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#230

旧統一教会問題”自民党が所属国会議員にアンケート

8月28日の『BS朝日 日曜スクープ』は、自民党が所属する国会議員全員に対してアンケートの実施を特集。岸田総理の危機感や自民党の危機管理、そして旧統一教会が政界の有力者に近づく狙いを分析しました。

■“旧統一教会問題”自民党が所属の国会議員にアンケート

自民党は、岸田政権の内閣改造後も旧統一教会との関わりが問題になる中、所属の国会議員379人のうち179人が旧統一教会と関係があったとする調査結果を公表しました。これに先立ち、2022年8月28日の『BS朝日 日曜スクープ』は、自民党が所属する国会議員全員に対してアンケートの実施を特集。岸田総理の危機感や自民党の危機管理、そして旧統一教会が政界の有力者に近づく狙いを分析しました。

■自民党がようやく所属の国会議員全員に…

上山

ここからのゲストです。まずお一人目、永田町の事情に詳しい共同通信編集委員兼論説委員の久江雅彦さんです。どうぞよろしくお願いいたします。

久江

よろしくお願いします。

上山

そして、もう一方です。全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士です。よろしくお願いいたします。

紀藤

よろしくお願いいたします。

上山

紀藤さんはあす(8月29日)初会合が開かれます、消費者庁の霊感商法対策有識者検討会に参加するということで、後ほど、どのような対策が具体的に必要なのか、詳しく伺わせてください。

上山

まずはこちらのニュースです。自民党は8月26日、党所属の国会議員に対して、茂木幹事長名での要請です。タイトルは「旧統一教会及び関連団体との関係について」。文書では「党としては組織的な関係は一切ないことはすでに確認済みでありますが、今後はこのような社会的に問題が指摘されている団体とは関係をもたないことを、党の基本方針としております」。そして「党として全体像を把握するため、所属国会議員全員に点検結果を党本部にご報告いただくことと致しました」としています。回答の締め切りは9月2日までとなっています。自民党には衆議院261人、参議院118人の議員が所属していますが、その全員に対するアンケートです。

そしてこちらが回答の用紙です。記名式で、国会議員それぞれの氏名を書き込むことになっています。質問項目は8つ並んでいます。

まず、この会合への祝電やメッセージを送ったことがあるかどうか。そのうちビデオメッセージを送ったことがあるかどうか。こういったことも質問項目は含まれています。二つ目には、この広報紙誌へのインタビューに応じたことがあるかどうか。対談記事などが掲載されたことがあるかどうか。さらには会合関係ですね。まずここは旧統一教会の関連団体の会合に出席したことがあるかどうか。これはかなり細かく質問が分かれておりまして、秘書が出席したかどうか、議員本人が出席した場合は挨拶があったかどうか。さらには講演も行ったかどうか、質問を連ねています。さらには別項目で、この旧統一教会本体が主催する会合に出席したことがあるかどうか。こういった団体含めて会費を支出したことがあるかどうか、寄附を受けたことがあるかどうか、パーティー券を購入してもらったことがあるかどうか、質問に盛り込んでいます。また、選挙についても聞いています。ボランティア支援を受けたことがあるかどうか。さらには選挙支援の依頼をしたことがあるか、組織的支援の動員など受け入れたことがあるかどうか。久江さんはこの自民党のアンケートのタイミング、そして内容については、どのようにご覧になっていますか。

久江

タイミングとしては世論の支持の低下とかあるんですけれども、やはり岸田さんとしては、当初はそれぞれが点検して適正な形に見直すよう指示ということで、いわゆる自己申告、自己反省と、個の問題にしようとしたわけですよね。それに対して、世論との乖離があって支持率が下がるという中で、これはやはり党としてガバナンスというか、たとえ個々の調査の取りまとめであっても、党としても姿勢を見せなきゃいけないということで、私はベストではないけれどもベターというか、岸田さんは踏ん張っているなという感じは実はしています。

