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#135

「GoToトラベル」東京都を除外・・・検査対象は拡大できるか

連日、最多の新型コロナ感染者数を更新した東京都がGoToトラベルの対象外となりました。2020年7月19日の『BS朝日 日曜スクープ』は、経済活動と感染症対策の両立にあたって、重要視される検査態勢の拡充を議論しました。「夜の街」での感染が判明しながら、一律に検査をすることができないのは、なぜなのか。

■世界の感染者数 連日最多を更新

山口

GoToトラベルから東京の除外で浮き彫りになった、経済活動と感染症対策を両立させるための課題を考えていきますでは本日のゲストを紹介します。プロ野球とJリーグが合同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チーム座長、東北医科薬科大学特任教授、賀来満夫(かく・みつお)さんです。よろしくお願いします。

賀来

よろしくお願いします。

山口

そして、呼吸器学会の専門医で、発熱外来を行っているインターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁(くらもち・じん)さんです。よろしくお願いします。

倉持

よろしくお願いします。

山口

世界の感染者の状況ですが、ヨーロッパで最も多いのがイギリスです。およそ30万人。24日から全ての公共の場でのマスク着用を義務化すると発表しています。そして世界で4番目に感染者が多いロシアが76万人。世界で3番目のインドは100万人を超えました。太平洋を越えて、世界で2番目に多いブラジル、200万人。7日に感染が判明したボルソナロ大統領ですが、2度目の検査でも陽性だったと15日に公表しました。そして最も多いアメリカが370万人です。

世界全体の日別の感染者はこのようになっています。18日には24時間で新規感染者26万人と、過去最多の感染者が確認されました。世界の感染者増加の状況は一向に衰えていません。むしろ加速し続けているようにも見えます。

そして深刻なのはアメリカです。感染者は370万人、死者は14万人に迫っています。1日7万人以上の感染者が確認され、3日連続で最多を更新しています。

賀来さん。日本は軽症者が多いです。アメリカは亡くなった方も多い。一概には比較できませんけれども、ただ新型コロナの怖さで対応を誤ると、このような被害も大きく出てしまう、この辺は考えておかなくてはいけないことでしょうか?

賀来

これは未知のウイルスですよね。ですからオーバーシュートをする可能性というのは否定できないわけです。これからも注意していかなければならいと思います。

山口

賀来さん。日本とアメリカでだいたい感染者も二桁違いますね。なぜ日本とアメリカがこれだけ違うのか、ここはどうご覧になっていますか?

賀来

やはりこれは日本とアメリカの国民性の違いもあると思います。日本の方々は非常に手洗いをし、またマスクを付けますね、いわゆる、衛生観念が非常に高い国です。それと日本は最初に見つかった場合、徹底的にクラスター対策を行っていますね、そのような違いがあるかもしれません。

山口

倉持さんにも伺いたいんですけども、アメリカを考えてみたいんですが、今は夏ですよね、フロリダは30℃超えますし、アリゾナは40℃超えているとも言われています。こういう暑い中でも感染者が増え続けている。つまり夏場も感染力は変わらないのか、この辺どうでしょうか?

倉持

そうですね。当初のうちは、インフルエンザのように夏場になったら収まってくれるんじゃないかと期待も持たれたんですが、実際はそういったこともないのかもしれないですね。ですから夏場もやはり検査態勢を充実させていくということがやはり必要なんだと思います。

山口

倉持さん、日本は、東京が連日200人以上。この状況、今後どちらへ向かうと思いますか?

倉持

当然、今の状況ですと増えていくのは、必然だと思いますね。

山口

なるほど、備えないといけないということですね。

■GoTo「個人の合理的な判断を歪める」

山口

政府の観光業支援策「GoToトラベル」ですが、東京都が除外されました。赤羽国土交通大臣は「都内の観光事業者の皆さま、都民の皆さまに大変期待があったと承知している。私としても断腸の思いだ」と話しました。さらに菅官房長官は「直前になって東京の感染症が拡大をしているという現実の中で判断をさせていただいたわけでありますので、そこについては大変申し訳ない」としています。木内さん、東京をGoToトラベルキャンペーンから除外したこの政府の判断をどう捉えていますか?

