BS朝日

バックナンバー

#114

万城目正・吉岡治

戦後歌謡、最大のヒット曲「リンゴの唄」。女王・美空ひばりを世に出した「悲しき口笛」「東京キッド」。島倉千代子のデビュー曲「この世の花」。これらの曲を作曲した万城目正。そして、大川栄策の「さざんかの宿」、瀬川瑛子の「命くれない」、島倉千代子の「鳳仙花」、都はるみの「大阪しぐれ」、石川さゆりの「天城越え」など、歌い手の資質を読み解きながら、作詞で多くの人々の心を捉えた吉岡治。昭和歌謡を語る上で欠かすことのできない作曲家・万城目正、作詞家・吉岡治、2人の人生に迫る。
 
●映画音楽が作曲の原点(万城目正)
幼少期から母親に音楽の英才教育を受けるが、東京音楽学校(現・東京芸術大学)の受験に失敗し、映画館で楽士に。その後、松竹映画の楽団に転じ、映画音楽で作曲・編曲の腕を磨く。そして、万城目が作曲、西條八十が作詞した、映画『愛染かつら』の主題歌「旅の夜風」が大ヒットする。
 
●苦闘の前半生(吉岡治)
幼くして母親を失い、父親と最果ての樺太に流れ着き、10代で天涯孤独に。その寂しさを癒やしてくれたのが歌だった。詩人・サトウハチロー門下で詩を学ぶが、生活のため流行歌に手を染めて破門に。その後、美空ひばりの「真赤な太陽」で人生が開ける。
 
●戦後、国民に希望の灯を(万城目正)
サトウハチローと手掛けた「リンゴの唄」。並木路子の歌声が、戦争で何もかもを失った人々の心を潤し、戦後歌謡の原点となった。当初、並木は家族と恋人を奪った戦争の痛手で明るい声が出せなかった。その時、万城目が送った言葉とは?
 
●女歌に秘めた母恋い(吉岡治)
長いスランプを脱し、都はるみの「大阪しぐれ」で作詞の神髄を会得した吉岡。それまでにない演歌を求め、意欲的に取り組んだ「天城越え」で、歌い手・石川さゆりの本能を開花させる。女歌に秘められた、亡き母への強い思慕とは?
 
●スター誕生に立ち会う(万城目正)
天才少女歌手・美空ひばりと出会い、万城目は「悲しき口笛」「東京キッド」「越後獅子の唄」で、ひばりを本物のプロに育て上げた。そして、新人・島倉千代子に「この世の花」を提供。2大スターを世に出した万城目メロディーの創作秘話を紹介する。
 
●再出発に贈る花束(吉岡治)
大川栄策の「さざんかの宿」、瀬川瑛子の「命くれない」、都はるみの「小樽運河」、島倉千代子の「鳳仙花」で、スター歌手の再起に尽力した吉岡。その極意は、歌い手の個性、声質を見極めて魅力を最大限に生かそうとする、吉岡の深い愛情にあった。実は、吉岡の師・サトウハチローと、ハチローの師・西條八十は、どちらも万城目の代表作を作詞した因縁浅からぬ仲。昭和歌謡を貫く遺伝子は、たしかに受け継がれていた…。作り手の名より作品が記憶されている隠れた巨匠である万城目正と吉岡治。昭和歌謡史を彩るさまざまなドラマと昭和の名曲で、2人の人生をたどる。