ただ、何でベストじゃないかと言うと、質問項目が8つあるんですけれども、全て事実関係を問うているわけですよね。やはり国民というか一般的な疑問としては、一体なぜここまで濃淡があれども関係があったのかと、どうしてそういうことだったんですか。向こうの人から来て選挙協力を行ってきたんですか。様々あると思うんですが、いわゆる事実がわかっても真実に迫るというのは、どうして、なぜ、そういうことが行われたのかという問いが重要ですが、実はここにないんですよね。そういう意味ではちょっとベターではあるんですが、若干、画竜点睛を欠いているかなという感じがしますね。

■「自民党内の受け止めは3種類」

上山

久江さん、このアンケート結果をもとに、個別調査にも踏み込む可能性はあるんでしょうか。

久江

この政治的な思惑としては、岸田総理にしても茂木さんにしても、やはり全体のパッケージでやったということで、何とかここで手仕舞いというか、区切りをつけたいということだとは思うんですよね。ただ実際1週間でどこまでできるかというのもありますし、国会議員の方の中には、実際、自分が知らなくて秘書の人が何年か前にそういうことがあったということがわかったという人もいて、その辺の整理も含めて、この1週間でどこまでできるかは正直言って、ちょっとわからないんですが、実は9月2日までにまとめて、早ければ6日に公表と言われているんです。

上山

そんなに素早く集計するんですか。

久江

どこの段階で実名を出すのか。関係が深いというのは一体どこなのか。これは実はアンケート結果を見ないと、どこまでを出すんだ、出さない、非常に線引きが難しくて、私の名前は出てしまうんだろうかということを懸念している議員も少なからず実はいるという状況ですね。やぶ蛇になっちゃうかもしれないんですね。

上山

そういった意味ではこの一枚目のところには、報告の後に新たな関係がわかった場合には改めてきちんと報告するようにと。「追加で報告をお願いします」、こんな文言もあるんですけれども、永田町の自民党の議員、今どういった色合いで、このアンケートを受け止めている雰囲気なんでしょうか。

久江

ざっくり言うと三種類ぐらいですかね。一つはやはり、びくびくして、事の大小は別にして、今まで出ていなかったけれども出てしまうんじゃないか。あるいは、私としては関係ないと思ったけども、出てしまうことによって、自分のイメージは悪くなるんじゃないかと、いわゆる怯える人がいる一方で、関係はあったけれども、直接的に私、そんなにコミットしていないので出してもいいよという人もいる。

やはり私のイメージですが、やっぱり半分近くですかね、全然関係ないので迷惑なんだよねと、全体が悪いみたいに言われて迷惑なので、逆にしっかりとしてくれて私が関係なかったということを明示したいという人もいます。やはりそういうことに示しをつける意味でも、核心部分がちょっと欠けているとはいえ、岸田さんがこういうことをしたというのは、私は、党内にけじめとか示しをつける一定の効果はあると思いますね。

自民党は9月8日、所属の国会議員379人のうち、179人が旧統一教会や関連団体と過去に関係があったことを明らかにしました。そのうち121人の氏名を公表しました。
関係の内訳は以下の通りです(質問項目ごとの集計のため、重複があります)。

◆祝電・メッセージ等の送付97人 ◆広報誌へのインタビューや対談記事の掲載24人
◆旧統一教会関連団体の会合に秘書が出席76人 ◆会合に議員本人が出席したが、あいさつ等はなかった48人 ◆会合に議員本人が出席し、あいさつした96人 ◆会合に議員本人が出席し講演を行った20人
◆旧統一教会主催の会合に出席10人 ◆旧統一教会や関連団体に会費などの支出49人 ◆旧統一教会や関連団体からの寄付やパーティー収入29人 ◆選挙におけるボランティア支援を受けた17人 ◆旧統一教会・関連団体への選挙支援の依頼、組織的支援、動員などの受け入れ2人

■「広告的効果の有無で基準作りか」

上山

紀藤さんは、このアンケートの質問項目について、それから、これを行うということになったことについて、どういうふうにご覧になってますか。

紀藤

私はやはり被害者の立場で考えると、これで自民党、それから立憲民主党、それから維新も含めて、大きな野党も含めて、自己調査をやっているわけですね。ですので、一定の評価をしたいと思っているんですよ。問題は、この後の基準づくりだと思うんですよね。つまり、これは事実を確認したということですから、具体的にその事実を確認した人の濃淡ですよね。

