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動画公開のお知らせ

『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。



■『BS朝日 日曜スクープ』11月16日の放送内容は現在、公開中です。
【台湾巡る高市答弁で日中緊迫】中国総領事が暴言投稿“汚い首斬る”非難応酬の行方
政府は11月13日、「総合経済対策」の原案を与党自民党に提示した。高市政権として初の大型経済対策となるもので、物価高や生活防衛への対応を最優先課題に据え、危機管理投資や防衛・外交分野の強化を含む3本柱で構成する。原案ではまず「生活の安全保障と物価高への対応」を中心に据える。内閣府の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を拡充し、食料品価格の高騰に対応するため「おこめ券」や「プレミアム商品券」など地域発行型の支援策を盛り込むほか、中小企業の賃上げ促進、医療・介護分野の経営支援を実施する。このほか、厳冬期の電気・ガス料金を補助を実施する方針。高市総理は14日、「電気ガス料金については寒さの厳しい冬の間、深掘りした支援を行う。これまでよりも、ちょっと金額を上げて支援を行う方針」との考えを示した。さらに、所得税の基礎控除を物価に連動させて引き上げる制度や、給付付き税額控除の設計を検討する。
 
第2の柱として、エネルギーや食料の安定供給などの「危機管理投資」、成長分野への戦略的投資を位置づけ、強い経済の実現を目指す。第3の柱には、防衛力と外交力の強化が掲げられた。12日の経済財政諮問会議では、「2024年度補正予算(13.9兆円)を上回る規模が必要」との見解があった。13日開催の自民党会合では、「20兆円規模を目指すべきだ」との声があがった。
 
物価高対策として一時期検討された「国民一律2万円給付」は見送られる方向。自民と日本維新の会が10月20日に交わした連立政権合意文書には、「国民一律2万円給付は実施しない」と明記された。石破前政権では、給付策の財源を「3兆円台半ば」と試算していた。公明は14日、政府に対し緊急経済提言を提出。幅広い所得層を対象とする現金給付や、電気・ガス料金への緊急支援措置を盛り込み、生活者目線の即効性ある支援を求めた。
 
11日の衆院予算委員会では、公明の岡本政調会長が「恒久財源として毎年5兆円を自由に使えるとしたら、何に充てたいか」と質問。高市総理は「自民党には怒られるかもしれませんが、恒久財源があれば、例えば食料品の消費税、軽減税率をゼロにすることも」と応えた。一方、自民党内では、麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長ら財政規律を重視するとされている。中でも、宮沢洋一参院議員(前税制調査会長)は財政健全化の旗手として知られ、齋藤健衆院議員(元経済産業大臣)は「財政再建のための消費増税」を公約に掲げる。古川禎久衆院議員も党財政改革検討本部の本部長代理として、財政健全化を目指している。
 
日中関係が再び緊張の色を帯びている。高市総理が台湾有事を念頭に「中国が武力行使に踏み切れば、存立危機事態になり得る」と発言したことに対し、中国側が一斉に反発。外交当局間の応酬が続いており、両国関係は新たな火種を抱えた。高市総理は11月7日、中国が台湾を完全に支配下に置くために「戦艦を動かし、武力行使を伴うような事態となれば、どう考えても存立危機事態に該当し得る」と述べた。この発言に対し、中国の薛剣駐大阪総領事は8日、SNS上で「勝手に突っ込んでくるなら、その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬るしかない」と投稿。日本政府を強く挑発する表現で波紋が広がった。
 
さらに、中国外務省の林剣副報道局長は10日の記者会見で、「日本政府による粗暴な内政干渉であり、日本政府のこれまでの政治的な約束とも一致しない」と述べた。木原官房長官は同日、「中国の在外公館の長として極めて不適切」と牽制。13日には、中国外務次官の孫衛東氏が金杉憲治駐中国大使を呼び出し、改めて答弁の撤回を求めた。一方、日本側では、自民党外交部会・外交調査会が11日、中国総領事の投稿を「外交儀礼を著しく逸脱した暴言」として非難。政府に対し、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」の国外退去を含む毅然とした対応を求めた。14日には、大阪総領事館主催の行事への出席を控えるよう、党関係者に呼びかける意見書もまとめた。外務省は同日、呉江浩駐日中国大使を呼び出し、薛総領事の投稿に強く抗議した。非難応酬の緊迫した事態を受けて、中国外務省は14日、中国国民に対し、日本への渡航を回避するよう注意喚起を発出した。声明では「日本の指導者が公然と台湾問題に関して露骨な挑発発言を行い、日中間の人的交流の雰囲気を著しく悪化させた」と非難。さらに「在日中国国民の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」として、渡航を控えるよう警告した。
 