木内

大混乱ですよね、除外したのは仕方ない面もあると思うんですが、元々GoToトラベルというキャンペーンをこのタイミングでやるというのは、どうなのかなと思いますので、そういう意味では除外ではなく全体を見直すというのが必要だったのかなと思うわけです。GoToトラベルというのは、例えば県の境をまたいで旅行してもいいですよということではなくて、お金を補助するので、ぜひ積極的に行ってほしいというメッセージになるわけですね。それが今、感染がこれだけ広がっている時に果たして妥当な政策なのかというと、多分そうではないんだと思います。やはり政府が考えたのと段々と感染の状況がずれて来ているわけですよね。秋冬にまた広がると思ったらもっと早いタイミングで広がってきたわけですから、本当は政策自体も柔軟に見直つことができればいいんですけども、なかなか一旦始まったものというのは直ぐに見直せないというのは政府の政策だと思います。私は経済の再生と感染抑制の両立は確かに重要なんですけども、基本的には個人が判断するべき部分が大きいと思うんですね。個人の方がつまり、どれだけ感染リスクがあるのかと、その中でどういった消費行動をするのかというのは、ある意味もうちょっと合理的に判断できる部分があるので、このGoToトラベルは、そういった個人の合理的な判断を歪めてしまっている面もあるので、非常に問題は多いのではないかなと思いますね。

山口

国の判断が後手後手になってしまう。どうしても感染症の動きがありますから、それに個人も翻弄されてしまうということですね。

木内

個人であれば日々の感染の動きなどを考えながら微妙に行動を変えるということができるわけですけども、政府の巨額のお金を使ったプロジェクトは、そうはいかないというところがあるんだと思うんですね。機動性が欠けてしまうという部分があると思います。

山口

確かにそういう面が如実になっているともいえます。一方、16日の木曜日に東京都除外が発表されましたがその後、他の地域の感染状況もさらに拡大しています。昨日(18日)は全国で解除後最多の654人の感染者が確認されました。昨日(18日)の感染者をみても東京都を中心とした首都圏、神奈川県は緊急事態宣言後最多の49人、愛知県は宣言中を含めて過去最多の25人、大阪府でも宣言解除後最多の86人、周辺の京都の25人は宣言中を含めて最多となりました。

日別のグラフでみてみますと、大阪府は一時0人という時期もありましたが、きのう(18日)86人。そして神奈川県もこのように減少していましたが、きのう(18日)宣言解除後最多の49人が確認されています。


賀来さん。GoToトラベルから東京が除外された混乱も広がっています。全国知事会からどういう基準でGoToトラベルから除外されるのか、どういう基準になったら戻れるのか、この辺を問う声が上がっているんですが、賀来さんはどう捉えていますか?

賀来

確かに全国の知事会からも、どういう基準で判断しているのか、という声があります。どういう基準になったら今度は東京が再開されるのか、今の状況では各首都圏、関西圏もかなり増加していますよね。ですから、判断する基準を設定をしていく必要があると思います。

山口

そこがないと、例えば東京の人も事業者なども、どうしてという疑問が残っちゃいますよね。

賀来

確かにそうです。ですから、そういう判断基準をある程度、示していくことが必要だと思います。ただ、未知の感染症なので、色々な難しさがあると思います。難しいのも現実なんですけども、どこかでやはり国民の方が納得出来るような判断基準を示していく必要があると思います。

■「見えない感染の連鎖」の可能性

山口

倉持さんは栃木県でクリニックを開かれていますが、実感として感染者が増えていると感じていますか?

