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#242

旧統一教会“被害者救済法”成立 問われる「今後」

旧統一教会の問題を受けた、被害者救済法が成立しました。新たな法案で何が変わるのでしょうか。そして、被害者はどこまで救済されるのか。 2022年12月11日『BS朝日 日曜スクープ』は、全国統一教会被害対策弁護団の紀藤正樹弁護士とともに、新法成立後も向き合うべきことを特集しました。

■寄付勧誘に「禁止行為」 その中身は…

上山

ここからのゲストです。長年に渡って悪徳商法やカルト集団による被害者救済を続け、全国統一教会被害対策弁護団で消費者庁の検討会のメンバーでもある紀藤正樹弁護士です。よろしくお願いいたします。

紀藤

よろしくお願いします。

上山

ではここからのテーマです。「旧統一教会“被害者救済法”が成立 。誰を救えて、誰を救えないのか」。昨日(12月10日)の夜、新たな被害者救済法が成立しました。新法によって何が変わるのか。そして新法成立後の向き合うべき課題を、紀藤弁護士とともにお伝えします。

新たに成立した法律の重要なポイントをまとめてみました。宗教法人などの法人から個人に対しての寄付の勧誘を受けた場合に、勧誘を受けた個人を守ることを目的としています。例えば法律では旧統一教会などの法人が、個人に対して「寄付をしませんか」と寄付の勧誘をするときに、してはならないこと、禁止行為というものを定めています。どんなことが勧誘の際に禁止されているのでしょうか。

2つの条文で示されていますが、まず第4条では勧誘のときに寄付者を困惑させることが禁止されています。つまり、寄付をしませんかと勧誘するときに、不当な勧誘行為によって個人を困惑させてはならないと定めています。では、どんな行為が不当な勧誘行為となるのでしょうか。これについては、例えば、霊感などの知識、見解で不安を煽ること、恋愛感情を持っていると誤解させること、さらには不退去、自宅や仕事場などで帰ってほしいと言ってもその場に居続けたりすることなどが法律では具体的に挙げられています。

さらに禁止行為というのはまだあります。第5条です。寄付の勧誘をする際に、借金や、資産処分による資金調達を要求することも禁止になりました。寄付をするために借金をさせる、あるいは自宅や、生活の維持に必要な事業用の不動産、これらを寄付のために売却させたりするということを要求してはならないとしています。

■「本人が被害に気づいていないものは…」

上山

では次にこうした禁止行為が行われたときに、行政は一体何ができるようになるのでしょうか。

禁止行為の停止など必要な措置をとるように、行政側としては法人に対して勧告や命令を行うことができます。法人側が従わなかった場合は、罰則も新たに設けられました。1年以下の懲役、あるいは100万円以下の罰金が科されるとしています。

一方で、勧誘を受けた個人、本人は何ができるようになるんでしょうか。第4条で定められた禁止行為による寄付については、本人は取り消すことが可能になりました。勧誘を受けた個人の、扶養されている家族は、将来にかかる生活費などの範囲であれば、寄付を取り消して返還請求をすることができます。紀藤さん、まず伺いたいのが今回の被害者救済法で定められた禁止行為、これにより被害者が救われるのかどうか、いかがでしょうか。

紀藤

なかなか説明が難しいんですけれども、行政処分以外の部分は結局、本人が権利を行使しないといけないんですね。そうすると、本人が旧統一教会をやめていることが前提になります。現実で被害に気付いた人ということになりますから、結局、現在進行形の被害、本人が被害に気づいていないものというものは救えないという問題もあります。

今回の法律は最大の論点がこの法律で何ができるのか、まさにそういうことなんですけれども、この法律でできないことを未来に向かってどのように手当していくのか、この2つの論点に最大の問題があるんです。今の点に関しては本人がやめないといけないということと、勧告・命令と書いている行政処分の適用が実は1年以内の施行時期なんです。つまり即時じゃないんです。見直し規定とかあるんですけど、見直し規定は2年に下げられたということですけど3年後の話なんです。不十分なところをどう救っていくのかというのが、行政上の今後の最大の課題になるのではないかと私は思っています。