日本政府が外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ」として国外退去としたのは極めてまれで、これまでに1973年の在日韓国大使館書記官、2006年のコートジボワール外交官、2012年のシリア大使、2022年の札幌ロシア総領事の4件にとどまる。今回の事案は、戦後の日中関係においても緊張局面といえる。10日の衆院予算委で発言撤回について問われた高市総理は、「政府の従来の見解に沿ったもので、撤回・取り消しの考えはない」と述べた。一方で、「反省点としては特定のケースを想定したことについては この場で明言することは慎もうと思う」として、今後の答弁表現に慎重を期す考えを示した。
 
「存立危機事態」をめぐっては、安倍元総理が退任後の2021年12月、「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事」と発言していた。中国国防省の報道官は14日、「もし日本が武力で台湾海峡情勢に介入すれば、中国軍の鉄壁の守りの前に粉砕され、痛烈な代償を払うことになる」と強調。軍事的抑止を前面にした異例の声明を出した。トランプ大統領は10日、米「FOXニュース」の取材に対し、「多くの同盟国も中国以上に米国を利用してきた。私は中国と良好な関係を築いている」と述べ、事態を静観する構えを示した。
 
政府は11月14日、国家安全保障戦略など安保関連3文書の見直しにあわせ、「非核三原則」の見直し検討に入ったと報じられた。政府内では、「持ち込ませず」の概念が米国の核抑止力の実効性を損ねかねないとの指摘が浮上している。非核三原則は、1967年に当時の佐藤栄作総理が表明した「核兵器を持たず・作らず・持ち込ませず」との方針に端を発する。安全保障関連3文書にも「非核三原則の堅持」が明記されている。こうした動きに対し、中国外務省の林剣副報道局長は14日、「高市政権は非核三原則について曖昧な態度を示し、言葉を曖昧にすることで放棄の可能性をほのめかしている」と強く批判した。
 
★ゲスト: 久江雅彦(共同通信特別編集委員)、林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)
★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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(公開期間は放送から2週間です)

 
 
 

【災害級クマ被害で政府対応】専門人材の育成急務“技術の承継”人里と自然の境界は
全国各地でクマによる被害が急増している。警察官によるライフル銃使用が開始され、自衛隊も出動するなど、政府は異例の態勢で事態の対応に乗り出した。環境省によると、今年のクマの出没件数は全国で2万792件、9月末時点で被害者108人、11月5日時点で、13人が死亡した。被害は北日本を中心に西日本にも及び、近畿2府4県では1373件に達した。日本には北海道のヒグマと本州のツキノワグマの2種が生息するが、いずれも近年、山林の食糧不足などを背景に生活圏へ進出が確認されている。新潟県新発田市では、警戒中の猟友会員がクマに襲われ、顔などに重傷を負った。男性は負傷しながらも自ら駆除を行ったという。秋田県が運用するクマ情報マップ「クマダス」には、14日だけで53件の目撃情報が寄せられた。秋田駅からも近い千秋公園では、10月25日、クマの出没が相次ぎ、立ち入り規制と解除が繰り返された。11月13日になってようやく規制が解除された。
 
防衛省は5日、秋田県の要請を受けて、陸上自衛隊を派遣。捕獲の支援にあたっている。12日の参院予算委員会で高市総理は「近く対策パッケージをまとめ、補正予算を活用して順次実行する。猟友会への委託費や捕獲費用の支援を拡充する」と述べ、2025年度補正予算案に関連経費を盛り込む考えを示した。13日には、警察官によるライフル銃の使用を正式に認める運用が開始された。これにあわせて秋田県などの警察で「クマ駆除対応プロジェクトチーム」が発足。狙撃手2人、現場指揮官、管轄警察責任者の4人体制で、緊急時に出動する仕組みを整備した。14日に取りまとめられた政府の「クマ被害対策パッケージ」は、緊急・短期・中長期の3段階で構成される。緊急対応では、自衛隊・警察OBに狩猟免許の取得を促し、即戦力として協力を要請。短期施策では、いわゆる「ガバメントハンター(自治体による専門駆除班)」の人件費や資機材支援、冬眠期や冬眠明けを狙った個体数削減の実施。中長期施策としては、生活圏からの排除に向けたガイドライン改定や、個体数管理の見直しが盛り込まれた。一方で、市街地での駆除活動には課題も多い。住宅が密集する市街地での銃使用については、「跳弾による二次被害」など、住民の安全面への懸念が根強い。また、警察官によるライフル銃の操作や運用の可否をめぐっても、不安の声が少なくない。
 
