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    #78

    同潤会のハイカラを今に伝える堀切菖蒲園の家

    東京都葛飾区にある堀切菖蒲園一帯では、室町時代から花菖蒲が咲き誇っていたとも言われています。その美しさは、広重はじめ数々の浮世絵にも描かれてきました。
    今回訪ねるのは、そんな堀切菖蒲園のそばに建つ、築79年の一軒家。木製の黒い塀や白い壁、玄関の建具や丸窓など、懐かしさに溢れた佇まいは、住宅街のなかでも一際目を惹きます。実はこの家、表参道のアパートで知られる同潤会が建てた戸建て住宅なのです。ここで生まれ育ったMさんは、お姉様と2人で、ご両親から受け継いだこの家に暮らしてきました。関東大震災後、住宅支援のために内務省によって設立された同潤会は、最先端の西洋の技術を取り入れ、アパートや住宅を造りました。M邸にも、当時流行だった洋室や、モダンなデザインの家具、また、日本ではほとんど見られなかったコンクリートの基礎が採用されていました。職人が西洋文化に憧れ、持てる技術の粋を集めてつくったこの家は、築後およそ80年を経ても、数々の天災に耐え抜いてきたのです。しかし、水まわりなど一部では床が傾き、雨漏りがするところもありました。ご自身が育ち、ご両親との思い出も詰まったこの家を、なんとか残したいと考えたMさん。近代日本の文化遺産ともいえる同潤会が建てた家の持つ趣や、そこに残る家族の思い出を大切にしながら、快適で安全に暮らせる家へとリモデルすることにしたのです。
    かつて堀切には、同潤会が作った分譲住宅が20軒あったそうですが、それも今ではM邸を残すのみになりました。そんな貴重な同潤会の住宅の趣を残すため、歪んでいた玄関扉を修復して再利用したり、外壁の松材も、痛みの少ないものを選んで家の正面に持ってくるなど、建物事態がもつ魅力を出来る限り残しました。また、かつては瓦屋根でしたが、より軽く断熱性に優れた天然スレートに葺き替えるなど、既存のイメージを残しながら、耐震面の向上に実現しています。
    かつて南側には、洋室と和室、茶の間が並び、それぞれが壁で仕切られていましたが、その壁を取り除き、新たに天井高まである大きな扉を設けました。扉を開け放てば、家の広さを最大限に感じられる開放的なワンルームにもなるのです。床は幅広のフレンチパインで統一することで、空間に一体感を出すだけでなく、バリアフリーも兼ねています。
    建築当初の面影がそのまま残る洋室は、あまり手を加えなかった一方、日常生活でよく使うキッチンや浴室には、最新の設備を導入することで、快適な住み心地を実現しました。
    思い出の家具も再び輝きを取り戻し、亡くなったご両親もきっと喜んでいるとおっしゃるMさん。大切な物をしっかりと受け継いでいく。そんなことができるのも、リモデルならではですね。
     
    設計担当:アカデメイア
    http://www.mt-aca.com/

    【平面図】

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