意外とアンケートが練られているなと思うのは、要するに広告的効果があるかないかというところが、基本的な質問項目に大項目と小項目があるとすると、小項目のところで、いわゆる広告的効果があるかないかを極めて綿密に練っているんですよ。つまり例えば二番目だとすると、ただ取材を受けただけではなくて、わざわざ対談したかどうかということですよね。対談するというのは、広告的効果があって、被害者を増やす効果があるわけですから。

それから三番目もそうですよね。本人ではなくて、秘書が出たか、本人が出たかとか、細かく広告的効果の程度を見ているわけですよ。あとはフェーズとしては職務権限の問題があるんですけれども、それは客観的にわかるじゃないですか。そうすると何か広告的効果、つまり単純な濃淡ではなくて、広告的効果がある、つまり、統一教会を宣伝する効果があるものに関しては、より細かくその基準作りをしていくというか、こういうことをやっちゃいけませんよと。

取材にたまたま世界日報の記者が来た、事実上、記者会見に来られたらどうしようもないですよね、その取材で来たのも当然記事になるわけですから。ですけども、それ以上に、さらに関わる時の基準づくりをどのように考えていくかということが練られているなと私は見ています。

■「楽観的に準備して悲観的な状況に」

上山

こういった中で、自民党としては所属の国会議員全員にアンケートを実施することになったんですが、ゲストの久江さんは実は自民党がこうした具体策を示すまでのプロセス、その裏側に注目しています。。久江さんは「土俵際で踏ん張る岸田総理」。このように分析していますが、これがどういうことなのか。

一体どういうことなのか。こちらは岸田総理の対応を時系列にまとめてみました。まずはこちら自民党の初期の頃の対応です。岸田総理が最初に旧統一教会の問題について言及したのが7月31日です。この時には「政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事」としていたわけですね。その後8月2日になって茂木幹事長が、「自民党と組織的な関係は一切ない」と強調していました。まずこの段階で久江さん、岸田総理は旧統一教会との問題はどのように捉えていたと分析していますか。

久江

結果的に見ると、楽観的に準備して悲観的な状況に今、なってしまったということですよね。軽く見ていた感じがあって、やはり自分で調べて自分でも「今後、関係を断つ」と言ってくださいということで、個人の問題にしていってそれで収まるだろうと。それは8月10日の新しい閣僚に対しても同じ物差しを当てはめて、そういう意味では統一教会に関係する人が入閣、あるいは三役に入るということは多分織り込んでいたと思うんですよ。でも、そういった、いわゆる火消し会場で、自己申告、自己反省という材料を使えば、改造してもある程度鎮火するだろう。そのようにちょっと踏んでいた節がありますよね。

上山

内閣改造がこの後行われるわけですけれども、8月10日の内閣改造に向けて岸田総理は「関係をそれぞれ点検して適正な形に見直すことを指示したい」。8月6日はこのように言っていました。内閣改造の前日になりますと、より厳しい表現、「適正な形」から「厳正に見直すことが前提となる」と、このように話したわけです。久江さん。改めてこの内閣改造の前の段階での岸田総理、どのように見たらいいですか。

久江

要するに予防線ですよ。もうこれを繰り返していて、「適正」から「厳正」に変わっていますけど、これを繰り返すことによって、党ではない。政府ではない。個人の問題でも、そこはしっかりやっておいてねと。ということで乗り切れる、乗り切ろうと、そういうふうに考えていたわけですね。ただ若干、言葉は違いますけれども、ある意味、予防線を強めているというだけの話であって、そこは、これ以上広げないぞということを繰り返し言って、さらに茂木さんも同じように文書を出して一応、実は組閣のときに閣僚にA4で応答要領が配られているわけですね。こういう風にしゃべってくださいと。これで収めようとしたわけですね。

■支持率“下落幅”以上に「深刻」な理由

上山

ところが、内閣改造から10日あまりが立ちましたけれども、毎日新聞の世論調査では内閣支持と不支持が逆転し、不支持が支持を上回りました。さらにはANNの世論調査でも、マイナス9.9ポイントで大きく支持率が下がっています。この支持率。世論調査の結果ですが、これが岸田総理に対してはどういった影響があったと久江さんは見ていらっしゃるんでしょうか。