冬眠に入るはずのクマにも注意が必要だ。福島県喜多方市では昨年12月、民家のこたつに侵入したクマが頭を突っ込む事例が確認された。2020年1月、山形県米沢市では住宅の軒下で衰弱したクマが発見されるなど、かつて想定されなかった事態が各地で起きている。クマ出没の情報に精通する森林総合研究所の大西尚樹氏は、「今冬は冬眠できない子グマが出てくる可能性がある」と指摘する。母グマだけが駆除されて、冬眠の仕方もわからない子グマが出てくるというのだ。
 
クマの分布域は1990年代以降、急速に回復してきた。大西氏は「狩猟の自粛や駆除の禁止・制限など、保護政策が長く続いたことに加え、ハンターの減少により、個体数が増加し、駆除が追い付かない状況がある」と説明する。被害が広がる要因の一つとして注目されているのが「ドングリ」の不作。冬眠前のクマにとって、ドングリは重要な栄養源である。豊作の年は山中で十分に食料を確保できるため、人里への出没は減る。しかし、凶作の年にはエサを求めて行動範囲を広げ、住宅地や農地への出没が増加する。北海道猟友会札幌支部に所属する現役ハンターの玉木康雄氏は、「各地で進むクマ対策の中には、電気柵など技術的手段もあるが、今年は柵を潜り抜けるクマが増えるなど、根本的な解決には至っていない」と対策の困難さを指摘する。
 
全国で深刻化するクマの出没と被害。大西氏と玉木氏によると、被害抑止に向けて「個体数の調整」「ガバメントハンター(自治体による専門駆除班)の常設」「ハンター技術の承継」を挙げた。大西氏は、単発的な駆除に頼る従来の対策では限界があると指摘したうえで、「人の生活圏に現れた個体をその都度排除するだけではなく、広域的に生息密度を下げ、個体群動態や遺伝的多様性を長期的にモニタリングし、科学的根拠に基づいた管理基準を構築することが重要だ」と強調する。現場の実働を担う「ガバメントハンター」の常設化も課題の一つ。大西氏は「同時に、地域の環境管理を担う人材の育成が求められる」と専門人材の育成を訴える。玉木氏も「捕獲技術を持つ人が減っており、次世代への承継には金銭的な支援が必要だ。現場の判断を尊重し、状況に応じて柔軟に対応できる法規制が必要」と語る。一方で、ハンターの待遇は厳しい。
 
★ゲスト: 大西尚樹(森林総合研究所)、玉木康雄(北海道猟友会札幌支部)
★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』11月9日の放送内容は現在、公開中です。
【激務外交から国会審議】高市補正で本格論戦“積極財政”基礎的収支の黒字化達成は
高市早苗総理は就任直後から日米・日韓・日中の首脳会談を立て続けにこなし、休む間もなく臨時国会に臨んだ。10月28日に日米首脳会談。30日に日韓、31日に日中と続いた歴訪を終え、高市早苗総理は11月1日、外交ラッシュを経て帰国の途に就いた。2日は「GREEN×EXPO2027」日本政府出展起工式、3日には「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」に出席。4日以降は衆参両院で代表質問、7日には衆院予算委員会に臨んだ。就任直後から、事実上の「休暇ゼロ」のまま論戦の只中へと突入した。首相公邸への転居もままならず、「荷造りの暇がないどころか、睡眠時間もほとんど取れていない状況で仕事をしている。どうかそこはご理解を」と現状を説明した。11月6日午前3時4分に、首相公邸では、高市総理による予算委員会に向けた勉強会が始まり、3時間21分に及んだ。午前8時からは経済安全保障推進会議、続けて閣議。9時からは午後5時過ぎまで、衆院予算委員会の答弁に立ち続けた。衆院予算委で「早すぎる出勤で、多くの方に影響を与えたのでは」との質問に、高市氏は「宿舎のFAXは10枚ほどで紙が詰まるタイプで、昨日の段階では答弁書を受け取る術がありませんでした。秘書官、SP(警護官)さん、ドライバーの方にご迷惑をおかけしました」と語った。10月4日の自民党総裁選出直後、高市氏は「嬉しいというよりも、これからが本当に大変。全世代総力結集で全員参加で頑張らなきゃ立て直せません。私自身、ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と語っていた。
 
