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BS5社共同企画 BSが刻む野球 伝説と未来 第三夜
BS5社共同企画 BSが刻む野球 伝説と未来 第三夜 佐々木麟太郎のすべて
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ウェルビーイング、みつけた
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BS朝日×地方創生
BS朝日が取り組む地方創生:『発信』と『体験』“知る人ぞ知る地域の魅力”にフォーカス
BS朝日「ウェルビーイング放送中!」
テレビ局らしく、エンターテインメントにして届けていく。BS朝日の、新しい挑戦です。
『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。 生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。 もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。
■『BS朝日 日曜スクープ』3月15日の放送内容は現在、公開中です。 【ホルムズ海峡に艦艇派遣】トランプ大統領“日本など期待”原油高でIEA協調で放出 中東情勢の緊張が続く中、原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の安全確保を巡り、国際社会の対応が新たな段階に入りつつある。トランプ米大統領は3月14日、自身のSNSで、イランによる海峡封鎖の試みに対抗するため、日本を含む各国に軍艦の派遣を求める考えを示した。トランプ大統領は投稿で、「多くの国々、特にイランによるホルムズ海峡封鎖の影響を受ける国々は、同海峡の通行を確保し安全を守るため、米国と連携して軍艦を派遣することになるだろう」と主張した。そのうえで、中国、フランス、日本、韓国、英国などを挙げ、「この人為的な制約の影響を受ける国々が同海域に艦船を派遣し、ホルムズ海峡への脅威を根絶することを期待する」と呼びかけた。また、「我々はすでにイランの軍事能力を100%破壊した」と強調しながらも、「(イランが)壊滅的な打撃を受けていても、ドローンを飛ばしたり機雷を敷設したりする可能性がある」と指摘。米軍については「沿岸部を徹底的に爆撃し、イランのボートや艦船を次々と撃沈し続けるだろう」と述べ、「いずれにせよ、まもなくホルムズ海峡を『開放』し、『安全で自由』な状態にする」と強い姿勢を示した。 こうした中、日本の対応を巡る議論も国会で始まっていた。3月13日の衆院予算委員会では、中道改革連合の長妻昭衆院議員が、高市総理に対し、主要7カ国(G7)がホルムズ海峡での船舶護衛を検討しているとの報道を踏まえ、日本の対応をただした。長妻氏は「日本として国際法上、違法か違法でないかを確認しないと、こうしたことには協力できないのではないか」と質問した。これに対し、高市総理は「自衛隊を派遣するとか、そういったことについては何ら決まっておりません」と述べ、現段階で具体的な派遣方針は決定していないとの認識を示した。また、茂木外務大臣は同日の答弁で、米国の軍事行動の法的根拠について言及し、「アメリカは今回の事態について『国連憲章51条に従って対応している』と述べている」と答弁した。これに関連して高市総理は、「米国の立場や姿勢は明らかになっていない」としたうえで、「国連安全保障理事会の緊急会合における米国の立場も含め、現段階で法的評価を行うことは差し控えている」と説明。「G7各国も国際法上の評価を明確に示すことは避けている国が多いと理解している」と述べた。国連憲章第51条は、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を認めると定めている。さらに、高市総理は前日の12日の答弁で、ホルムズ海峡での機雷除去を目的とした自衛隊の展開についても慎重な姿勢を示した。「機雷などの除去のために事前準備として、自衛隊のアセット(艦船や装備)を近傍に展開することは想定できない」と述べた。
米国とイランの軍事的緊張が中東のエネルギー輸送網と世界市場を揺るがす中、各国政府は石油備蓄の放出や価格抑制策など緊急対応を余儀なくされている。3月13日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場で、WTIは1バレル=98.71ドルで取引を終えた。国際エネルギー機関(IEA)は3月11日、加盟32カ国が協調して過去最大規模となる4億バレルの石油備蓄を放出すると発表した。ホルムズ海峡を通過する石油輸送量の約20日分に相当する。米政府も同日、戦略石油備蓄から1億7200万バレルを放出すると発表。さらに、米財務省は12日、ウクライナ侵攻を理由に科していた対ロシア制裁を一時的に緩和し、タンカーに積載済みのロシア産原油や石油製品について30日間の販売を認めると発表した。 一方、日本でも燃料価格の急騰が続いている。政府は燃料補助向け基金2800億円を活用し、レギュラーガソリン価格が1リットル170円を超える部分を補助する制度を導入。19日の出荷分から適用する。加えて政府は、16日にも国家備蓄と民間備蓄を放出する方針を決めた。民間備蓄は約15日分、国家備蓄は約1カ月分とされる。しかし、対策の持続性には疑問も残る。