倉持

そうですね。今月に入って明らかに第一波の時と違うのは、今月もう7名陽性の患者さんがうちのクリニックでも出ています。特に危惧しているのが、そのうち4名は保健所さんからの紹介ではないんですね。つまり自主的にやってきた方の4名、つまり56%が陽性だったので、そういったことは今まで我々のところでは無かったことですから非常に警戒心を高めています。

山口

つまりそれは、それだけ陽性の方が市中に広まってきているということでしょうか。

倉持

ということと、保健所でもしかするととらえきれていない感染者が増えている可能性があるかもしれないということですね。

山口

なるほど。そして実際に心配なケースが報告されているんです。上山さんお願いします。

上山

東海道新幹線の車内販売員の女性の感染が確認されました。この女性は9日、頭痛と吐き気で医療機関を受診し胃腸炎と診断され、10日、11日休養。そして12日、新大阪から東京間で乗務。その後休養を挟み15日にPCR検査を受け、16日に陽性と判明しました。さらに群馬県の20代の保育士は集団感染が発生した新宿の劇場を訪れ感染が確認されました。同僚の保育士2人が感染していることが明らかになりました。

賀来さん、全国的な感染者の増加は東京とつながっていると考えた方が良いのでしょうか?

賀来

一部、東京が関連しているケースというのが確実にあるのは事実です。しかし先ほど、倉持先生がおっしゃったように、連鎖が追えない、いわゆる目に見えない感染の連鎖が続いている、地域でも続いていた、そういったものが明らかになってきたというのも一方では言えると思います。ですからその両者だと思います。

上山

なるほど。倉持さん、Go Toキャンペーンですけれども、政府は宿泊施設に検温などを求める方針ですが、誰がチェックするのか、このあたりどうお考えですか?

倉持

そもそもとして、我々第一波を経験した時に、検査態勢が十分じゃない時に、患者さんに何が必要だったかって言うと、安心感なんですね。いま幸い医療態勢整えてくださったので、検査態勢はある程度医療機関ではできるようになったんですが、実際に経済を回していくためには何が必要かって、やはり安心感なんですね。いま安心感を確保するために、我々ができることというのは、とにかく検査態勢の拡充しかないんですね。検査態勢を拡充して、例えばGo Toキャンペーンも検査をした方に補助を出して、検査陰性だったら旅行に行っていただくとか、そういった施策を取れば少なくとも受け手側も行く側も多少安心して、全くわからない状態で行きなさいって言われると非常に不安ですけれども、そういった政策がそもそも好ましかったのかなという風に思っております。

上山

そうしますと抗原検査とかも入れながら、かなりまめに検査していくことが必要になってくるんでしょうか。

倉持

そうかもしれないですね。どうしても最初のうちっていうのは歴史的に見ても、検査の感度とか特異度とか高くないんですね。そういったことを繰り返しやりながらより良い方法を開発していくっていうことも、国が音頭を取ってやって頂きたいと思いますね。

■「感染リスクの高い政策からスタート」

上山

木内さん、Go Toトラベルですけど、先ほどの話では、今がタイミングではなかったのではというお話がありましたけれども、ただ一方で、観光業界が打撃を受けている。何かしなければいけないというところがあったと思うんですけれども、では、どうしたら良かったのかというというところも含めて、どんなお考えをお持ちですか。

木内

まずやっぱり経済の再開というのは、個人が基調になるべきかと、私は思っているんですね。政府はやっぱり感染の抑制の方により注力すると。それが抑制すれば個人の経済活動っていうのは自然と戻ってくるわけなんで、そちらがベースだと思っています。ただ、その中でも政府がある程度経済の再生に向けて何か政策をするのであれば、Go Toトラベルはちょっと、まずかったなという感じがしますよね。つまり感染を拡大してしまうリスクが、ある意味、非常に高い政策からスタートしてしまったということなので、例えばキャンペーンの中にはGo Toイートもあるので、こちらの方がある意味、もうちょっと感染拡大リスクが小さいと思うので、そういう比較的感染拡大のリスクが小さいものから高いものへ難しい政策を段階的にやっていけば良いものを、いきなり高いところから始めてしまったっていうのが問題なんだと思います。とはいえ、観光業を救うというのは重要で、それはやはり日本経済だけじゃなくて、海外からのインバウンドを集めるための非常に重要な資源になっているので、これはやっぱりインフラとして維持しなくちゃいけないということですが、今のタイミングだと県境を越えて旅行にどんどん行ってもらうというよりは、やっぱり観光関連の業界を支援する、補助を与える、給付するっていう、多分まだその段階にあるんだと思います。