高市内閣が編成を進める2025年度補正予算は、物価高騰対策や防衛費GDP比2%達成への積み増し、医療・介護支援、地方交付金の拡充など分野は多岐にわたる。自民の小林鷹之政調会長は11月6日、「今置かれている状況を考えれば、相応の額になってくる。何かキャップをはめてやるものでもない。しっかり積み上げることが重要」と述べ、規模拡大に理解を求めた。自民・日本維新の会の両党は衆院で過半数に2議席、参院で6議席足りず、補正予算成立には野党の協力が不可欠。一方、与野党6党は11月5日、ガソリン暫定税率(1リットル当たり25.1円)を12月末で廃止することで合意。約1.5兆円の財源が失われる見通し。かつて自公政権は、代替財源の提示がないままの暫定税率廃止の審議には応じない姿勢を貫いてきた。
 
立憲民主の吉田はるみ代表代行は11月5日の衆院本会議で、「物価高対策としておこめ券の配布を補正予算に盛り込むのか」と質した。これに対し、高市総理は「地域の実情に応じた的確な支援をお届けできるよう、重点支援地方交付金の拡充などを検討するよう指示した」と述べ、具体策の明言は避けたものの、検討を進めていることを示唆した。この問題を巡り、鈴木憲和農水大臣は10月31日に、「経済対策の中で重点支援交付金を検討中。お米券を配ることで負担を和らげ、『もっと買える』という状況を作ることが当面できることだ」と説明した。国民民主の玉木雄一郎代表は、電気・ガス料金の支援水準について質問。高市氏は「寒さの厳しい冬の間、支援を行う」と述べたうえで、年収の壁引き上げに関しても「3党合意を踏まえ、年末までに令和8年度税制改正プロセスの中で基礎控除の物価連動による引き上げる税制措置を具体化する」と答弁した。
 
高市政権は、これまでの「単年度ごとのプライマリーバランス(PB)」黒字化目標を見直し、複数年単位で財政健全化を点検する方針を示した。高市氏は「単年ごとのPBという考え方は取り下げると考えていただいて結構」と明言。2025~2026年度を通じ、国・地方を合わせたPB黒字化を「可能な限り早期に」達成する方針を掲げた。積極財政を掲げるのは高市総理、片山さつき財務大臣、城内実経済財政担当大臣。財政規律を重視する麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長らの間には温度差もある。一方、立憲民主の本庄知史議員は11月7日の衆院予算委で、「高市総理は5月に『国の品格として食料品の消費税は0%にすべき』と述べたが、就任後の答弁は後退している」と追及した。これに対し、高市氏は「自民党と維新の合意文書にも検討項目として含まれており、選択肢として排除するものではない」と応じた。ただ、高市氏は11月4日の衆院本会議では、「レジシステム改修などの課題にも留意が必要」と述べた。
 
★ゲスト:林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)、佐藤千矢子(毎日新聞専門編集委員)
★アンカー: 杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
 
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【州知事選など米民主3勝】NY新市長にマムダニ氏“政府閉鎖”トランプ氏の焦燥は
世界経済を牽引する米国の象徴的都市・ニューヨークで、政治の潮流を変える選挙結果が生まれた。11月4日のニューヨーク市長選で当選したのは、民主党のゾーラン・マムダニ氏(34)。アフリカのウガンダに生まれたインド系イスラム教徒で、自らを「民主社会主義者」と称する。妻のラマ・ドゥワジ氏はシリア系のアニメーター。マムダニ氏は選挙戦で、「最低賃金を時給30ドル(約4500円)に引き上げ」「無料バス、市営スーパーマーケットの導入」「家賃上昇の凍結」など、生活支援を前面に掲げた。財源は富裕層や大企業への課税強化で賄うとし、所得格差の是正を訴えた。
 
一方、ニューヨーク出身のトランプ大統領はこの動きを強く警戒した。自身のSNSで「共産主義者のマムダニが市長になれば、連邦政府からはニューヨークに対して、法的に必要最小限の資金しか拠出しない」と発信。共和党候補ではなく、民主党予備選で敗れ無所属で出馬したクオモ氏への投票を呼びかけるなど、異例の行動に出た。しかし、結果は、マムダニ氏がクオモ氏を退けた。マムダニ氏は勝利演説で、「今夜、逆境を乗り越えた。我々は王朝を打ち破った」と宣言し、「トランプ、見ているはずだ。『Turn the volume up(よく聞け)』、我々の誰かに手出しするなら、我ら全員を相手にすることになる」と、挑戦的な言葉で選挙戦を振り返った。物価高に苦しむニューヨーク市民の生活実感も、こうした変化を後押しした。食パン1斤半ほど(約500グラム)が日本円で700円超、卵1ダースは1000円を超える。トマト1キロはテキサス州ヒューストンの倍以上。生活費の高騰に加え、マンハッタンの家賃中央値は月70万円に達し、住民の負担は限界に近い。
 