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏の試算によると、ガソリン価格を170円に抑えるには、政府は1日あたり約40億8000万円の補助が必要とされる。2800億円の基金では約68日分にとどまり、原油価格が高止まりすれば、予算の枯渇はさらに早まる可能性がある。 ペルシャ湾やホルムズ海峡では今月に入り、複数の商船やタンカーへの攻撃が相次いでいる。米CNNによると、11日夜にはマルタ船籍とマーシャル諸島船籍の石油タンカー2隻がミサイル攻撃を受け炎上し、少なくとも1人が死亡した。時事通信によると、同日午前には、ホルムズ海峡を通過中のタイ船籍の貨物船が攻撃を受け、3人が行方不明となった。日本の海運大手「商船三井」も11日未明、同海峡周辺で同社コンテナ船が攻撃を受けたと発表している。さらにCNNは、イランが海峡周辺に機雷の敷設を開始した可能性を報じた。イラン革命防衛隊海軍のタンシリ司令官は13日、「ホルムズ海峡を閉鎖する戦略を維持する」と述べ、侵略者への強硬対応を警告した。米国とイランの軍事的緊張が一段と高まる中、トランプ大統領は3月13日、イラン南西部のカーグ島に対し米軍が大規模な爆撃を実施したと発表した。トランプ大統領は、「軍事目標はすべて破壊された」と述べ、作戦の成功を強調した。カーグ島はペルシャ湾に浮かぶイラン最大級の石油輸出の拠点で、同国の原油輸出の約90%を担うとされる。一方、イラン政府は3月7日、ホルムズ海峡近くのゲシュム島にある淡水化プラントが破壊されたと発表した。 こうした事態を受け、海運業界からはタンカー護衛を求める声が高まっているが、米政府の対応は揺れている。ヘグセス国防長官は13日、機雷敷設について「明確な証拠は得られていない」と述べた上で、米海軍が攻撃リスクを理由に護衛要請を拒否したケースがあると報じられている。一方、トランプ大統領は13日、米海軍によるタンカー護衛について「間もなく実施される」と表明。ベッセント財務長官は12日、「軍事的に可能となり次第、米海軍は有志国とともに護衛するだろう」と述べ、海上輸送の安全確保に乗り出す方針を示した。ただ、大統領自身の発言は一貫していない。トランプ氏はこれまでSNSで「機雷を敷設すれば前例のない規模の攻撃を行う」と警告する一方、「機雷はないと思う」とも発言するなど、強硬姿勢と慎重姿勢の間で揺れている。こうした状況の中、トランプ政権にとって最大の政治リスクとなりつつあるのがガソリン価格の急騰。米自動車協会(AAA)によると、全米の平均ガソリン価格は2月27日の1ガロン2.982ドル(約474円)から、3月13日には3.630ドル(約577円)へ上昇。わずか2週間で約22%の値上がりとなり、エネルギー価格の高騰が家計を直撃している。トランプ大統領は12日、自身のSNSで「米国は世界で断トツの産油国。原油価格が上がれば、儲かる」と強調した。 中東で続く米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦を巡り、戦争の終結シナリオが見えない状況が続いている。焦点となっているのは、イランの新たな最高指導者の存在だ。死亡した最高指導者ハメネイ師の後継として、次男のモジタバ・ハメネイ師が選出された。モジタバ師は革命防衛隊との結びつきが強いことで知られている。イスラエルも警戒を強めている。ネタニヤフ首相は12日、「テロ組織の指導者に保険をかけるつもりはない」と述べ、モジタバ師を含むイラン指導部への強硬姿勢を鮮明にした。米国務省はすでにモジタバ師に関する情報提供に1000万ドル(約16億円)の報奨金を提示している。これに対しイランのペゼシュキアン大統領は11日、SNSで「イスラエルと米国が始めたこの戦争を終わらせる唯一の方法は、イランの正当な権利を認め、賠償金を支払い、侵略が再発しない国際的保証を与えることだ」と主張した。英紙「ガーディアン」は10日、イランのアラグチ外相が「トランプ大統領が一方的に勝利を宣言しても戦争を終わらせることはできない」と述べたことを伝えた。米シンクタンクの「外交問題評議会(CFR)」のリチャード・ハース名誉会長は13日のCNNで、「イランは米国やその同盟国よりも長期戦に耐えられると判断している」と指摘した。軍事力では劣るものの、海上交通の攪乱や地域のエネルギー施設への攻撃などを通じ、戦争のコストを引き上げる戦略を取っている可能性があるという。 中東情勢の緊張が高まる中、日本政府は近く予定される日米首脳会談を前に、防衛政策の在り方を巡る議論に直面している。英ロイター通信によると、高市総理は3月9日、防衛費について「現時点で米側から防衛費のGDP比について具体的な数字の提案があったということは一切ない」と述べ、米国から直接的な増額要求は受けていないとの認識を示した。トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、GDP比5%の防衛費を求める考えを示しており、日本への要求が強まる可能性も指摘されている。仮に、防衛費をGDP比5%まで引き上げた場合、財政規模は大きく変わる。衆院予算委員会で12日、財務省主計局長は「機械的な計算」と前置きした上で、GDP比3.5%の場合は約24.2兆円、GDP比5%なら約34.6兆円になるとの試算を示した。現在の2026年度防衛予算は約9.4兆円であり、GDP比5%の水準となれば、規模は現在の3倍以上に膨らむ計算になる。 ★ゲスト: ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト) 、斉藤貢(元駐イラン大使) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH (公開期間は放送から2週間です)
