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#466

河内将弘 アノテーションサポート株式会社 代表取締役

 

河内が活動する舞台は、マレーシア北部のサバ地区。ここには宗教的迫害や経済的理由でフィリピンから逃れてきた人々が数十万人いるとされる。彼らフィリピン人の不法滞在者は、マレーシア当局の取り締まりを避けるために単純労働や違法労働にしかつけず、現地で生まれた子どもたちは無国籍のまま、学校にも行けない生活を送っている。(マレーシアは血統主義のため、その地で生まれた子であっても、親と同じ国籍しか取得できない)
 
河内は無国籍の子どもたちを救うために、不法滞在のフィリピン人の親を帰国させ、子の国籍を取らせるしかないと考え、帰国しても続けられる仕事を彼らに与えようとした。
そこで注目したのが、AIに覚えさせるための画像や映像を抜き出す作業、アノテーションである。言語取得の必要がなく、オンラインでPCの簡単な研修だけでできる仕事ならと考えていたが、現在、AIの技術発展とともにアノテーションの需要はどんどん増えている。
 
地域と何の関わりもない日本人のため、詐欺と間違われ、なかなか現地の人々に信用してもらえなかった河内たちだが、2家族を帰国させ、8人の子どもの国籍取得ができた。
だが、雇用だけでは費用が足りず、資金を家族に貸し付けている現状であるため、今後はNPO法人を設立し、この問題を社会に提起し、広く寄付を募って帰国資金に充てようと
計画している。

 

こうち まさひろ

 
1994年1月29日生まれ
大学時代のボランティア活動でマレーシアの現地を訪れ、無国籍の子どもたちに出会った
ことが人生を変えるきっかけとなった。初めて社会問題の当事者の顔を見たことで、目の前の困っている人を助けたいと、自身がこの問題に関わる意味を見出した。
「警察官になりたいけど、無国籍だからなれないんだ」と答えてくれた当時8歳の男の子とは、その後、行方がわからず、会うことはできていないという。