久江

時系列で見ると、8月10日に内閣改造した。それで自己申告ということで、納めようとしたけれども次々に出てくる。岸田さんは16日から21日まで夏休みですね。この間、生稲晃子参院議員、応援した萩生田光一自民党政調会長の問題が連日のように報道される。

岸田さんはゴルフをやったり、静岡の方に行かれていましたけれども、この間、鎮火したつもりが燎原の火のようになってしまったということで、そういう意味では20日、21日、先週の土日ですかね。おそらく、この辺りで茂木さんと打ち合わせている可能性があって、やはり焦点の分岐点は8月22日の月曜日になるんですね。その時に茂木さんはガバナンスコード、統治指針を示すと言って、これで収まるかなと、まず最初の矢を放つんですが、世論調査が出て、それが月曜日22日の朝、毎日新聞、そして実は、岸田さんと、熊本の岸田さんの後援会の会長の問題を週刊文春の記者が当てたのも、この22日の午前中ぐらいらしいんですね。

上山

当てたというのは、どうも雑誌側が取材をしているんでないかということが岸田総理の周辺に届いてきたのがその辺だと。

久江

おそらく岸田さん本人に行っていると思います。普通、週刊文春は木曜日発売なんですけど、今週、夏休み明けで前倒しで、23日の午後にオンラインに載るんですけどね。22日の段階で岸田さんの耳には、こういうのが出ると。これは岸田さんは相当怒っているらしいんですが、いずれにせよ、その月曜日が分岐点となって、これはまずいということで、月曜日の夜に関係を絶っていただくよう徹底していくことは重要だと、初めて関係を断つという言葉を出すんですよね。

上山

ということは、この8月22日、今、久江さんがおっしゃった、かなり強い表現ですよね。岸田総理が「こうした団体との関係については断っていただくよう徹底していくことが重要だ」。このような表現に至ったのが今の経緯ということなんですけれども。

久江

これは世論調査での支持率の下落以上に、岸田さんにとっては、非常に大きなダメージというか、ちょっと衝撃があったと思うんですね。それはなぜかといいますと、毎日新聞の世論調査を分析しますと50代、とりわけ60代以上の高齢者、この支持がガンと落ちているんですね。

裏返して言いますと、実は安倍政権や菅政権もそうですけれども、自民党は比較的、若い層の支持が高かったんですが、岸田さんになって、緩やかなというか穏やかなというか、いわゆる旧来型の保守支持層ということで、年配者、50代60代から高齢に行くほど、岸田さんの支持が高い傾向があったんですね。これは読売新聞やほかの調査に出ているんですけれども、そこが実は、この世論調査でガンと落ちたんですね。岸田さんからして見れば、岩盤支持層というか。それはなぜかと言うと、その世代が旧統一教会。学生時代とかあるいは社会人のときに、この問題は強烈に、いわゆる政治的社会化といいますか、自分の問題として身近に感じていた層だったんですね。そこの支持がこの統一教会かということでガンと下がったという意味で、数字以上のインパクトを岸田総理に与えたと思うんですね。

■「民間企業だったら…」「政治家は危機意識を」

上山

杉田さん、今回のアンケートに至った背景には、岸田総理としての危機感の高まりもあったということですが、どうご覧になっていますか。

杉田

本当に、関係を絶つという一言がもっと早い段階で出ていれば、状況はだいぶ変わっただろうなと誰しも思うわけですよね。こういう客観的な状況から、そのように皆さんが思ってしまうということは、やはり岸田さんのリーダーシップなり、あるいは危機管理意識というんですか、ガバナンスも含めて、どうなっているのかなというのが素朴な疑問だと思います。

例えば、民間企業で何か大きな問題が起きた場合は、やはりすぐにトップが記者会見して、こういった関係を断つというような、非常に強い表現で反省ですかね、そして新しい前向きなことをすると。第三者委員会を作って徹底的に調査すると、検事さんとか弁護士さんが入って、利害関係者じゃない人が入ってやるというのが基本の「基」なんですよね。それがやはり、自民党なり岸田さんの頭になかったというところが非常に残念だし、これで果たして、今後どこまで洗いざらい調べられるのかなという疑問は当然出てきますね。

