報復策”

ウクライナでの戦争で苦境に陥っているロシアからは、核兵器使用の可能性を示唆する発言が続きました。2022年11月6日の『BS朝日 日曜スクープ』は、米国や欧州の主要国が集まる国際フォーラムに参加した日本経済新聞・本社コメンテーターの秋田浩之氏が番組アンカーとして出演。秋田氏によりますと、NATOでは、ロシアが核兵器を使用した場合、“徹底した報復”をするために、議論を重ねているということです。

■「核使用や威嚇に反対」習近平氏の意図

上山

続いてのテーマがこちらです。「ロシアの核使用を警戒 NATOが議論する“報復案”」。

アメリカやヨーロッパの主要国は、ロシアが核兵器を使用した場合、“徹底した報復”をすると、議論を進めています。まず、ロシアの核使用に関して、中国からも懸念が示されました。

菅原

中国の習近平国家主席は11月4日、ドイツのショルツ首相と北京で会談しました。習近平国家主席は、ウクライナ情勢をめぐり「国際社会は核兵器の使用や威嚇にともに反対すべきだ」と強調しました。習近平国家主席がロシアへのけん制と受け取れる発言をするのは異例のことです。

上山

中国の習近平国家主席、これまではロシアに対して非難を控えてきましたが、今回はかなり、はっきりとメッセージを出しているようにも見えます。秋田さんはどのように分析しますか。

秋田

2点、理由があると思います。1点目は、やはり中国から見ても、核兵器を使えば必ず報復を受けて、ロシアの自殺行為に近いような状態になってしまうだろうと。そうすると、中国とロシアは、天井がない、限界のない友情を合意しているわけです、習近平国家主席自身がサインをして。そのロシアが自爆的に破滅してしまうことは、中国は避けたいですから、そこは中国としても警告を発したいというのがあると思います。

上山

中国としてもロシアが自滅してしまうのは。

秋田

釘をさすということですね。ただ、すでにそれは水面下でやっていると思うんですね。中国としては、ロシアが核を使うことについて、支持しかねるというシグナルは、すでに直接送っていると思うんです。

上山

水面下では、ロシアに対して。

秋田

ですから、改めて表で出すのは、もう1つの理由があると思います。それは、もしもロシアが核を使った時に、必ずこのままいけば、国際社会、世界は中国に対して、なぜ止めなかったのかと。中国は、なぜそれを阻止しようとしなかったのかと非難を浴びますね。したがって、今のうちに中国としても、核の使用は好ましいと思っていないことを、国際社会に示しておきたいという意味合いもあるんじゃないでしょうか。

上山

中国としても、ある種、責任回避の先手を打っているようなところもあるかもしれませんが、裏を返せば、中国側からすると、ロシアが核兵器を使用するかもしれないという可能性について、現実味を帯びてきたと考えているということですか。

秋田

可能性が強まっていると見ているかどうかまでは分かりませんが、中国から見ると、あまりにも予測が外れている。2月23日の時点で、翌日にあのような全面侵攻をするとは、あまり思っていなかったと思うんですよね。したとしても3日ぐらいで勝つんじゃないかと思っていたんだと思うんですね。まずそこで予測が外れています。

さらに、ここまでロシア軍が苦戦してしまうということも予測が外れていますし、それでもプーチン大統領がこういう戦い方をするということも含め、多分、予想外なことがいっぱい起きていて、中国から見て、プーチン大統領に対する信頼といいますか、予測ができない危ない相手という空気が強まっているのではないかということが、今回、発言の背景にはあるように思います。

【秋田浩之】日本経済新聞 本社コメンテーター 北京、ワシントン駐在、英FT紙論説委員など歴任。国際問題の論評報道で「ボーン・上田国際記者賞」

■「ロシアが核を使ったら徹底して報復」米欧が議論

上山

中国まで言及している、ロシアの核使用への懸念ですが、では、アメリカやヨーロッパの主要国が加盟するNATO、北大西洋条約機構は、一体どのように対応するのでしょうか。きょうのアンカーの秋田さんがヨーロッパで、ある会議に参加しました。