外交舞台では存在感を誇示するトランプ大統領だが、国内では政治、経済で異例の停滞に直面している。11月4日に行われた2州の知事選挙で、民主党が相次いで勝利を収めた。ニューヨーク市長選では、民主社会主義者を自称するゾーラン・マムダニ氏が勝利。一方、東部のニュージャージー州とバージニア州では、いずれも中道派の民主党候補が共和党から州政を奪還し、トランプ政権に対する明確な「民意の審判」となった。ニュージャージー州知事選では、元海軍パイロットで中道派の民主党、マイキー・シェリル下院議員が勝利。米CNNによる出口調査の分析によると、注目されたのはヒスパニック系有権者の動向だった。昨年の大統領選でトランプ氏が46%の支持を得たのに対し、今回シェリル氏は64%を獲得。共和党候補のチャタレリ氏は32%にとどまり、保守層への浸透に失敗した。
 
一方、首都ワシントンに隣接する東部バージニア州では、民主党中道派で元CIA職員のアビゲイル・スパンバーガー前下院議員が知事選を制し、州初の女性知事に就任する見通しとなった。バージニア州は連邦政府職員が多く居住する地域。スパンバーガー氏は、政府機関の一部閉鎖による雇用問題を鋭く追及した。トランプ政権による「解雇・再編」が逆風となり、共和党の牙城を崩す要因となった。同じ民主党でも、ニューヨークのマムダニ氏が「急進左派」と位置付けられるのに対し、シェリル氏とスパンバーガー氏はいずれも現実的な政策運営を重視する中道派とされている。トランプ大統領自身も、敗北の要因に「政府機関の閉鎖が共和党に大きなマイナスだった」と言及している。実際、10月1日から始まった政府閉鎖は11月9日で39日目を迎え、史上最長に。上院は11月4日、共和党主導の「つなぎ予算案」を否決し、14回目の不成立に陥った。
 
影響は広範に及んでいる。全米の空港では、航空管制官の無給勤務による欠勤が相次ぎ、11月7日には約1000便が欠航。米運輸省は「最大20%の削減」を検討している。さらに、低所得者向けの食料補助も中断され、農務省は11月1日から給付停止を発表。トランプ大統領は「民主党が政府再開に賛成票を投じるまで援助を止める」と強硬姿勢を崩していない。経済統計の発表も遅れ、「雇用統計」や「貿易収支」は未発表のまま。例外的に発表された「9月の消費者物価指数」も10日遅れとなった。米国大使館の公式サイトには「政府の予算失効により、業務再開まで更新は限定的」との告知が掲示された。
 
★ゲスト: 前嶋和弘(上智大学教授)、津山恵子(NY在住ジャーナリスト)
★アンカー: 杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

 
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■『BS朝日 日曜スクープ』3月23日の放送内容は現在、公開中です。
【中国に対峙する台湾・金門島】戦跡が物語る“砲撃の記憶”防衛拠点の現実と島民生活
中国福建省の廈門(アモイ)から約5キロの距離に位置する台湾・金門島。人口は約14万人、面積は150平方キロメートルの小さな島で、基幹産業の観光と漁業で発展を遂げてきた。金門島は長年、中国との緊張関係の中で、重要な軍事拠点として機能してきた。最盛期には、約14万人が駐留していたとされる軍隊は、約3000人まで縮小されたが、現在も、島の重要な防衛を担っている。
 
かつては、砲撃戦が繰り広げられた歴史がある。金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となった。古寧頭戦役では、中国・人民解放軍が金門島に上陸し、蒋介石が率いる国民党軍と激しい戦闘を繰り広げた。この戦いで、国民党軍が防衛の成功を収めた。金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込んだ。島内には、防空壕、砲弾の残骸などの軍事遺構が数多く残されており、戦争の記憶を今に伝えている。
 
★ナレーター:佐分千恵
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2024年11月17日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定
「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。
 
事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。
 
加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。
 
加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。
 
加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。
 
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年9月10日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆
2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。
 
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。
 
加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。
 
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
 

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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年8月13日の放送内容は現在、公開中です。
【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆
遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。
 
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