菅原

紀藤さんとしては、これまで何度も政治家に、教会側との関係を見直すように訴えてきたわけですが、これまでの対応をどう見ていらっしゃいますか。

紀藤

やはり最初に危機意識を持っていただきたいと思っているんですよね。やっぱり統一教会が政界に浸透するということが米国でもヨーロッパでも同じように指摘されてきたんですね。ところが、政界に浸透されていることを、それ自体をあまり政治家が危機意識を持っていなかったということで、首相も含めて、これは、統一教会に狙われていると考えてもらった方が、そのぐらいの危機意識を持ってもらった方がいいんですよね。

つまり、政治家が統一教会を利用しているというよりは、その政治家に統一教会がよりすり寄っていくと。どこにすり寄るかということは、統一教会として使い勝手がいい、つまり職務権限を持っているか、広告的効果が強いかどうかなんですよ。だから、やはり野党でも有力者になるんですね。与党も同じですよね、有力者になっていくと。だから有力者であればあるほど、あるいは政治的な職務権限を持っている人であればあるほど、統一教会に対しては気をつけていただかないといけないんですけれども、そこの危機意識が余りにも希薄だったということが今回の結果として現れていると思います。

■消費者庁で検討会「皆さんの応援を」

上山

この旧統一教会の問題をめぐって、政府はすでに関係省庁の連絡会議を設置しまして、9月初旬から1カ月間を集中強化期間としていますが、あす(8月29日)は消費者庁が有識者検討会の初会合を開くことになっています。この検討会には紀藤正樹弁護士も参加することになっています。今後の対策で何が重要になってくるんでしょうか。この後、紀藤さんに伺っていきます。

菅原

スタジオの紀藤弁護士も参加される霊感商法対策を話し合う消費者庁の有識者検討会の初会合があす8月29日に開かれます。この検討会では霊感商法などへの対策を議論するほか、これまでの消費者庁の取り組みが適切だったかを検証します。スピード感のある議論を目指しまして、週2回程度開催。原則オンラインで一般にも公開されます。委員は8人で、本日ゲストの紀藤さんやカルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授も加わっています。

紀藤さん、今後、対策として政府にどんなことを強調していきたいですか。

紀藤

やはりオンラインで公開するというのは、これは河野大臣のかなり強い意向が働いていまして、多くの人に会議の内容を見ていただいた上で、できるだけ建設的な御意見を沢山いただきたいと思っているんですよ。つまり、消費者庁でできることとできないことがありますよね。消費者庁にできないことは、今度は、消費者庁は省庁連絡会議のメンバーなので、省庁連絡会議の中で調整していくということになると思うんですね。ですから、まず、できることと、できないことを消費者庁の中で仕分けをしますけども、例えば宗教法人法の改正問題であるとか、解散命令をどうするか、これは消費者庁の中ではできないじゃないですか。

しかし、予防に勝る被害救済策はありません。そもそも宗教法人としての解散命令がなされていたら、過去に我々は何度もお願いしてきたんですけども、今回の事件を起きなかったかもしれないし、霊感商法の事件も起きなかったかもしれません。ですので、タラレバの話をしても仕方がありませんが、仕分けの部分は皆さんの応援がないと、なかなか消費者庁だけでできないこともありますので、そこは是非、応援いただきたいなというふうに思っています。

菅原

先日も各省庁にこの問題がまたがっているとお話ししていただきましたが、まさにこれをきっかけに、横断的に進めてほしいということですか。

紀藤

そうですね。最終的には、私はもう自民党に求めているんですけれども、この関係の特命担当大臣を決めていただかないと、旧統一教会問題の特命担当大臣、これを決めていただかないと、省庁の調整はかなり難しいんじゃないかと思うんですね、最終的には。河野さんでもいいし、高市早苗さんは政調会長時代にセクト規制法についての検討を始めていたというわけですから、どなたか適任者を決めて担当大臣になっていただければいいなと思っています。

