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#302

美しき住宅建築の傑作
~茨城県取手市「旧渡辺甚吉邸」続編~

今回は茨城県・取手市の「旧渡辺甚吉邸」続編。昭和9年、実業家・渡辺甚吉の自邸として港区・白金台に建てられ、令和4年に移築・復元されたチューダー様式の洋館です。続編の今回は2階のプライベートゾーンを拝見します。驚くほど精緻な装飾が施された吹き抜けの階段を上がると、複雑な高低差を持たせたホールが現れます。住居の中に遊びのある空間を持たせているのは、山本拙郎と遠藤健三という2人の住宅建築家の共同作業によるものです。主寝室に入ると、そこは華やかなロココ調。施主の渡辺甚吉夫妻は新婚だったため、優美なデザインを選んだといわれています。その隣の客間は何と床付きの和室。地袋の中にラジエーターを組み入れるなど、近代性も兼ね備えています。部屋ごとに意匠を変えた美しき空間構成と、合理的な動線による使いやすさは、まさに日本の住宅建築の傑作ともいえる名建築です。
 
案内人:内田青蔵(神奈川大学建築学部 学部長)

取材先情報

・旧渡辺甚吉邸
茨城県取手市寺田5270
(前田建設工業株式会社ICI総合センター内)
TEL:0297-85-6171
【開館日時】
  ・原則非公開