菅原

秋田さんが参加されたのは、「ワルシャワ・セキュリティフォーラム2022」という国際フォーラムです。

10月4日~5日、ウクライナの隣国、ポーランドのワルシャワで行われました。この会議は2014年から開催、毎年90ヵ国以上から、数百人もの政府、シンクタンクの代表者が参加、ヨーロッパの安全保障について議論しています。

主な参加者の顔ぶれを見てみますと、ポーランド首相、ラドビア大統領、リトアニア首相、ドイツ外務相、イギリスはウォレス国防相です。アメリカからは、副大統領補佐官で国家安全保障担当のゴードン氏が参加しました。ロシア問題をめぐって様々な議論が行われたということです。

先ほど、中国・習近平国家主席の、ロシアへのけん制と受け取れる発言をお伝えしましたが、アメリカやヨーロッパも強い警告を発しています。アメリカのバイデン大統領は10月25日、「もしロシアが戦術核兵器を使うなら、信じられないほど重大な過ちを犯すことになる」と発言しました。さらにEUのボレル外相も10月13日、「ウクライナに核兵器を使用した場合、米欧による核を使わない軍事的対応で、ロシア軍は壊滅するだろう」と述べました。

上山

アメリカやヨーロッパの主要国が集まったポーランドでの国際フォーラム、参加した秋田さんは、公開の場での議論と、オフレコ、非公開の分科会での議論の内容に違いがあったと記事にしていますが、いかがですか。

秋田

オープンな会議、全体会議は、動画で誰でも見ることができます。そこでは、ウクライナへの支援を今後も続けていくと、そして、プーチン政権をウクライナの中で打倒するという、決起集会的な会議および議論が多かったんですが、いわゆるオフレコといいますか、チャタムハウスルールという、誰が何を言ったかということは表に出さない分科会では、ロシアが核を使う可能性、小型核を使った場合は、どういう対応をするかについて、議論がかなり集中していたと思います。

そこでのコンセンサスは、使ったら徹底的に報復する。そして、それは核ではなくて通常戦力で、しかも地理的には、ウクライナの中と黒海にいるロシア軍という、そういった意見、これは意見ですけれども、軍事機密の中身をそこで表に出して議論するわけではないんですが、見方としてはそういう見方が多かったと思います。

■「ミサイルと爆撃機で… 報復で有力か」

上山

会議に参加した秋田さんの得た感触というのが、ロシアが核を使った場合の報復は、NATOでかなり検討が進んでいるということです。機密情報もあるので全てを詳らかにはできないと思いますが、NATO側がロシア軍に報復するとなった場合、どういった攻撃が想定できるのか。この辺りは、言えるところまでで、どうなんでしょうか。

秋田

私が知っていて言えないというよりは、軍事作戦は私も知ることができない機密なので、なかなか取材しても中身を教えてくれる人はそうはいないんですけれど、ただ、NATOの軍の首脳が来ていたので、どういうことが検討されているかを聞きました。答えは、連日、まずバイデン大統領に選択肢が色々上がっているはずだと、報復策ですね。そして、それについてはNATOの中でシェアをされていて、連日のように議論されていると言っていましたので、これはもうかなり具体的に想定した準備、検討が進んでいるのかと思います。

上山

今まで西側諸国としては、ウクライナに対して兵器を供与するという形で支援をしてきましたが、ロシアが核兵器を使用した場合は、もっと具体的に報復に踏み切るということですか。

秋田

私なりの解釈ですが、おそらく考えられる報復の有力な案は、ウクライナに地上軍を派遣しないということです。そして、ミサイルと爆撃機などでウクライナにいるロシア部隊に打撃を与えて、それを受けて、ウクライナ軍が占領された地域を取り返すことができるようにすると。そういったような報復が有力なのではないかという感触です。

■「ロシアの核使用見合わせはNATOの備えあるから」

上山

山添さん、地上軍を派遣しないけれどもNATO側から爆撃機で空襲をする。それから長距離ミサイルで攻撃をして、ウクライナ軍を支援するような形の攻撃が考えられるということですが、これによってロシア軍が受けるダメージというのはどれぐらいのものなんでしょうか。かなり大きなものなんでしょうか。

