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#5

銀閣寺と哲学の道を歩く

室町時代から続く名高い禅寺・銀閣寺、境内にある由緒ある建物の数々、さらにそのほど近くに続く「哲学の道」に沿って建つ、趣深い寺や神社をめぐります。
京の街の東、山の麓に静かに構える「銀閣寺」は、もともと室町幕府八代将軍、足利義政が自らの山荘として作り上げた場所。なかでもよく知られるのは、「銀閣」の名で親しまれる「観音殿」。そこには名前の通り観音菩薩(ぼさつ)が収められています。本堂にあたる「方丈」には、本尊である「宝冠釈迦如来坐像(ほうかんしゃかにょらいざぞう)」が大切にまつられていました。 創建当時から残るという「東求堂(とうぐどう)」は、義政が日々思索をめぐらせていたという貴重な建物。その中にある、書斎として使われていたという「同仁斎(どうじんさい)」は、現在の和室や茶室の原点ともいわれています。趣味人、足利義政がはぐくんださまざまな日本文化に触れることのできる銀閣寺。その一角で、義政の側近だった人物が確立したと言われる「香道」(こうどう)の作法を教えて頂き、「組香」(くみこう)という風流な遊びにも挑戦します。
そんな、銀閣寺の参道の先にあるのが「哲学の道」。緑があふれ、豊かな水の恵みを感じられるこの通りにも、静かに歴史を重ねてきた寺や神社が建つのです。
まず訪れたのは、「幸せ地蔵尊」とも呼ばれる「弥勒院(みろくいん)」。江戸時代に造られた寺院です。さらに鎌倉時代に起源を持つ「法然院」は、その名の通り、浄土宗の祖・法然上人ゆかりの寺。石畳の参道を進み、門を入ると見えてくるのが、白い盛り砂。そこには深い意味が秘められていました。40種類以上の椿が咲き誇り、「椿(つばき)の寺」とも言われる「霊鑑寺」は、江戸時代、後水尾天皇(ごみずのおてんのう)の皇女が開いたという皇室ゆかりの寺院。そこで、寺に入った幼い皇女たちが遊んだという、みやびやかな品々を拝見します。
さらに哲学の道を進むと見えてくるのが、平安時代から続く「熊野若王子(くまのにゃくおうじ)神社」。ここはその名の通り、長きにわたり信仰を集める「熊野詣」(くまのもうで)にゆかりが深い場所。あたりに漂う厳かな空気を感じながら、人々の願いに思いをはせます。
今なお愛され続ける銀閣寺、そして豊かな風情あふれる哲学の道に秘められた物語をたどっていきます。