上山

法律としてはまとまったけれども、まだ不十分な部分が多いと。

紀藤

かなりあると思いますね。

■「十分に」が追加された配慮義務

上山

昨日の夜に成立した、旧統一教会問題の被害者救済法では、献金や寄付の悪質な勧誘を未然に防ぐことを目的とした「禁止行為」に加えて、「十分に配慮」義務も規定されました。

配慮義務では、寄付の勧誘をする際には「十分に」配慮することとして3つ挙げています。1つ目が「個人の自由な意思を抑圧しない」。2つ目が「寄付者や親族の生活の維持を困難にしない」。3つ目が「寄付の相手方と使途を誤認させない」。これらについて、寄付を勧誘するときには、「十分に」配慮が必要だとしています。

仮に配慮義務が守られずに、個人の権利保護に著しい支障が出ている場合、行政はどのような対応ができるのでしょうか。行政側は配慮義務を守るように勧告したり、法人名を公表することができるようになりました。当初、立憲民主党などの野党が求めていたのは、配慮義務に挙げた①から③の内容を、禁止行為に加えることでした。その後、与党側が譲歩する形で配慮義務に「十分に」という文言を盛り込んで、今回の形になったわけです。

紀藤さん、配慮義務について、「十分に」という言葉が付け加えられたことで、どのような意味があるのでしょうか。素人目ではちょっとわからないのですが、専門家から見ると、どうなんでしょうか。

紀藤

ただの配慮義務なのか、「十分に」配慮する義務なのかというのは、法的に見ると、かなり大きな違いがあります。ただの配慮義務だと、簡単に言うと、チェックリストにチェック入れるくらいで足りるんでけれど、「十分な」配慮義務だと、配慮義務に加えて、ちゃんと本人に意思を確認して、本人の認識がちゃんとできているのかどうかというところまで、具体的な事実に基づいて確認しないといけないというところまで、含みます。法的に見ると、かなり意味があります。

ただ、これまで配慮義務というのは、民間に要求しているというよりは、国の義務として要求している場合が多いんです。法令検索してもらえばわかるんですが、「十分に配慮」義務とされているのは、国の義務が「十分に」配慮しなさいという形で規定されているものが多いです。民間レベルで裁判の中でどういう形で争っていくのかということになると、まだ不透明だと思います。

上山

今回、配慮義務は、宗教法人などの民間に課せられましたが、行政側の対応としては、効力はあるのでしょうか。

紀藤

私は禁止行為にすべきだと思います。禁止行為にすると、ただの勧告だけではなく「命令」までいきます。

■配慮義務違反での行政処分どこまで

上山

行政側は、禁止行為であれば「勧告」、そして「命令」まで可能ですが、配慮義務の場合は、「勧告」と法人名の「公表」にとどまるということですね。

紀藤

被害者が気づかないと、結局、賠償請求といっても、裁判するしかないんです。配慮義務は裁判の中で争われることになるんですけれども、もし「お金を返しなさい」という勧告や命令ができるのであれば、被害者が気づかなくても、家族の申し立てでも、場合によっては行政処分で「お金を返しなさい」ができるんです。そのときに、禁止行為であれば明らかに違法じゃないですか。違法な行為だから、違法な収益を法人が取得するのはおかしいので、過去にもありますけれども、お金を返しなさいという命令は現実に出しているんです、勧告も出しています。配慮義務のときに、果たして勧告の中に、お金を返しなさいとまで言えるのかどうかということについては、実は不透明です。

行政側としては「著しい支障が生じている場合というのは、実質的には禁止行為とほぼ同じような行為が行われているので、この勧告を出す場合に、場合によっては、お金を返しなさいとまで言えるけども、その基準はこれから決めます」と言っているんですね。そうすると、やっぱり現実の被害者を救おうとすると、行政処分は結構、大きいんですけども、禁止行為に高めたうえで、行政処分がしっかり出せるような体制にしないと、現実には被害者は裁判を起こしなさいと、自分で解決しなさいというような自助努力に委ねるルールになってしまって、何のために行政処分をつけたのかというのが分からなくなるということになります。

上山

今の繰り返しになるかもしれないんですが、配慮義務に関しては、行政ができる勧告が曖昧なのではないかということで、12月8日、参議院本会議でこういったやりとりがありました。岸田総理は、配慮義務に違反した法人に対する勧告について、「勧告で返金は求められるのか?」と問われ、「例えば法人などに対して、返金の相談に真摯に対応するよう、行政指導することは考えられる」と答えています。