山添

例えば、NATOが爆撃でロシアの軍事拠点の多くを叩くことになれば、ロシアは攻撃能力にダメージを受けて、すぐに同じ攻撃はできなくなるでしょう。ロシアはさらに別の攻撃をすることはできるでしょうが、1回NATOが出てきたのであれば、さらにまたNATOからの攻撃を予期しないといけません。これで応酬が激化すると危険なエスカレーションになるので、それを避けるにはロシアがやめるかNATOがやめるかです。ロシアはNATOが恐れてやめることを期待したいですが、NATOが反撃を続けるならロシアが危険になるわけなので、そのどちらの危険になるのか、ロシアとしては見通しが立てにくい、リスクが非常に高い段階になります。

今のロシアとしては、その段階に進むことなしに、決着を付けられるほうがよいです。つまり今、準備している通常戦力で勝ちたいと思っているはずです。これまで、ロシアが核兵器を用いていないのは、用いればこのようなリスクが高い状況になるからであって、NATOが反撃する意思を伝えることで、ロシアがNATOの介入を避けるべきだということを、NATOとしてはロシアに説得しようとしている。NATOは全ての作戦計画は見せないけれども、共通の議論としてNATOの反撃計画は実在することを見せているということだと思います。

上山

ロシアに対し、十分抑止につながるようなNATO側の報復案ということになるんでしょうか。

山添

ロシアとしては、のちに本当に追い詰められたら核兵器を用いるリスクをとる可能性もあるのですが、今は核兵器の段階に行くのはやめておこうと考えていると思います。それはNATOが備えを持って伝えているからです。

【山添博史】防衛省防衛研究所 地域研究部米欧ロシア研究室主任研究官 ロシア安全保障や国際関係史を専門に研究。共著「ウクライナ戦争の衝撃」6月に出版

■「ロシアは追い詰められたら…警戒が必要」

上山

ロシアが核を使用した場合、NATO側、アメリカやヨーロッパの主要国は、どう対応するのか。きょうのアンカー、秋田浩之さんがNATO加盟国を取材したところ、NATO内では、ロシアに対する“徹底した報復”を行うことで、足並みをそろえているということです。想定されるロシアの核兵器の使用は、①“脅し”としての使用、つまり、海上など無人の場所での使用です。②ウクライナ軍に対しての使用、これは戦場における攻撃としての使用です。③そしてキーウなど大都市への使用、そうなれば当然、多くの民間人の犠牲は避けられません。

上山

ロシアによる核使用は、このようなケースが考えられますが、秋田さん、それぞれの段階ごとにNATOの報復の内容を議論しているわけですか。

秋田

そうだと思います。その前に、この表はこのように①~③としましたので、これを見ると3分の1ずつ可能性があるような印象を受ける方もいるかもしれませんが、③というのは、常軌を逸した状態でなければ、戦争に勝つ意味、勝つために、これから占領しようという都市に核爆弾を打ち込むというのは常軌を逸していますので、可能性としては極めて低いと思います。

一番考えられるのは、やはり①の“脅し”でやるか、②のウクライナ軍に使用する場合は、通常戦力では守れなくてクリミア辺りまで攻められてしまうかもしれない。それを止めようと思ったら、通常戦力では無理なので、小型核を使うということはあるかもしれませんが、それは結局、放射能の汚染が広まりますから、ハードルは高いと思います。したがって、こういった酷さによっても、NATO側の報復の内容というものは変わってくるであろうと思います。

上山

クリミア半島などが実際に取り返されそうになったら、こういったことも検討はされているということなんでしょうか。

秋田

むしろ、ここは山添さんに伺いたいんですが、ドクトリンで、よく言われるように、核使用というものが定められています。そういう点からすると、今の状況からして、どのぐらい可能性があると見たらいいでしょうか。

