番組表

放送内容

つるガチャの仲間たち~作って 回して つながる社会~

2024年、北陸新幹線が福井・敦賀まで延伸し、まちは大きな節目を迎えました。そのにぎわいづくりに一役買おうと誕生したのが、ご当地カプセルトイ「つるガチャ」。ソースカツ丼や地元銘菓など敦賀ならではの15種類があり、市内の飲食店や土産物店に置かれています。直径4センチほどの小さなカプセルトイは全て手作業で作られていて、ほっこりあたたかい見た目も人気です。
 
作っているのは、敦賀駅前にある就労支援施設「ふらっぷ」の皆さん。知的障がいや発達障がいのある人たちが、企業への就職を目指して働いています。主な仕事は食品加工や内職ですが、新幹線開業を3年後に控えた2021年から敦ガチャ作りが始まりました。デザインを手がけているのは、スタッフの高崎かおりさん(49)。本物に近いクオリティと作業のしやすさを両立させるため、必ず自ら試作品を作り、絵が得意な人、手先が器用な人など、一人ひとりの特性に合わせて作業を割り振っています。
 
敦ガチャ作りに欠かせない存在が、聴覚障がいがある北村乙寧さん(21)。生まれつきの難聴で、人工内耳を入れて生活しています。幼いころから「聞きたい、話したい」という強い思いを持ち、母・清香さんとともに口語と手話を練習し、話す力を身につけていきます。集中力が高く手先が器用なことから、任される仕事が増えていきました。
 
順調に見えた施設運営でしたが、2024年4月、国の方針転換により介護報酬が減額。収入を増やさなければ、施設利用者に給料を支払うことができなくなります。そこで高崎さんは、障がいがある人と一緒に働ける、手打ちそば店の開業を決断。飲食未経験ながらそば打ち修業を重ね、障がいがある人たちはそばの締めや盛り付け、接客を担当。雑音の多い厨房に立つことが難しかった北村乙寧さんは「箸袋作り」を任されます。気持ちをひとつにみんなが携わった開店初日、それぞれの持ち場でお客さんを迎え、力を合わせて営業をやりとげました。
 
小さな敦ガチャから始まった挑戦は、働く喜びと地域の活気を生み出しています。まちの片隅にある就労支援施設…「誰にも役割があり、ともに生きていける社会の姿」を見つめます。