山口

全体でやるんじゃなくて、困っているのったら困っている業界とか、その場所にお金を持って行って、その方々に考えてもらうって事ですか。

木内

そうですね。いずれはもちろんお客さんが戻る方がいいわけですけれども、ちょっとまだそのタイミングじゃないので、そういう意味ではセーフティーネットというか、まだ助ける政策の段階にあるんじゃないかなとは思います。

山口

なるほど。それではですね、GOTOトラベルから除外された、東京都の感染者数です。きょう(19日)、東京都では188人の感染者が確認されました。木曜日(16日)に286人が確認され、金曜日(17日)は293人。昨日(18日)は290人でした。金曜日(17日)の293人は過去最多です。この感染者は2週間前に確認されたと推測されますので、今月に入ってから感染した人たちだと思われます。この状況について東京都は4段階で最も警戒レベルが高い「感染が拡大していると思われる」に引き上げました。

一方で小池都知事は「このところ(検査は)4000件を超えている、もしくは前後しているという流れで、それだけに陽性者が見つかる確率も高くなっているということでございます」と検査数増加の影響も大きいとしています。陽性率を見てみると、このように推移していまして、最新の数字では6.3%です。


賀来さん、検査が多いから陽性者が多いのか、このあたりどうお考えですか?

賀来

小池知事が「検査を行っている」と言われる、特にホットスポットですね、接待を伴う飲食店に対しての検査は確かに数が増えていますよね。そういう意味で、そこでの陽性者は増えてくると思うんです。ただ先ほど、倉持先生が言われましたように、東京都全体でも感染している方の数は多いんだという事実はあると思います。ですから検査が増えているからということと同時に、全体的に、感染している方の割合が増えてきているというように考えたいと思います。

山口

それではですね、その感染者の内訳を詳しく分析していきたいんです。昨日(18日)、290人の感染者の内訳です。夜の街関連は30人、家庭内感染が25人、職場内が25人、施設内が119人、会食が18人。そして圧倒的に多いのが感染経路不明の156人。半分以上が、感染経路がわかっていないという状況です。倉持さん、感染経路不明者が夜の街を合わせれば158人。感染経路不明者が多いですね。

倉持

はい。感染症、特にインフルエンザなんかもそうなんですけれども、最初は行動範囲の広く若い方から始まって、最初は経路が追えるが、そこから、水の中にインクを垂らしたように、段々と、じわじわ広がっていく。年齢層、それから感染する職業等も広がっていくのが一般的です。まさに今、感染拡大しているところを見ているんだなという風に考えられます。

山口

つまり経路不明っていうのはそういうことを表しているということですね。

倉持

だと思いますね。

■「積極的な検査拡大で感染抑制」の内実

山口

東京都の感染者をどう食い止めるのか?感染拡大の元になっている可能性があるのが新宿です。こちら新宿区のPCR検査センターの陽性率ですが32.9%に及んでいます。小池都知事は「接待を伴うお店の事業者、新宿区や豊島区でリーダーシップをもってやってもらっている。スタッフに検査を積極的に受けていただいている。6500件いま出来る状態」としています。「感染拡大警報」が出された15日、対応方針ですが、その1つに「積極的な検査拡大による感染拡大の抑制」が入っています。積極的な検査拡大で感染を抑えるということです。

ではその「積極的な検査」が行えているのか?感染者が多く出続けている新宿区に、おととい(19日)確認しました。すると「感染が確認された場所、その濃厚接触者への検査を行っている。無症状などローラーで検査を行う予定はない」ということでした。これまでと同じ濃厚接触者の検査に留まっていて一斉検査は行う予定もないということでした。

新宿区は対策としてホスト、キャバクラなどへの個別訪問し、ガイドラインの遵守を求めているが、検査を受けるよう要請はしていないということなんです。感染者が多い地域、業種への一斉検査がまだできない、する予定もない、こういうことなんですね。なぜできないのか?

