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#57

菅原文太

© 朝日新聞

俳優・菅原文太。「最後じぇけん、いうとったるがよ、狙われるもんより、狙うもんの方が強いんじゃ」。その時、義理と人情を重んじた着流しの渡世人は過去のものとなった。日本の映画界に革命をもたらした映画『仁義なき戦い』。義理も人情もかなぐり捨てたむき出しのバイオレンスに観客は魅了され、40歳をむかえた菅原文太は、この時スターの輝きを獲得した。そして、『トラック野郎・御意見無用』では、おっちょこちょいで三枚目の熱い男・星桃次郎を演じ、観客の拍手喝采を浴びた。この日本映画史に残る2つの大ヒットシリーズで、全く異なるキャラクターを演じ分けた菅原文太。彼はいかにして昭和の銀幕を飾る映画スターとなったのか? 多くを知られていないその生い立ちは、決して恵まれたものではなかった。無名時代、2歳違いの俳優・高倉健の影に隠れ、脇役に甘んじていた日々の苦悩。そして『仁義なき戦い』が生まれた舞台裏。個性豊かな男たちが菅原の情熱の下、いかにしてひとつにまとまったのか…。共演者、そして映画界を知り尽くした関係者たちの証言と、当時の貴重な映像をもとにたどる、俳優・菅原文太が歩んだ軌跡。
さらに、不動の大スターを襲った試練…長男の事故死。父と同じ俳優としての道を歩み始めていた長男・加織(かおる)さんの突然の死は、菅原文太の人生観を大きく変えることになる。悲しみを乗り越えて、晩年・菅原が世に問うたものは? 激動の昭和を生き抜いた、1人の男が残したメッセージ。その真意に迫る。