【安全保障と地域の安心】沖縄・大分をルポ“広がる住民の不安” 防衛政策の転換点は 東シナ海に浮かぶ沖縄県与那国島。日本の最西端に位置するこの島は、晴れた日には海の向こうに台湾の景色が望める。台湾まで約111キロ、沖縄本島からは約500キロ。いま、この「国境の島」は、日本の防衛政策の転換点を象徴する場所となりつつある。昨年11月、就任から間もない小泉進次郎防衛大臣が与那国島を訪れた。小泉氏は、「防衛大臣に就任して1カ月。できる限り早い段階で与那国に参りたいと思っていた」と語った。政府は、中国の軍事的台頭を念頭に、南西諸島の防衛体制を強化する「南西シフト」を進めている。その一環として、防衛省は2030年度を目標に、与那国島へ中距離地対空ミサイル部隊を配備する計画を進めている。 これまで島に配置されていたのは、主に監視を担う部隊だった。ミサイル部隊が配備されれば、飛来するミサイルや航空機への対処拠点として、島の役割は大きく変わることになる。今年3月、島では住民説明会が開かれた。「配備を急ぐべきだ」という賛成意見が出る一方、島が攻撃対象となる可能性への不安を口にする住民も少なくない。住民の請舛姫代さん(71)は、政府の説明姿勢に疑問を呈する。「政府は『丁寧に説明する』と言う言葉というか、納得するまで押し付けるという風にしか聞こえない」。 10年前、財政難と人口減少に悩んでいた島は、地域活性化を期待して自衛隊の誘致を選択した。人口は一時1500人を割り込んだが、現在は1700人近くまで回復。その約2割を自衛隊員と家族が占める。島民の泊利明さん(61)は「自衛隊がいないと運動会も成り立たない。村の行事もみんな頼っている。良いことじゃないか」と語る。ミサイル部隊配備に伴い、さらに100人程度の隊員が増える見込み。しかし、自衛隊員の増加が島の持続的な発展につながるのか疑問視する声もある。おきなわ住民自治研究所の山田和幸さん(73)はこう指摘する。「自衛隊員は防衛のため訓練をやっているわけ。電気、運送など地域を支える人が減っている」。 南西諸島の防衛強化は、与那国だけにとどまらない。熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地では3月9日、長射程ミサイルの搬入が始まった。国内で長射程ミサイルが配備されるのは初めてとされる。さらに静岡県の富士駐屯地でも3月31日に、同様のミサイル配備が予定されている。一方、温泉地として知られる大分県由布市の湯布院でも、防衛政策の変化が地域社会に影響を及ぼしている。 由布岳の山麓に広がる大分県由布市の湯布院温泉。その中心部に近い場所に陸上自衛隊湯布院駐屯地がある。古書店を営む鯨津憲司さんは、温泉街の隣でミサイル部隊が拡充されていく現状をこう語る。「駐屯地の正門から900メートルほど先が由布院駅。その間には旅館や商店、民家が並ぶ。まさに温泉街の中心的な場所」。湯布院駐屯地は、「敵基地攻撃能力を担う長射程ミサイルを運用することを想定している」とも報じられている。住民は防衛省に説明会開催を求めている。 同様の懸念は、大分市の大分分屯地でも広がっている。政府は2032年度までに、継戦能力の強化を目的として、全国で火薬庫130棟の増設を計画しているが、その一つが大分分屯地。建設予定地の周辺には住宅地が広がり、近くには保育所や小学校、病院もある。元自治会長の宮成昭裕さんは不安を隠さない。「そのアパートの左隅をずっと上がったところが保育所になりまして、それから直線でまっすぐが火薬庫だと」。近隣住民は反対運動を続け、チラシ配布などを通じて問題を訴えている。駄菓子店を営む三浦博子さんは語る。「やっぱり大きな火薬庫があるところを一番に狙うと思うので怖いです」「どうしてこんな街の中に、住宅地にね」。防衛力強化の最前線となる地域では、住民の暮らしと不安が交錯している。国家の安全保障と地域社会の安心をどう両立させるのか。日本の防衛政策は、いま新たな問いを突きつけられている。 政府は遠距離から敵戦力を無力化する「スタンド・オフ防衛能力」の強化を進めている。防衛省は3月31日を予定として、熊本県の陸上自衛隊健軍駐屯地に改良型の12式地対艦ミサイルを配備する。また同日には、静岡県の富士駐屯地には長距離攻撃能力を持つ「島しょ防衛用高速滑空弾」が配備される計画となっている。こうした装備配備を巡っては、地元住民から不安の声も上がっている。これについて、内倉浩昭統合幕僚長は13日、「ご指摘のようなことよりも、抑止力や対処力を高める効果の方が大きい」と述べた上で、「引き続き、丁寧に地域の方々に説明していきたい」と理解を求めた。小泉防衛大臣は13日、「スタンド・オフ防衛能力整備の一環として、米国製巡航ミサイル『トマホーク』の海上自衛隊への納入が開始された」と明らかにしたうえで、「わが国への武力攻撃を抑止することにつながる」と述べ、導入の意義を強調した。 ★ゲスト: ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト) 、斉藤貢(元駐イラン大使) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH (公開期間は放送から2週間です)
