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#153

「桜を見る会」前夜祭 安倍事務所側が費用補填

「桜を見る会」前日の夕食会をめぐり、安倍晋三前総理の事務所が費用を補填していたことが明らかになりました。東京地検特捜部が安倍前総理の公設第一秘書らを事情聴取しました。2020年11月29日の『BS朝日 日曜スクープ』は、『安倍・菅政権VS.検察庁』著者のジャーナリスト、村山治氏に今回の捜査のポイントを聞きました。

■問われる安倍前総理の国会答弁

山口

安倍前総理側が、「桜を見る会」前日の夕食会 の費用を補填していました。国会での答弁の在り方が問われています。果たして、検察の捜査はどこまで及ぶのか?分析していきます。では安倍前総理の政治団体が主催した「桜を見る会」前日の夕食会の費用補填、改めて確認します。

上山

朝日新聞の25日付朝刊の報道によりますと「桜を見る会」の前日に都内のホテルで催された夕食会で、2015年から2019年までの5年間で出席者が払った金額は1人当たり5000円、合計で1428万円でした。しかし、費用の総額は2343万円でした。その不足分916万円を安倍前総理側が負担していた、ということです。さらに支払いを受けたホテルが発行した領収書の宛名は安倍前総理が代表を務める「晋和会」でした。安倍前総理側の負担した分の支出に関しては2015年から2018年の「晋和会」の政治資金収支報告書には記載がありませんでした。

山口

そして、こちらの今月27日に公開された2019年分の「晋和会」の政治資金収支報告書です。「この報告書は政治資金規正法に従って作成したものであって真実に相違ありません」と会計責任者が署名、捺印しています。しかし、2019年分も「桜を見る会」前夜祭の支出の記載はありませんでした。

 

山口

安倍前総理自身は24日「捜査が行われていると承知をしております事務所としては全面的に協力をしていくということでありますそれ以上のことについてはまだ今の段階でお答えすることは出来ない」と答えています。

■『安倍・菅政権VS.検察庁』著者が語る“今後”

山口

安倍前総理の後援会主催の「桜を見る会」前日の夕食会の費用補填問題、果たして捜査はどこまで及ぶのでしょうか?長年調査報道に携わり、法務検察も40年に渡り取材してきたジャーナリスト、元朝日新聞記者の村山治さんに聞きました。

 

山口

安倍前総理さんが総理から離れたことが今回のタイミングに影響していることはあるんでしょうか?

村山

十分あると思いますね。やっぱり現職の総理大臣っていうのは、不訴追の特典というのが憲法で保障されている。それがあるから国務大臣の訴追については、総理大臣が認めないとできない。総理大臣も国務大臣なので、自分が自分を起訴するのを認めるという話になってこれは事実上できないわけです。(不訴追の)特典があるので検察も遠慮するんですね、捜査するのを。それが、安倍さんが辞めちゃったのでちょっとやりやすくなったと、やりやすくなったら早く片付けようということでやっているのかもしれませんね。

長年調査報道に携わり、法務・検察も40年に渡り取材してきたジャーナリスト、村山(治氏。今回は、元東京高検検事長の黒川弘務(ひろむ)氏の定年延長、そして、検察庁法改正案問題の裏側を取材し『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル」(文藝春秋刊)を出版しました。今後、検察の捜査はどこまで進展するのでしょうか?村山氏は“直近の報道が事実だとすると”と前提したうえで、こう読み解きます。

村山

総理、まぁ政治家まで、この種の事件で検察の捜査が到達するというのは僕は難しいとは思います。今、公選法と政治資金規制法と二つの違反で告発の動きがありますよね。公選法の方は、やっぱりどの選挙について寄付したのかだとか寄付の認識の問題ですよね。その立証がなかなか難しいんだろうと思う。だから政治資金規制法違反の方に焦点があたってくるんだと思いますね。その場合、政治資金規制法の犯罪構成要件から言うと、会計責任者が、会計責任者というのは大体秘書の方がなること多いんですけど、そこがいわゆる主体となってその行為を犯罪に取るかという話になる訳で。もしそこで犯罪があったとしても、政治家には直接(捜査に)繋がらないんですよね。

■「検察に世直しを求めるのでなく…」

高いハードルがあるという、政治家本人への捜査。しかし、村山氏はこうも指摘します。

村山

検察というのは個人の犯罪を摘発するというのが仕事ですので、世直しを求めるのはよくない。もしかしたら法律上立証上の問題で訴追できないかもしれませんしね、そういうことも十分あり得ることですけど、あとはもう今回の話っていうのは、これは私が言うべき話ではないかもしれないけど、(直近の報道が事実とすると)やっぱり政権の首相を7年も8年もやっている人が、国会でウソをついた、国会軽視といいますか、国会の背後にいる国民も含めて、やはり国会と国民を愚弄しているんだと思います。そういうことはやはり良くないので、それはマスコミの調査報道なり、国会で野党、本当は与党もやらなきゃいけないと思いますけど、ちゃんと真相解明に努力して国民の判断を仰いでほしいと思います。

(2020年11月29日放送)