番組表

放送内容

#56

妖怪 後編

ゲスト:荒俣宏
 
『関口宏の雑誌の記憶』。今回も日本文化に深く根付く”妖怪”をテーマに、第一人者・荒俣宏さんと雑誌を通じて記憶を辿ります。
まず注目するのは”鬼”の存在。雑誌から見えてくるのは、古代の鬼が都に疫病をもたらす「疫(えき)」だったり、大和王権に討伐された地方豪族、あるいは都の法律に従わない反抗者の象徴だったという起源です。妖怪文化が花開いた江戸時代の記録からは、悲劇から鬼になる女性の物語に男性優先社会での女性の苦悩が、そして娯楽として人工的に作られた化け物に当時の世相が映し出されています。
さらに探求は戦後の書庫へ。関口さんを興奮させたのは「カストリ雑誌」。著作権を無視し、アメリカのピンナップガールをコピーしたこの雑誌。荒俣さんは、”何を出しても売れた”昭和20年代の戦後解放のエネルギーの象徴として熱く語ります。
妖怪だけでなく、人々の欲望や社会の空気を映し出す雑誌の豊かな世界をご紹介します。