■『BS朝日 日曜スクープ』3月8日の放送内容は現在、公開中です。 【イラン軍が壊滅的打撃】治安機構を重点攻撃“民衆蜂起を狙う”中東戦火が海運直撃 米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃は、開始から9日目を迎え、イラン軍の戦力に壊滅的な打撃を与えつつあるとの見方が広がっている。トランプ米大統領は3月6日、今回の軍事行動「壮絶な怒り作戦」が順調に進んでいると強調し、「イランの陸軍は消え、海軍も消え、通信手段も消滅し、指導者も消えた」と述べた。米国とイスラエルは、イランの軍事インフラを短期間で徹底的に破壊する作戦を展開しており、米中央軍によると、開戦から1週間足らずでイラン国内の軍事拠点など約3000カ所を攻撃したという。カタールの衛星放送「アルジャジーラ」は6日、イラン国内の死者は1332人と報じた。イスラエル軍のザミール参謀総長も同日、空軍が6000発以上の弾薬を用いて2500回に及ぶ攻撃を実施し、イランの防空システムの約80%を破壊したと発表。イラン上空の制空権を確保したとされている。米軍はB52、B2、B1などの戦略爆撃機を投入し、ミサイル基地などへの攻撃を継続している。米戦争研究所(ISW)が3日から4日にかけての衛星写真を分析した結果、イスファハン南部のミサイル基地を含む5か所以上の基地が攻撃されたとみられる。 攻撃はイラン革命防衛隊にも及んでいる。戦争研究所の分析によると、米軍とイスラエル軍は5日、革命防衛隊のサラッラー本部の主要基地2か所を攻撃したほか、南西部では革命防衛隊地上軍の特殊部隊や即応部隊への攻撃を継続している。海上戦力への打撃も拡大している。米中央軍は、これまでに20隻以上のイラン艦船を攻撃または撃沈したと発表した。クーパー司令官は「アラビア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾にはイラン艦船が1隻も航行していない」と述べ、イラン海軍の活動がほぼ停止しているとの認識を示した。また、米海軍の潜水艦がスリランカ南岸沖でイランのフリゲート艦を魚雷で撃沈した。こうした状況について、ヘグセス米国防長官は5日、「我々はまだ戦い始めたばかりだ」と述べ、今後さらに軍事行動を強化する考えを示した。戦闘機部隊や基地の増強を進めるとともに、イラン本土、とりわけ首都テヘランへの爆撃が大幅に拡大する可能性があるとした。 一方、民間人被害については、2月28日、イラン南部ミナーブの女子学校が攻撃を受け、生徒約150人が死亡したと国連のイラン大使が明らかにした。6日のロイター通信によると、米国当局者は、米軍が関与した可能性が高いとの見方を示しているが、調査は完了していない。ホワイトハウスのレビット報道官は、国防総省が調査を進めているとしたうえで、「民間人や子どもを標的にするのはイラン側であり、米国ではない」と関与を否定した。 今後の焦点の一つとなるのが、米軍の地上部隊投入の可能性。トランプ大統領は3月2日、ニューヨーク・ポストの取材に対し、「すべての大統領は『地上部隊は投入しない』と言うが、私はそうは言わない」と述べ、投入の可能性を排除しない姿勢を示した。一方で5日にはNBCテレビのインタビューで、現時点で地上部隊派遣を検討するのは「時間の無駄だ」とも発言しており、政権内でも方針は定まっていないとみられる。米メディアは、大規模な地上侵攻ではなく、特定任務を担う小規模部隊の派遣が検討されている可能性を報じている。これに対し、イランのアラグチ外相は「イランは米軍を待っている。(地上侵攻すれば)米軍にとって大惨事になる」と警告し、強く反発した。 トランプ大統領は今回の軍事行動の最終目標についても強硬な姿勢を示している。トランプ大統領は3月6日、自身のSNSで「無条件降伏以外に合意はない」と投稿し、イランに全面的な屈服を求めた。ホワイトハウスのレビット報道官は6日、「大統領が目標が達成されたと判断した時点で無条件降伏が成立する」と説明している。さらに、トランプ氏は3日、イラン体制の後継者問題にも言及し、「我々が想定していた人物は全員死亡した。次点も三番手も消えた」と述べた。5日には、イランの将来を導く人物を選ぶプロセスに関与したいとの考えを示した。また、6日には、「イランの指導者は必ずしも民主的である必要はない。宗教指導者であっても構わない」と発言した。 イランの後継者候補としては、死亡した最高指導者ハメネイ師の次男で革命防衛隊と関係が深いとされるモジタバ・ハメネイ師のほか、モホセニエジェイ司法府代表や、護憲評議会が選出したイスラム法学者アラフィ師などの名前が取り沙汰されている。ホワイトハウスのレビット報道官は、モジタバ師について米情報機関が動向を注視していることを明らかにした。また、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は4日、イスラエル軍が革命防衛隊や警察の特殊部隊など、国内の治安維持機構を重点的に攻撃していると報じた。準軍事組織バシジの本部や警察司令部の特殊部隊本部などが標的となっており、体制の統治基盤を揺るがすことで民衆蜂起を促す狙いがあるとの見方も出ている。 米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、中東の海上交通にも深刻な影響が広がり始めている。世界有数の原油輸送ルートであるホルムズ海峡では、船舶の航行が大きく制限され、海運・保険市場にも緊張が走っている。攻撃前となる2月27日時点では、ホルムズ海峡は、通常の航行が可能だったものの、3月6日の時点では海峡を通過できない船舶が相次いでいる。