一方、大阪でこのような動きがありました。ミナミの繁華街に臨時検査場を設置、「夜の街」で働く人を対象に1日90人、無料で検査しているんですね。しかし、吉村知事は、ハードルがあると語っているんです。「今、行政検査ではまったくの無症状者を検査するということにはなっていませんので、国のルールとしてはなっていませんから。濃厚接触者の場合は無症状でも検査します。でも濃厚接触者でもない方で「夜の街」の、ただお店を利用したとか、従業員だから、完全に症状も何もないんだけど、とりあえず検査してくれということは申し訳ないんですけども対象外になります」。

ここで重要なのが、「まったくの無症状者を検査するということにはなっていません」という部分なんです。上山さん。

上山

現在の検査の対象となっているのは【保健所、医師が必要と判断した人】【濃厚接触者(無症状を含む)】となっているので、吉村知事は感染者が多数出ている「夜の街」関連でも「無症状者に対する検査」が難しいと発言しているんです。ただ、吉村知事は「喉が調子悪いとか、少し熱があるとか言ってほしい」としています。

賀来さん、一斉検査というのは現状のルールでは、やはり難しいということになるのでしょうか?

賀来

現状のところではそうですね。ただ、今後の議論が必要だと思います。今後はこのような無症状の方を、しっかりとモニタリングできるか、そういったことも新型コロナウイルス感染症を制御していくための非常に重要なポイントになりますので、これは今後、議論をしていく必要があると思います。早急な議論が必要だと思います。

上山

どういう形でモニタリングをするというのが必要だとお考えですか?

賀来

濃厚接触者とともに、“ホットスポット”いわゆる感染密度が高いところがわかってきていますから、そういうリスクの高いところをモニターしていく、積極的に検査をして感染を特定していくということが求められていくと思います。

■「まずは“ホットスポット”で検査を」

上山

それはやはり100人とか、1000人規模で新宿のどこか区域を指定してということなのでしょうか?

賀来

例えば新宿区全体で行うという考え方ではなくて、まずは“ホットスポット”と言われているところにまず検査をしてみる。あと全国的に新型コロナウイルス感染症が、どれほど拡大していっているのか、そういったサーベランス、モニタリングも一方では必要になってくると思います。

上山

実はルールを越えた検査というのも全くできないわけではないという例もご紹介したいと思います。東京都豊島区では池袋駅前のホストクラブ8店舗に対してホスト約100人を豊島区の予算で一斉検査を行いました。さらに2月、和歌山県は医師の感染が確認された有田病院の関係者や職員、出入り業者や警備員も含めておよそ500人を検査しました。当時、濃厚接触者でも無症状は検査対象外でしたが、知事の判断で医療機関を守るため検査が行われました。

賀来さん、こういう政治決断での検査は可能なのでしょうか?

賀来

感染症危機管理を考える上で、こういった判断っていうのは時に必要なんですね。しっかりと迅速に決断できるかどうか、そういったことも感染症の危機管理に求められていることだと思います。

山口

今また東京で感染者が増えてきていますよね。ある意味、危機的な状況に差し掛かっていると思うんですが、今それぞれの区ですとか都もそうですが、行政の判断で知恵を使ってルールを乗り越えてやろうとしているわけです。これをもっと、都から感染者がどんどん広がってくるわけですから、根本的にこういうルールでやりましょうよという大きな号令というか、そういうこともやっていかないと、今までのルールに従っていると検査も大きくは拡大しないわけじゃないですか。根本的に変えていく必要もあるかと思うんですが、いかがでしょうか?

賀来

区ごとにやっていくというよりも東京都全体でどういう風に行っていくか、一定のルールに則ってやっていくかだと思うんですよね。これは小池知事の判断であると思います。特に東京は非常にメガタウンです。大きな街ですね。そこでの感染拡大をどう止めることができるのか、これは日本のひとつモデルになるんではないかと思うんですね。そういう意味でも検査をどう行っていくのか、そういうことは、しっかりとしたビジョン、コンセプトで行う必要があると思います。

山口

国の号令というのはどうですか?国もある程度こうなってくると、検査について新たな手段というか、新たな策を出していってもいいんじゃないかと思うですが、いかがでしょうか?