この答弁は、配慮義務違反でも、行政による勧告で被害者に返金させることもでき得ると理解していいのでしょうか。

紀藤

これは結局、附帯決議にも付いているんですけれど、実際に「行政指導」という言葉を使っていますよね。行政指導というのは基本的に義務がないです。この答弁は勧告に基づくものと行政指導を区別せずに、行政指導と勧告ということで言い換えをされているんですけど、行政指導自体には義務がないわけですから、本来であれば、勧告の中で返金を勧告できるというような建付けのほうがいいわけであって、行政指導というのはやっぱり曖昧だと私は思います。

上山

そうですね。勧告で求められているのは配慮義務を負ってルールに従うように、という勧告なわけですよね。返金までは入っていないと。

紀藤

岸田総理がここまで踏み込んでいただいたのは感謝するんですけれども、ここまで踏み込まれるのであれば、禁止行為の命令にしていただくほうが法の建付けとしてはいいと思います。

■「過去の寄付にさかのぼっては…」

上山

この3つを本当は禁止行為にしてほしかったというのが、紀藤弁護士の思いということですね。さらに紀藤弁護士は新たな法律のそもそもの部分についても問題提起をしています。

「過去の寄付には遡って適用されない」。法律は施行日から適用となるのが原則で、今回成立した被害者救済法も例外ではありません。新しくできた法律の対象となる人は、これから寄付の勧誘を受ける人に対してであって、これまで多額の寄付金を払わされてきた被害者については、過去に行った寄付になりますので、遡って返金を求めることは、紀藤さん、できないということですか。

紀藤

そうなんです。これは法の建付けとして、結局、遡及は原則ダメなので。これ自体は原則になっていますから、これは未来の被害者を救うと、つまり、予防効果を記した法律なんです。ただ、岸田総理も言っていますが、今やっている裁判であるとか、過去の被害者が裁判をするときに、当然、この法律は一種の根拠条文になるわけです。つまり、訴訟の容易化というのはできるのではないかと。ここの法律に書いているものは違法性があるでしょうということで、わざわざ説明するまでもないということです。

訴訟が容易化すると迅速になる、つまり、今まで5年かかったものが3年になるとか、10年かかったものが5年になるという効果はあると思うんです。ただ、それは、そういう効果というのも結局、自助努力ということになりますから、本人がやめるまでは気付かないわけです。だから、被害者救済をできないということになりますから、いつまでたっても、本人が気付くのを家族が待つということになってしまって、結果的になかなか救済が進まないということになりかねないですよね。

上山

杉田さんは、新たに成立した被害者救済法の中身、どの点に注目していらっしゃいますか。

杉田

私は、メディアのこの法律の名前のつけ方もちょっと問題だなと思っているんです。被害者救済法と呼ぶよりも、この法律は今後の悪質な献金を収集するのを規制する法律ということなんです。被害者救済法という法律ができたにもかかわらず、なぜ例えば2世信者の小川さゆりさん(仮名)や色々な被害者の方が憤慨した発言をされているのか。そこに普通はクエスチョンマークを持ってしまう。でもそれはまさに、この法律では彼女、彼らを救うことが非常に難しいからなのです。

裁判は容易になるかもしれないけれど、法そのものは過去に被害を受けた、現在被害を受けている彼ら彼女らを救う法律ではなくて、今後の献金を求められ被害を受ける人々をなくす法律なんだということです。法律に対する基本的な理解を変えていかないと、今後のウォッチということでも重要な影響を与えると思います。

■2世信者の救済“2つの壁”

上山

今まさに杉田さんがおっしゃった誰を救えるのかということが次のテーマです。「旧統一教会”被害者救済法”成立 残された課題 2世信者の救済」です。

残された課題として、2世信者の救済、紀藤弁護士は特に未成年の2世信者への救済が重要だと指摘しています。

菅原

12月9日には、旧統一教会の元2世信者の小川さゆりさん(仮名)が、参議院の消費者問題特別委員会に参考人として出席しました。小川さんは新法の成立に感謝の言葉を述べつつ、自らの「2世」経験を交えて訴えました。