海運関係者の間では、イラン革命防衛隊が海域を事実上封鎖した可能性が指摘されており、タンカーを含む商船の航行が大きく滞っているという。こうした事態を受け、米国政府はホルムズ海峡を通過するタンカーの護衛を「必要な場合、可能な限り早期に開始する」方針を示した。さらに、湾岸地域を通過する海上貿易について、政治リスク保険や保証を「極めて合理的な価格」で提供するよう関係機関に命じたとされる。 しかし、実際の運用には課題も多い。ノルウェーの海上保険組合「Skuld(スクルド)」によると、すでに戦争リスク保険料は従来の約12倍に急騰し、航行1回あたり数百万ドル規模の保険料が見積もられるケースもあるという。トランプ大統領が示した「必要な場合」という条件も曖昧で、具体的にどのような事態で保険が適用されるのか、また適正価格の基準や保険の適用範囲など制度設計には精査が必要とされている。湾岸の海上輸送が戦闘の影響を受けるのは今回が初めてではない。1980年代のイラン・イラク戦争では、いわゆる「タンカー戦争」が発生し、ペルシャ湾を航行するタンカーが双方の攻撃対象となった。当時は約400~500隻の船舶が被害を受け、少なくとも50隻が撃沈されたとされている。一方、軍事的緊張は周辺地域にも波及している。イランによる反撃とみられる動きは周辺各国に広がり、トルコ、アゼルバイジャン、イラク、サウジアラビア、オマーン、クウェート、ヨルダン、バーレーン、カタールなど、少なくとも11か国に影響が及んでいるとされる。各国政府はイランを念頭に自制を求める一方、軍事対応の可能性についても検討を始めている。 ★ゲスト:今村卓(丸紅経済研究所社長)、田中浩一郎(慶応義塾大学大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH (公開期間は放送から2週間です)
【イラン攻撃の決定経緯に批判】米軍支援要請備え“対応を検討”原油急騰で生活懸念 米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をめぐり、米国内では作戦決定の経緯やその正当性をめぐる議論が広がっている。ルビオ米国務長官は3月2日、イラン攻撃について「我々はイスラエルが行動を起こすことを知っていた。それが米軍への攻撃を招くことも理解していた。先制的に攻撃しなければ、より多くの犠牲者が出ることも分かっていた」と述べ、米国がイスラエルの動きを前提に軍事行動に踏み切ったとの認識を示した。発言は、米国がイスラエルの軍事判断を踏まえて先制攻撃を決断したと受け取られかねない内容で、国内のMAGA(トランプ氏支持層)派からも批判の声が上がっている。オンライン活動家のマイク・サーノビッチ氏は、ルビオ氏の発言について「多くの人が推測していたことが事実だと明らかになった」と述べ、米国がイスラエルの動きに引き込まれた形で戦争に関与した可能性を指摘した。保守系論客のマット・ウォルシュ氏も「ルビオ氏は、イスラエルに追い込まれてイランとの戦争に入ったと認めたに等しい」と批判し、いわゆる「MAGA(トランプ支持層)」の間でも疑問の声が広がっている。 こうした中、今回の軍事行動が決定されるまでの経緯について、米メディアが報じた。3月2日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、トランプ大統領が戦争を決断するに至った背景として、2月11日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談に焦点を当てた。ネタニヤフ首相は「トランプ大統領を戦争への道に導く決意を固めて大統領執務室に入った」とされ、約3時間に及ぶ会談では、軍事行動の可能性や攻撃の時期、さらにはトランプ政権がイランと核問題で合意する可能性などが議論されたという。同紙はまた、ネタニヤフ首相が数か月にわたり、弱体化したイラン政権への攻撃の必要性をトランプ大統領に訴えてきたと指摘している。とりわけ、昨年12月の会談では、ネタニヤフ首相が「今後数か月以内にイスラエルがイランのミサイル基地を攻撃する計画について、トランプ大統領の承認を求めた」と報じている。同紙は、「その約2か月後、ネタニヤフ首相は「イラン指導部を打倒する戦争における完全なパートナー」を得た」と記している。 今回のイラン攻撃をめぐっては、米国とイスラエルの間で世論の温度差も顕著となっている。米CNNが実施した世論調査によると、米国ではイラン攻撃に「反対」が59%、「賛成」が41%だった。特に「強く反対」が31%に上り、「強く賛成」の16%を大きく上回っている。一方、イスラエルの世論調査では、イランへの攻撃に「賛成」が約8割を占め、そのうち「強く賛成」は6割に達するなど、両国の世論は対照的な結果となっている。日本政府も対応に慎重な姿勢を見せている。高市総理は3月2日、衆院予算委員会で米国とイスラエルによるイラン攻撃について「我が国として法的評価は差し控える」と答弁した。一方で5日には、ドイツのメルツ首相との電話会談で、イランによる反撃がエネルギー施設や外交施設など民間施設に及び、民間人の死者も出ているとして、その行動を非難した。 一方、中東情勢の緊迫化に伴い、エネルギー市場への影響も顕在化している。海運大手の日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社は、イラン攻撃の翌日となる3月1日、ホルムズ海峡の航行を停止したと発表した。