賀来

これは、これから議論されると思います。症状のある方はもちろんですよね。先ほどの濃厚接触者、あるいは医療関係者、そして無症状者に対しても、どのように検査態勢を作っていくのか、これからの分科会でも多分議論されることになると思います。

山口

倉持さんはどうですか?色々なルールに縛られて、なかなか検査が済まないという状態がずっと続いています。吉村知事とか、豊島区もそうなんですけど、皆さんが知恵を使って、なんとか検査を広げようとしている状態ですよね。やっぱり根本的になにかもう一歩踏み出していかないとだめなんじゃないかと私どもは思ってしまうんですが、いかがでしょうか?

倉持

私もそのように思いまして、まずですね、国が何よりも強い信念と覚悟をもって、やはり感染拡大を止めるんだという大方針を決めて、そしてそれを都や国ですね、そして個別の対応ができるようにということをしていく。それから今までクラスター対策も非常に有効ではあったんですが、残念ながら予防はできないんですね。となると、今後クラスターが発生し得る、例えば保育園ですとかあるいは福祉施設、あるいは病院、学校。そういったところで、これ個別に、新宿区も個別にやらないっていうのは財政的な面と、1回だけじゃ意味がないですから、するとどうするかって言うと、一方では下水で、その地域の流行状況がわかるといようなことも分かってきたんですね。ですから、そういったことを使って、その施設ごとに例えばサンプルを集めて100人分を1検体として100箇所調べるとか、そういったことを定期的にやっていくと、それを特に流行っている都内で広げていくと、その態勢をまず新宿区から作っていくと、そこに国が財政的なバックアップを十分にして不安がないようにしてあげることで、日本全体の拡大も防げるんじゃないかなという風に思っています。

■NYから緊急報告「希望すれば無料で検査」

山口

そうですね。では外国の例を確認しておきたいんです。検査対象について、ニューヨークの事例を見てみます。ニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんによると「ニューヨークでは希望すれば何度でも無料で検査が受けられます。症状があるとか無いとか関係ありません。クリニックや薬局、一部の教会でも受けられます」ということなんです。ニューヨーク州ですが人口1945万人ですが、検査件数は1日6万から7万8千件、1日の感染者数は最新の週平均で750.3人。東京の人口が1400万人で検査数が4千件です。1日の感染者数は3倍ほどニューヨークが多いです。


賀来さん、小池知事も検査拡充を掲げています。検査能力に注目が集まりますが、検査対象も拡充することも重要なのではないでしょうか?

賀来

感染症は、やはり検査によっては診断をいかに迅速に行うことができるか、だと思うんですね。そういう意味では、以前の専門家会議でも多分、今回の分科会でも、この検査を拡充していくという議論がなされています。PCR 法だけではなくて抗原検査法も活用されてきましたから、より日本で多くの検査がしっかりとできるような態勢をこれから作っていくことが非常に重要なポイントだと思います。

山口

倉持さん、この検査が増えすぎると医療の現場が崩壊するんじゃないかと危惧する向きもありますよね。そこはいかがですか?

倉持

第一波を経験して、我々はコロナウイルスの患者さんには重症の方も5%いますが、無症状の方もたくさんいると。そういった無症状の方も感染させるということが分かってきたわけですから、今後は検査を十分することで軽症者の方はしっかり隔離を協力していただいて、重傷者の方は従来通り治療を重点的に行うという態勢が検査することでよりはっきりわかってきますから、むしろ国民の安全安心につながることだと思いますので、今はそういったことはないと思います。

■陰性証明の検査「民間参入の仕組みを」

山口

そしてもう一つ、医療ではなく「経済活動」にとっても検査拡充が必要なのではないか、という視点です。現在プロ野球やJリーグが観客を入れて、公式戦を行っています。選手には「陰性を確認するPCR検査」が定期的に行われています。プロ野球、Jリーグが合同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チーム座長でもある賀来さんは「症状のある方へのPCR検査は最優先だが『経済活動を維持するための検査』も非常に重要。国民にも理解して頂けるような検査態勢を早急に構築していく必要がある」としています。賀来さん、このあたり重要なんですね?

