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世界的バレリーナ・吉田都さん コロナ禍での挑戦
■吉田都さん 舞踊芸術監督に
日本を代表するバレエカンパニーの1つ、新国立劇場バレエ団。訪ねてみると、10月23日からの公演に備え、リハーサルの真っ最中…


踊っているのは「ドン・キホーテ」。理髪師のバジルと町娘のキトリの恋物語です。しかし、ここにも新型コロナの影響が。ダンサーたちは踊っているときも皆、マスクを着用。新国立劇場バレエ団では新型コロナの影響で2月末からおよそ5か月の間、全公演を中止。7月から公演を再開しました。


こうした難しい状況の中で芸術監督に就任したのが吉田都(よしだ・みやこ)さん。イギリスの名門・ロイヤルバレエ団などで、22年に渡ってプリンシパルを務めた、世界的なバレリーナです。新型コロナの影響について、お話を聞きました。
新国立劇場 舞踊芸術監督 吉田都さん
劇場としては、公演できないというのは大打撃ですね。いまだに払い戻しなど、事務的な事もしなければならないし、かなりの赤字からのスタートになってしまいました。密にならないように少人数で、多くのクラスをやって、それでもカバーしきれないダンサーは家でお稽古という形でリハーサルを再開しました。


■コロナ禍が浮き彫り“日本の芸術の立場”
感染予防をしながらの練習。新型コロナは、日本の芸術に関わる人たちの「立場の弱さ」を浮き彫りにしたように感じていると話します。
新国立劇場 舞踊芸術監督 吉田都さん
ダンサーたちはストレスがもっとすごかったと思います。舞台がないということは、経済的にも厳しいことになりますからね。生活面でも厳しくなり、そういう不安もありつつ、体を維持していくのはなり大変だったと思います。例えば私が在籍していたイギリスのロイヤルバレエ団など、ヨーロッパのメインのカンパニーは給料が月々出ていて、舞台がなくともお給料は支払われていたわけです。イギリスで20年以上踊ってきた吉田さん。日本と海外の芸術への考え方の違いを感じたと言います。
新国立劇場 舞踊芸術監督 吉田都さん
アートやアーティストを守るという、ヨーロッパのそういう姿勢は羨ましく感じました。芸術が生きていく上で大事だということが、全国民に浸透しているのだと思います。だからこそ芸術に支援をしても、そこまで批判されないというか、これは必要なものなんだという共通認識があると思うんです。やはりダンサーたちを守っていかないといけないなと強く思いました。
■コロナ禍だからこそ“舞台芸術の役割”
今シーズンの幕開けとなる演目『ドン・キホーテ』。新型コロナで多くの人が苦しむ今こそ舞台芸術の役割があるといいます。
新国立劇場 舞踊芸術監督 吉田都さん
芸術は生きるパワーになると言うか、劇場の中でダンサーと音楽が一体になると、言葉に表せないような何か“気”みたいなものが流れて、色々なものをもらって帰れるんですよ。ある程度生活が落ち着いて、少しでもそういう気持ちになれたら劇場に足を運んでもらいたいですね。


吉田都さんが舞踊芸術監督を務める新国立劇場のバレエ公演「ドン・キホーテ」は、10月23日に開幕します。
新型コロナの中、世界が注目する1人の日本人アーティストの新たな挑戦です。世界的なバレリーナ、吉田都(よしだ・みやこ)さんが新国立劇場の舞踊芸術監督としてデビューします。2020年9月27日の『BS朝日 日曜スクープ』は、新型コロナの影響が続く今、舞台で何を描くのか、吉田都さんのお話を紹介しました。