「幼少期から学生時代にかけて、貧しい暮らしを強いられ、小学校1年生の頃から、見た目の貧しさで、いじめにあいました。韓国に「除霊」に行き、精神疾患を患い入院しました。今回の法案の最大の積み残し課題は、子供の被害が現実的には全く救済できないということです」と切実に語りました。

上山

2世信者だった小川さゆりさん(仮名)は、「今回の法律で最大の積み残した課題は子供の被害の救済」と訴えました。

新しい法律では将来の生活費などの範囲で寄付の取り消し、つまり、親が行った寄付の一部を子供が取り戻す規定が盛り込まれましたが、ゲストの紀藤さんは扶養家族、中でも2世信者にとっては実際のところ非常に高い壁があるといいます。

菅原

紀藤さんによりますと、2世信者にとっては、「扶養料の壁」と「親権の壁」、2つの壁があるということです。まず「扶養料の壁」ですが、扶養の対象者、今回の場合は子供やその配偶者がその対象に含まれますが、寄付金の返金を求めたとしても、最低限の生活費程度しか戻ってこない可能性があるということです。

例えば、親が宗教法人などに1億円寄付した場合、紀藤弁護士によりますと、過去の離婚裁判での養育費などの実例を参考にしますと、親が平均給与の460万円だった場合は月3万円ほどの計算にしかならないいうことで、仮に10年分が認められたとしても返ってくるのが360万円程度の恐れ、つまり1億円の寄付のうち約9640万円は戻って来ないんじゃないか、こういったケースがありうるということです。

さらに「親権の壁」も見ていきますが、未成年の子供の場合、寄付金を取り戻すために裁判を起こすには、親の同意が必要です。しかし、両親ともに信者の場合は、信じ込んでいますから親の同意を得るのは非常に難しくなります。親の代わりに未成年後見人をつければ裁判を起こすことはできるのですが、親と関係を断絶する〝親権停止〟などの必要性があります。

「扶養料の壁」、子どもに戻る金額が少なくなる恐れに関しては、昨日の国会でも取り上げられました。岸田総理は、「親が献金していなければ進学できたという事情も考慮されないのか」という質問に対し、「損害賠償請求の際の判断にあたっては、親がこれまでした寄付の金額なども考慮され得るものであると考えています」と答弁しています。

■「現役信者の家族を訴えるのは困難」

菅原

紀藤さん、小川さゆりさん(仮名)は、今回の法律では子供の被害を救済できないと話していましたが、どうお考えですか。

紀藤

親が旧統一教会をやめるという判断をして、実情を全部説明してくださらないと。結果的に子供は親を訴えるなんてできませんからね。我々も家族から相談が来ることが多いんですよね、こういうケースは。その際に裁判を起こしてお金を取り戻すか、家族を救うかどっちかを選択してくださいという場合が多いんですよ。

実際の場面では。裁判を起こすと、多くの場合対立して、結果的に家族を救えなくなることが多いんです。家族を救うためには裁判を我慢してもらうということまでやっているんです。実際、裁判をよく知らない先生がただ家族から問われてすぐ裁判を起こすケースがあるんです。そのケースでどうしようもなくなって親子が対立してしまう、あるいは、親族が対立してしまうというケースがあります。我々の時にそういう方が相談に来られると、とても解決が難しくなってしまうので、普通は裁判を控えるんです。そういう実状まで考えると、実際に子供が現役信者のお母さん、あるいは夫や妻が現役信者の配偶者を訴えるというのはほとんど不可能だろうなと思います。

一応、念のためですが、月3万円というのは生活費程度で、養育費というのは家庭裁判所には基準があって、別居時の子供の養育費は(親の年収が)大体460万円くらいだと月6万円くらいなんです。でも、ここで言う生活費というのは、別居して完全に養育費を払っていない場合の基準なんです。(例に挙げたケースは)生活は苦しくてもできているわけです。そうすると半分程度ということで月3万円にしてるんですが、あくまでも夫婦が別居した場合の養育費の基準なので、果たしてこういう場合に生活費がどのくらいになるのかというのは、裁判基準がありません。あくまでも推測なのです。

ここの部分はですね実際に裁判を起こすとなると、実際の計算上はかなり大変で、岸田総理が言われている通り大学の学費はどうなるのとか、そういったことを細かく見ていくと、裁判で争うとなると、数年がかりが十分考えられる事件です。それも考えてみると単純に「親権の壁」、「扶養料の壁」だけではなくて、そもそも裁判に壁があると考えてもらったほうがいいと思います。