中東情勢の悪化を受け、船舶を安全な海域で待機させるなどの措置を取っているという。日本の石油備蓄は、国家備蓄と民間備蓄を合わせて約254日分とされるが、原油価格は急速に上昇している。中東原油の指標となるドバイ原油の取引価格は6日、1バレルあたり99.14ドル。米国によるイラン攻撃前は約68ドルで推移していたことから、短期間で大幅な上昇となった。航空燃料の価格も急騰している。アジアの燃料取引拠点であるシンガポールのジェット燃料価格は4日、72%以上上昇し、1バレル225.44ドルと過去最高値を記録した。航空会社が徴収する燃料サーチャージの引き上げにつながる可能性も指摘されている。 原油高が日本経済に与える影響について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは複数のシナリオを試算している。軍事衝突が比較的限定的にとどまる「楽観シナリオ」では、原油価格は14.9%上昇し、日本のガソリン価格は1リットルあたり181円程度になると見込む。原油輸送の混乱が長期化する「メインシナリオ」では、原油価格は29.9%上昇し、ガソリン価格は204円程度まで上昇する可能性がある。さらに、中東全域に軍事衝突が拡大する「悲観シナリオ」では、原油価格は109%上昇し、ガソリン価格は1リットルあたり328円に達する可能性があるとしている。木内氏はまた、原油価格の上昇が電気料金を約6%押し上げ、ガス料金は2~3割程度上昇する可能性があると試算している。食料品にも波及し、卵1パックの価格が10~20円程度上昇する可能性があると指摘している。 ★ゲスト:今村卓(丸紅経済研究所社長)、田中浩一郎(慶応義塾大学大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH (公開期間は放送から2週間です)
■『BS朝日 日曜スクープ』2026年1月4日の放送内容は現在、公開中です。 【光通信と次世代半導体】IOWNが変える“遠隔医療の未来”2026ニッポンの逆襲は? 2025年12月、東京ビッグサイトで開かれた世界最大級の半導体国際展示会。北海道で次世代半導体の量産を目指す「ラピダス」をはじめ、国内外の有力企業が一堂に会する中、ひときわ人だかりを集めるブースがあった。NTTが開発を進める次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」。現在の通信ネットワークは、光で送られた信号を途中で電気に変換しながら処理する仕組みが主流となる。一方、IOWNは光を電気に変換することなく、光だけで通信と処理を完結させる。この技術により、通信遅延は従来の約200分の1にまで短縮され、データ容量は125倍に拡大。さらに消費電力は100分の1に抑えられることが可能となる。膨大なデータ処理が不可欠となる次の時代のインフラとして、世界が強い関心を寄せている。 IOWNがもたらす変革の一つが医療分野。遠隔医療やリハビリへの応用が現実味を帯びる。東京と福岡をIOWNで接続し、トレーナーの動きを遠隔地に伝える装置を用いたリハビリの実証では、福岡側の担当者が腕を動かすと、東京にいる体験者の腕が、まるで隣で直接サポートを受けているかのように自然に動かされた。低遅延・大容量という特性が、距離の壁を限りなく小さくしている。NTTの担当者は「遠隔地からでもリハビリやサポートが可能になれば、地方の過疎化問題の解決や、移動時間の削減によって新たな労働力の創出にもつながる」と語る。人口減少と過疎化が進む日本にとって、医療インフラの在り方を根底から変え、社会的課題の解決に寄与する可能性を秘めている。 もう一つ、IOWNが持つ大きな強みが「省電力」。生成AIの急速な普及により、世界的に深刻化しているのが電力不足の問題。国の試算では、デジタル化の拡大によって、2050年には日本国内のデータセンターだけで約1万2000テラワット時もの電力が必要となり、現在の総発電量の12倍に達するとされる。消費電力を100分の1に抑えるというIOWNの構想には、インテルやソニーなど、世界を代表する約180社が参画している。NTT・IOWN推進室の荒金陽助室長は、「世界でモノを売り、サービスを展開することが前提。NTTグループ単独で完結するとは考えていない。グローバルな企業と連携しながらも、その中で日本企業が重要なポジションを担うことを実現したい」と語る。 一方、通信と並び次世代技術のもう一つの柱となるのが半導体。仙台市に本部を置く東北大学では、消費電力を劇的に抑える次世代半導体の研究が進んでいる。カギとなるのは「スピントロニクス半導体」。電子が持つ「電気」と「磁石」という二つの性質を活用する新しい技術。研究を率いる同大国際集積エレクトロニクス研究開発センター長の遠藤哲郎教授は、「スピントロニクス半導体が社会のあらゆる場面に導入されれば、スマートフォンは一度の充電で2~3週間使えるようになる」と語る。従来のシリコン半導体では、AI処理時に約2000ミリワットの電力を消費し続けるのに対し、スピントロニクス半導体を用いたAI処理では、ピーク時でも40ミリワットに抑えられる。消費電力は実に50分の1。さらに、この半導体は電源を切ってもデータを保持できるという特性を持つ。 遠藤教授がこの研究に情熱を注ぐ背景には、東日本大震災の経験がある。「家族や学生の安否を確認したくても電話がつながらず、かけるたびにバッテリーが減っていく。災害時に、通信機器がいかに脆弱かを痛感した。性能を向上させるだけでなく、少ない電力で本当に役に立つ技術が必要だと強く思った」。