山添

今ロシアは、本国領土には攻めこまれていないのですけれども、ロシアの存在を脅かされていると言い始めています。ですから「軍事ドクトリン」にある公式の基準によれば、国家の存立を脅かされているので核兵器を用いると主張することが可能で、いつ核兵器を使ってもおかしくはないということになります。また、汚い爆弾という話がありましたが、ウクライナがそれを使ったと言えば、ロシアに対して大量破壊兵器を使われたので核兵器を用いると主張できるということになります。

ですから、公表された基準を我々が解釈するのではなくて、ロシアの大統領が、核兵器を使えば効果があって勝てる、NATOから攻撃されても負けない範囲で勝ちを収められるという確信があれば、基準をそのように解釈して核兵器を使うでしょう。今でもロシア軍の戦況はかなり厳しい状況ですけれども、本当に負けそうになっていく場合に、核兵器しか打開の手がないと考えて、NATOによって酷い目に遭うかもしれないけれども、やってしまうという可能性も残っています。その際には、ロシアの大統領が核兵器で打開できるという確信を優先して、NATOによるリスクを低く見積もるという誤算を起こしてしまう可能性もあります。ロシアが押されていくときに、核兵器の問題が非常に真剣に議論されていくというのは、やはりそういう点があるわけですね。追い詰められたら使うのではないかというのは考えておかなくてはいけないです。

■「第3次世界大戦の危険 質問すると…」

上山

ロシア側としてもメリットとデメリットを考え合わせながら、どうするか、間合いを図っているようなところがあるかもしれませんが、秋田さん、気がかりなことがあります。例えば、ロシア側が核を使ってNATO側が報復しますと、それに対してロシアがさらに核で報復するという、エスカレーションが非常に懸念されます。こういった議論は会議では行われていたんでしょうか。

秋田

行われてはいます。ただ、今の状態、会議の空気を支配しているのは、核がもしも使われた場合、80年近く世界の平和を保ってきた、核は絶対使わないというタブーが崩れる。タブーが崩れたらそれを回復しなくてはいけない。回復するためには、使った国に対しては、倍返しじゃないですけれども、もの凄い報復が来るという実績を作らなければいけないというところから、議論をしている面もあると思います。したがって、その報復はやらなければならない。今、山添さんからもありましたように、その結果、ロシアから報復があるであろう。そうしますと、まさに欧州で大戦になってしまうわけです。その点について私は、何度も軍の首脳や政府当局者にも聞いたんです。第3次世界大戦の危険があるのではないかと。そうすると印象的だったのは、ある軍の幹部は10秒ぐらい沈黙して、「分からない」と。分かってやっている感じはないと思います。手探りですね。

上山

誰も目の当たりにはしたことがない状況ですから、ただシミュレーションとしては行っていると。

秋田

シミュレーションはABCDいっぱいあると思いますが、そのうち、いわゆる第3次世界大戦的なリスクというものもシミュレーションにあると思うんですね。その可能性がどのくらいなのか。ゼロなのか、何%なのかということも含めて、みんな分かって進んでいるのではないという風に思います。

■「“核使用に報復”NATO議論 ロシアも分析」

上山

畔蒜さんは、NATO側の報復の議論をロシアはどのように分析していると見ていますか。

畔蒜

まず核ドクトリンの点なんですけど、山添さんがおっしゃったように、国家の存立が脅かされたとき、通常兵器(による攻撃)であっても核を使用する権利を保持すると明確に書いているわけですが、問題は、「国家の存立が脅かされたとき」という、ここのところの解釈は結局、プーチン大統領の解釈なんです。とすると、明確に、ここまでやったからやるとか、ここまでやらなかったからやらないということは、文言からは読み取れないというということが第1点です。

それと今、議論されている、もし仮にロシアが戦術核を使用した場合にNATOがどう出てくるかということは、ロシアもメディア、専門家の間でも十分議論をされていて、戦術核を使ってもロシアの目的はレッドラインを引きたいということなんです。要するに、ここから先は入ってこないでねという、レッドラインをアメリカとの間で引きたいと。言ってみたら、キューバ危機はまさにそれだったわけです。ですからレッドラインを引きたいと、ただし戦術核を使ってもNATO側がさらに軍事的な攻撃をかけてくるのであれば、当然、ロシア側はさらなるレッドラインを引く、ハードルを高めるために上げていくという、そういう形の議論はすでにされています。