賀来

はい。やはり今後経済活動を再開、あるいは、もっと活発化していくためにも、このようにやはり検査を行っていく必要が出てくると思うんですよね。ただ、それは、有症状の方の検査を圧迫してはならないということになると思います。

山口

そうですね。番組では民間の検査会社に取材を申し込みました。するとこうした状況がわかってきました。こちら、東京の法科学鑑定研究所は「社員を検査してほしいという企業からの問い合わせが平均1日約30件ある」『検査するところがないので困っている』と沖縄や北海道からも問い合わせがあるということです。さらに陰性証明書の発行を行う新潟の診療所では「企業からの問い合わせはかなり増えている」「7月1日から9日の間に15人実施」「検査費用、証明書の発行を合わせて約4万5千円」ということです。

賀来さん、当初はタブーだった陰性証明、医療関係者や交通機関の運転手、海外へ渡航する企業など経済と対策を両立するために制度の整備が必要な時期に入ってきたのでしょうか?

賀来

これまではPCR 検査がまず主体でしたけども、抗原検査が出てきました。今後は検査をどういう風に、組み合わせながらやっていくかだと思います。それからもう一点、重要なことは倉持さんが言われました、検査をすれば当然陽性の方が出てきます。そういった方が、今は入院という形になってしまうと医療施設を圧迫することになりますね。ですから、無症状の方、軽症の方であればホテル療養とか、そういった態勢を、また一方ではしっかり作っていきながら検査を拡大していく、このふたつのバランスをとってやっていくことが必要だと思います。

山口

すごく大事ですよね。東京都も一時、ホテルの解約をしてしまって、また検査を増やしてきて患者数が増えてきたとき、ちょっと逼迫している状況が生まれていますから、やっぱりそう軽症者の方を確保できるようなホテルをしっかり整えておく、そのようなことが大事ということですね。

賀来

そうです。悪化したときに、すぐに緊急で入院できるような態勢も整えておくということが重要だと思います。

山口

検査の拡大、木内さんは、どんなこと考えていらっしゃいますか?

木内

今、お話があったように、検査も感染者を見つけるための検査から、感染してないことを証明する検査、このニーズがだいぶ高まってきているということだと思います。行政検査でそれができないとやはり民間レベルでやると。ただコストのお話しされていましたけども、今だと企業が払って社員に受けさせている。企業の負担でやっているわけですが、個人になるとやっぱりちょっと高いので、保険適用が難しいってことであれば、やっぱりここに対しては補助していくと。いずれ先生がおっしゃったように(検査料金が)下がってくのかもしれませんが、まだ現時点では高いわけですので、政府が支援する。あるいはこういった民間の検査会社のキャパシティーを広げるような形でも政府の支援はできるんじゃないかなと思います。

山口

倉持さん、このあたりどんなふうに考えてらっしゃいますか?

倉持

もともと最初は、賀来先生がやられたJリーグであるとか野球界で、そういった自費検査ができるんだと。我々にとっては本当に開業医からすると夢のような感じで見てですね、実際にそれが渡航者の方ですとか、どうしても外国に行かなきゃいけない方、それから例えば福祉施設なんかに実習に行かなきゃいけない方とかですね、やはり心配なさって相談してくる方がたくさんいらっしゃるんですね。今のGoToキャンペーンが始まったところ、やはり安心して旅行に行きたい、あるいは他の人にうつしたくないということで、自費で検査できないかというような旅行会社さんからの相談もあります。これはあくまでも医療態勢をきちんと確立した上で、余力でやるところだとは思うんですけれども、是非、そういったところに民間企業がどんどん参入していただけば、当然経済的なコストが下がってくると思いますし、またそれで自分でお金を払って安心をという方もたくさんいらっしゃいますから、そういった風になっていくとより安心安全な経済が回っていくというような形になっていくんじゃないかと思って期待しております。

山口

なるほど。そういうところ支援するように国もしっかり動いて予算をつけてほしいなと思いますね。賀来さん、倉持さん、ありがとうございました。

(2020年7月19日放送)