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#139

娘婿は建築家 孫達が遊びに来たくなる埼玉の家

埼玉県の真ん中に位置する、東松山市。かつて存在した松山城を中心に栄えた町ですが、愛媛の松山市と区別するため、「東」が付けられたと言われています。大正12年に東武東上線が開通し、近年は東京のベッドタウンとして発展してきました。名物は豚のカシラ肉を炭火でじっくり焼いた焼き鳥で、市内には50以上の焼き鳥屋があるんだそうです。
今回訪れたのは、代々この地に暮らし、現在はリタイア後の生活を送るIさんご夫妻の御宅。200坪を超える敷地には、元々祖父が建てた母屋とIさんが35年前に建てた離れがありましたが、両親が他界し、2人の娘も結婚・独立した後は夫婦の暮らしには大きい家になっていました。そこで、次女の夫で建築家の工藤浩平さんに依頼してリモデルすることに。母屋は建て替え、思い入れのあった離れは改修することによって、夫婦の今の生活に合った住まいにするとともに、娘たち家族が遊びに来てもくつろげる快適な空間にしたのです。
以前は敷地いっぱいに建物が建ち、窮屈な印象だったというI邸。そこで建築家の工藤さんは、母屋を減築して空間に余白をつくることを提案。庭を広げ、また「なんでもテラス」と名付けた屋外テラスを新設したことで、家の外にも夫婦が自由に使える場所を作りました。ここでは雨の日でも趣味の農作業が出来たり、孫達も夏はビニールプールを広げて遊んだりしているんだそうです。改修した離れと新築部分は壁や天井に同じラワン材を使うなど、素材を合わせて統一感を与えました。暮らしを見直して生活動線は1階にまとめ、離れの2階は娘たち家族が泊まれるゲストルームにした今回のリモデル。家族の変化に合わせ、家族の歴史が詰まった住まいが見事に生まれ変わりました。
 
設計担当:工藤浩平建築設計事務所 http://koheykudo.com/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after