ドミトリー・トレーニンという有名なロシアの外交・安全保障問題の専門家がいますけれど、彼は、「米ロ関係の間で恐怖を取り戻せ」と言っているわけです。今はあまりにも核を使用することに対する、あるいは核をやり取りすることに対する、恐怖のレベルが下がっていると。それは、お互い多分そうなんだと。ですから、恐怖を取り戻せということは、最終的には戦術核ではなく、戦略核まで議論が発展するということを今、実際、ロシアのメディアでも、そういう議論がかなり真剣にされているということなんです。

上山

恐怖を取り戻すことができるのかどうか。

畔蒜

今の議論でも分かるように、非常にどこまでエスカレートするのか分からない状態で、今、にらみ合っているということで、チキンレースですよね。車と車が面と向かい合ってアクセルを踏んで、どっちかが逃げるまで行くという。ぶつかる直前に逃げたほうが負けということですが、今、チキンレースが始まっているわけです。チキンレースに勝つためには、ハンドルを取り払って窓から捨てるというのが1番良い方法だと言った人もいます。だから、高度な心理戦を含めた、危険な攻防というものが今、行われているということは、知っておくべきなんだろうと思います。

【畔蒜泰介】笹川平和財団主任研究員 専門はユーラシア地政学、ロシア外交安全保障政策、日ロ関係。国際協力銀行でモスクワ事務所上席駐在員を経験

■ロシアに核を使わせないために…

上山

ロシアに核兵器を使わせないためにどうするべきか。秋田さんはこのように提言します。「核使用を思いとどまらせる、効果的な圧力と外交の継続」が必要だということですが、秋田さん、これはどういうことなんでしょうか。

秋田

核兵器を使った場合、ロシアが自滅するということを、こちらの脅しではなく本気で信じるぐらいに、何回も警告として伝えることが重要だと思います。具体的に言えば、今、我々が議論した色々な報復案がありますが、どこまで正確に細かく言うかは別にして、ロシアに対して、もしも使えばこういう報復を受けるということを、プーチン大統領に伝わるように、何度も伝えることによって、使うことをためらわざるを得なくするということが、外交上、必要だと思います。

上山

水面下、それからオープンにしても、両方ということですね。

秋田

水面下でアメリカのホワイトハウスの高官は、プーチン大統領に伝わる形で、壊滅的な事態を招くという警告を伝えているとは言っています。ただ、1回や2回では足りないと思うので、何度も言うと。同時に公開で言うということも、合わせてやっていく必要があると思います。

上山

畔蒜さん、どうお考えですか。

畔蒜

外交という面においては、アメリカは先日21日、オースティン国防長官がショイグ国防相に電話をしています。興味深いのはこの日、キューバ危機60周年の真っ只中なんです。

22日が、ケネディ大統領が封鎖したと発表した日ですので、非常にシンボリックな13日の真っ只中に、アメリカはショイグ国防相に電話するということが、お互いが核大国としての責任を改めて確認するという、戦略的メッセージが込められていたということだと思います。そういうことも含めてやっていくということだと思います。

上山

山添さんはいかがですか。

山添

核の威嚇というのは、ロシアから示しているわけですが、これによってロシアに有利な停戦が結ばれてしまうのであれば、今後もロシアや他の国が核の脅威を利用すれば利益を得られるということになりますので、これは許すべきではないというのがポーランドでの議論の重点だと思います。誤った停戦は、核の危機を回避するのではなく、次のそれを招いてしまうということです。核の威嚇に対しては、通常ミサイル攻撃の反撃ができるのと同時に、さらに、その上の手段もあるというのをNATOが示している、今、議論しているというのが非常に大事でありまして、ロシアもそんな議論があるからこそ、今は思いとどまっているということがありますので、それを続けていく必要があるんだと思います。

 
(2022年11月6日放送)