番組表

放送内容

#108

太鼓職人 浅野恭央

江戸時代初期の1609年(慶長14年)に創業した老舗、浅野太鼓楽器店。原木の調達から胴づくり、革張り、そして仕上げの鋲留めに至るまで、すべての工程を一貫して行い、特に直径3尺(約90センチ)以上の大太鼓においては国内シェアの7割を誇る。
400年続く伝統を継承する18代目・浅野恭央(55)は、太鼓の音を決定づける最も重要な工程である革張りを担う。太鼓の音は季節や湿度によって微妙に変化するが、感覚だけに頼らず、音のデータを収集・分析。わずかな違いにも妥協しない音づくりを追求。
浅野太鼓は、「だんじり祭り」や「金沢百万石まつり」などの日本各地のまつりで使用され、世界観客動員数1,000万人を超える和太鼓パフォーマンス集団「DRUM TAO」も愛用。浅野自身が車を運転して全国を巡り、顧客と直接対話を重ね、地域や祭りごとに異なる“求められる音”を自らの耳で収集し、応え続けている。
 
浅野は伝統の枠を超えた新たな太鼓づくりにも挑戦。従来の常識にとらわれない斬新なビジュアルの太鼓を手がけ、演奏中にも音を調整できる桶胴太鼓「奏(かなで)」はグッドデザイン賞を受賞。さらに今、新たな太鼓づくりに取り組んでいる。
すべては、太鼓奏者の求める音に応えるため。そして、太鼓という文化を絶やすことなく、次代へとつなぐため。奏者にとっての“いい音”を追い求め、時代に合わせて見た目に革命をもたらす男に密着した。