■「特命担当大臣を決めていただかないと…」

上山

杉田さんは、この旧統一教会問題の対策、どのようなことが必要、重要だとお考えですか。

杉田

紀藤先生に伺いたいんですけれども、紀藤先生が参加される会議は霊感商法や関連商法全般への対策ということで、あくまでも被害者対策というか、消費者問題としてのこの問題を捉えるということなんですけれども、先ほどから出ている政治との関係、あるいは選挙における支援の問題も、非常に大きな問題になっていると思います、名称の変更の問題とか。単に霊感商上山法だけの問題ではなくなっているわけですよね。ここをすくって、色々調べていく、しかも、それを調べて全容が明らかにならない限りは対策が出てこないと思うんですよね。そこの部分はどういう形でやっていくべきだとお考えですか。

紀藤

私の立場でなかなか言いにくい部分がありますけれども、一応、建て付けとしては、これまで私は立憲民主、それから共産党、その後、国民民主党という形で、色々調査に応じてきたんですね。維新もきのう(8月27日)代表者が決まりましたので、きょう、維新の議員からも連絡いただいて、おそらく維新も調査に入っていくと思うんです、被害者救済の観点からの調査ですね。自民党の理解としては、自民党は与党ですので、政府の中ではこの調査をどこでやるかという話になって、私の役割としては、総花的な議論を消費者庁でやっていいと、一応、河野大臣から言われているんですね。それは岸田首相にも伝わっていて、だから私はできるだけ色々、総花的に話したいんですよ。ただ、消費者庁の役人は、やはり消費者庁の範囲にとどめたいと思っているわけですよ。だから先ほど言いましたように、やはり世論の後押しがものすごく重要で、世論とか応援者がいないとなかなかそれが省庁連絡会議に伝わりませんし、省庁連絡会議に伝わらなければ、結局、省庁間の調整ができませんから、やはり最終的には大臣きっちり決めていただかないと、この関係の特命担当大臣に決めていただかないと話は進まない感じがしています。

■「旧統一教会関連からの“秘書”も調査必要」

上山

久江さんは旧統一教会の問題と政界との関係。この後、どこに一番注目されていますか。

久江

やはり昔は自民党を中心に秘書とかあるいはスタッフで議員会館の中にあの人は統一教会、いわゆる勝共連合から来ているよという人は複数いたと。私もそういう話を聞いてはいたんですが、この問題が発覚してから改めて古手の議員の秘書の方に聞くと、1992年に歌手の桜田淳子さんが韓国に合同結婚式に行きましたよね。あの頃に、確か3泊4日ぐらいで20人ぐらいの秘書が、勝共連合から来ていたと、その人は言うんですけども、いなくなったよと。同時に、定期的に約60人ぐらいの秘書会、彼らの秘書会があって、定期的に会合を開いてたよという話があってですね、今でも事務所の中にスタッフ、あるいは秘書としているのではないかという情報というか噂というか、それは根強くあるんですね。

そう考えると、このアンケートの多分、8番目に入るのかもしれませんけれども、今、秘書とかスタッフで、自民党を含めて、どれだけの旧統一教会関連の人が入っているのかということも実は重要なんですね。と言いますのは、やはり三役とか大臣とか、重要なポジションにつきますと、政策決定もろもろですね。陰に陽に関わってくるという政策決定の話になってくると思うので、そこも是非、再発防止だけではなくて、調べていただきたいなというふうに思いますね。

上山

この辺のお話もアンケートも含めてですけども、総合的に紀藤さんはどういうふうにお考えですか。

紀藤

これで正確にアンケートが取られることが前提ですよね。それはもう岸田さんの指導力にかかっていると。悪く言う人は求心力が落ちているといいますけれども、逆に言うと、このアンケートを通じて求心力が試されていると思いますね。

上山

杉田さんは、どのようにお考えになってますか。

杉田

政治との関係で岸田さんの指導力、リーダーシップ。これが問われているのは間違いないと思うんですけども、同時に、やはりこの被害者の救済の問題ですよね。これはメディアも含めて、ここ何年かの間に20年、30年あまり注目してこなかったので、ここの問題を忘れずに、きちんと伝え、同時に考えていくことが非常に重要だと思います。

(2022年8月28日放送)