上山

裁判に時間がかかるとなると、子供たちにとっては貴重な1年、2年がどんどん費やされていくことになりますが、平均でどのくらいかかるのでしょうか。

紀藤

普通は、2、3年は優にかかります。別居した場合の養育費の算定ですら1年くらいかかるケースが多いですから、実際に全面的に対立するとなると簡単には結論が出ないと思います。

上山

紀藤さん、子供の救済をしっかりとするためにはどういうことが大事で、どういった法律を目指していくべきなんでしょうか。

紀藤

子供に変わって裁判を起こす制度というのがとても重要になってくるんです。例えば、以前にあった浪費の場合の準禁治産者申し立てという制度では、浪費者に対しては、家族が財産を守るために保佐人をつけられたんです。そういうような制度設計みたいなものはですね、このケース、つまり旧統一教会の場合は次々と献金するわけで、1件、1件は100万円だったりするわけですけれども、それを100回やれば1億円になるんです。そういうことで次々に献金みたいな事件というのは、高齢者の財産保護と同じような発想で、成年後見と類似の制度は作るべきだと私は思っていますし、行政処分は結構、重要なんです。

行政処分は本人がやめていなくても、お金を返しなさいという制度、請求ですよね。家族のお金が奪われている状況下においては、配慮義務2項は、特に重要だと思いますけど、「親族の生活の維持を困難にしない」と書いてありますよね。親族の生活の維持が困難になっているときに、お金を返しなさいと言えると、行政がやってくれると、子供が直接申し立てをしないわけですから家族が対立しないという意味で意味があると思います。

■「政府内に検討会を」「世論の力が大きい」

上山

紀藤さんはこの法律、その名の通り被害者の救済に動けるような法律にするためには、何が重要だとお考えですか。

紀藤

私は今後のこととして、将来の被害者を救えるわけですけれども、現在進行形であるとか過去の被害者、それから家族被害、まさに子供の被害が防止できないということになると、それを救済するためには見直しがとても重要で、昨日、岸田総理も言われていましたし、河野大臣も言われていましたけれども、政府の中に検討会を作るべきだと思うんです。実は、消費者庁の検討会に私も参加していましたが、最後に被害者から話を聞いてくださいとお願いをしたんですけれども、結局、法案を作ることを最優先しましたので、被害者に聞き取る作業というのは、政府側では実は公にはしていないんです。ですから検討会を立ち上げて、被害者の声をまず聞いて、被害者にとって役に立つ法律をもう1段、作らないといけないですので、ネクストステージというか第2ステージがきわめて重要になると思います。

上山

2年ごとに見直すということなんですが、2年後ということではなく、成立してから検討会を立ち上げて、またすぐ取り組んでいくべきだということですね。

紀藤

子供たちは日々成長していくわけですから、2年というのはあまりにも長い。しかも施行後2年ということですから、法律上の建付けは3年ということになりますよね。それはあまりにも私は長いと思います。

上山

杉田さんはいかがでしょうか。

杉田

今回は世論の力が大きいということを改めて示しました。この法律も世論に押されてできた法律ですよね。もう1つは旧統一教会への政治の関わりの問題を私たちは忘れている気がして、つまり政治家がかかわることで活動にお墨付きを与えた、名称の変更に政治が関与した、選挙の前に政策協定を結んだ、こういった政治の側の問題についても追及していく必要がある。こうした点も世論が今後も関心をもってウォッチしていく必要があると思います。

(2022年12月11日放送)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、全国霊感商法対策弁護士連合会の声明に抗議するとした文書の中で、「寄付勧誘」について、次のように言及しています。

「一部信者らの献金勧誘行為の行き過ぎが不法行為に問われ、さらに当法人の使用者責任が認められたケースはある。
しかし、そのような不法行為の主張を認めずに、原告元信者が信仰に基づき自主的にささげた献金に返還義務はないと認め、法人或いは被告信者らが勝訴した裁判例(名古屋地裁平成11年、東京地裁平成22年、名古屋地裁平成23年)もある。」
(『9月16日付「声明」に対する抗議及び撤回要求』より)