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#87

バブルな豪邸を低予算で改装した太田川を望む家

瀬戸内海へと注ぐ6本の川が、市内を流れる広島市。戦国時代に毛利氏が太田川デルタに広島城を築いて以来、水とともに発展を遂げてきたこの街は、「水の都」とも呼ばれます。
今回は、そんな太田川を望む高台に建つお宅を訪ねます。こちらにお住まいのNさんご夫妻は、もともと広島市内の戸建て住宅に暮らしていました。子育ても終わり、夫婦二人で、以前から憧れていた「生活感を感じない家」に住みたいという夢があったNさんは、理想の生活環境を求めて物件を探すことに。そんな中で出会ったのが、築24年、地上2階地下1階建てのこちらの家でした。しっかりとした構造や、家全体で500㎡ほどもある広さが気に入り、購入を決めたお二人でしたが、実はこの家には、大きな問題があったのです。バブルの頃、前の持ち主がこだわって建てたという豪邸でしたが、間取りが細かく区切られていた為、各部屋に日が当たらず、カビがひどかったそうです。また、梁の高さに統一性がなく、凸凹した天井は低く、圧迫感がありました。これらをはじめ、様々な問題を抱えていたN邸ですが、コストを抑えつつ、ポイントを絞って高級感が感じられる素材を取り入れ、自分たちが快適に暮らせる家へとリモデルすることにしたのです。光と色でアクセントをつけて既存のイメージを一新し、ゆったりと寛ぎながら太田川の眺望が楽しめる家へと生まれ変わりました。
バブル期に贅をこらして建てられたN邸。今回は1階を中心にリモデルしました。以前、太田川を見下ろす家の南側にはゲストルームがありましたが、その隣にある和室やダイニングとは壁で仕切られていたため、折角の眺望が活かしきれていませんでした。そこで、それらの壁を取り払い、既存の開口部から太田川の流れやテラスの緑、そして日差しを取り込んだ、広々としたLDKをつくりました。高さに統一感のなかった天井は、既存の上から新たに張りなおしてフラットにし、その至るところに菱形の切れ込みを設けました。ここに仕込んだ照明が、まるで光の落葉のように、柔らかく室内を照らしてくれるのです。また、リビングの天井の一部にはステンレスのミラーを貼り、空間に立体感を出して解放感を演出しています。
着付の師範でもある奥様が教室を開くために、大きな和室も設けました。琉球畳の敷かれたシンプルな空間で一際目を惹くのが、赤錆のような風合いが圧倒的な北側の壁です。コストを抑える為、建築家自らが塗装したというこの壁が、空間をグッと引きしめています。
壁面収納なども上手に取り入れ、美しく洗練された空間に生まれ変わったN邸。着付の生徒さんにとっても憧れの家となった、素敵なリモデルでした。
 
設計担当:FUTURE STUDIO
http://www.futurestudio.jp/

【平面図】

1F before

1F after

B1F before

B1F after