かつて、電機大手「東芝」で半導体開発の最前線で従事した経験があり、日本の盛衰を見つめてきた遠藤教授は、半導体技術の向上を踏まえた日本の進むべき道をこう指摘する。「半導体を持たざる国は、経済安全保障を守れない。基礎研究から、企業が世界で勝ち抜く段階まで、国が支援することが大事」。光でつながる通信、磁石で記憶する半導体。エネルギー制約という世界共通の課題を前に、日本発の技術が挑もうとしている。2026年、日本の逆襲は静かに、確実に加速しつつある。 ★ゲスト:永濱利廣(第一生命経済研究所)、ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト) ★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH (公開期間は放送から2週間です)
■『BS朝日 日曜スクープ』2025年3月23日の放送内容は現在、公開中です。 【中国に対峙する台湾・金門島】戦跡が物語る“砲撃の記憶”防衛拠点の現実と島民生活 中国福建省の廈門(アモイ)から約5キロの距離に位置する台湾・金門島。人口は約14万人、面積は150平方キロメートルの小さな島で、基幹産業の観光と漁業で発展を遂げてきた。金門島は長年、中国との緊張関係の中で、重要な軍事拠点として機能してきた。最盛期には、約14万人が駐留していたとされる軍隊は、約3000人まで縮小されたが、現在も、島の重要な防衛を担っている。 かつては、砲撃戦が繰り広げられた歴史がある。金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となった。古寧頭戦役では、中国・人民解放軍が金門島に上陸し、蒋介石が率いる国民党軍と激しい戦闘を繰り広げた。この戦いで、国民党軍が防衛の成功を収めた。金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込んだ。島内には、防空壕、砲弾の残骸などの軍事遺構が数多く残されており、戦争の記憶を今に伝えている。 ★ナレーター:佐分千恵 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH
■『BS朝日 日曜スクープ』2024年11月17日の放送内容は現在、公開中です。 【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定 「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。 事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。 加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。 加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。 加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。 ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH
■『BS朝日 日曜スクープ』2023年9月10日の放送内容は現在、公開中です。 【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆ 2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。 訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。 加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。 ▽埼玉・熊谷6人殺害事件 2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年8月13日の放送内容は現在、公開中です。 【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆ 遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。 ★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス) ★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH 【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆ ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。 ★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス) ★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH 【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆ ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。 ★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス) ★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH 【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆ ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。 ★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス) ★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員) 放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。 ⇒ テレ朝NEWS ⇒ ANNnewsCH
『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。
■『BS朝日 日曜スクープ』3月15日の放送内容は現在、公開中です。
【ホルムズ海峡に艦艇派遣】トランプ大統領“日本など期待”原油高でIEA協調で放出
中東情勢の緊張が続く中、原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の安全確保を巡り、国際社会の対応が新たな段階に入りつつある。トランプ米大統領は3月14日、自身のSNSで、イランによる海峡封鎖の試みに対抗するため、日本を含む各国に軍艦の派遣を求める考えを示した。トランプ大統領は投稿で、「多くの国々、特にイランによるホルムズ海峡封鎖の影響を受ける国々は、同海峡の通行を確保し安全を守るため、米国と連携して軍艦を派遣することになるだろう」と主張した。そのうえで、中国、フランス、日本、韓国、英国などを挙げ、「この人為的な制約の影響を受ける国々が同海域に艦船を派遣し、ホルムズ海峡への脅威を根絶することを期待する」と呼びかけた。また、「我々はすでにイランの軍事能力を100%破壊した」と強調しながらも、「(イランが)壊滅的な打撃を受けていても、ドローンを飛ばしたり機雷を敷設したりする可能性がある」と指摘。米軍については「沿岸部を徹底的に爆撃し、イランのボートや艦船を次々と撃沈し続けるだろう」と述べ、「いずれにせよ、まもなくホルムズ海峡を『開放』し、『安全で自由』な状態にする」と強い姿勢を示した。
こうした中、日本の対応を巡る議論も国会で始まっていた。3月13日の衆院予算委員会では、中道改革連合の長妻昭衆院議員が、高市総理に対し、主要7カ国(G7)がホルムズ海峡での船舶護衛を検討しているとの報道を踏まえ、日本の対応をただした。長妻氏は「日本として国際法上、違法か違法でないかを確認しないと、こうしたことには協力できないのではないか」と質問した。これに対し、高市総理は「自衛隊を派遣するとか、そういったことについては何ら決まっておりません」と述べ、現段階で具体的な派遣方針は決定していないとの認識を示した。また、茂木外務大臣は同日の答弁で、米国の軍事行動の法的根拠について言及し、「アメリカは今回の事態について『国連憲章51条に従って対応している』と述べている」と答弁した。これに関連して高市総理は、「米国の立場や姿勢は明らかになっていない」としたうえで、「国連安全保障理事会の緊急会合における米国の立場も含め、現段階で法的評価を行うことは差し控えている」と説明。「G7各国も国際法上の評価を明確に示すことは避けている国が多いと理解している」と述べた。国連憲章第51条は、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を認めると定めている。さらに、高市総理は前日の12日の答弁で、ホルムズ海峡での機雷除去を目的とした自衛隊の展開についても慎重な姿勢を示した。「機雷などの除去のために事前準備として、自衛隊のアセット(艦船や装備)を近傍に展開することは想定できない」と述べた。
米国とイランの軍事的緊張が中東のエネルギー輸送網と世界市場を揺るがす中、各国政府は石油備蓄の放出や価格抑制策など緊急対応を余儀なくされている。3月13日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場で、WTIは1バレル=98.71ドルで取引を終えた。国際エネルギー機関(IEA)は3月11日、加盟32カ国が協調して過去最大規模となる4億バレルの石油備蓄を放出すると発表した。ホルムズ海峡を通過する石油輸送量の約20日分に相当する。米政府も同日、戦略石油備蓄から1億7200万バレルを放出すると発表。さらに、米財務省は12日、ウクライナ侵攻を理由に科していた対ロシア制裁を一時的に緩和し、タンカーに積載済みのロシア産原油や石油製品について30日間の販売を認めると発表した。
一方、日本でも燃料価格の急騰が続いている。政府は燃料補助向け基金2800億円を活用し、レギュラーガソリン価格が1リットル170円を超える部分を補助する制度を導入。19日の出荷分から適用する。加えて政府は、16日にも国家備蓄と民間備蓄を放出する方針を決めた。民間備蓄は約15日分、国家備蓄は約1カ月分とされる。しかし、対策の持続性には疑問も残る。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏の試算によると、ガソリン価格を170円に抑えるには、政府は1日あたり約40億8000万円の補助が必要とされる。2800億円の基金では約68日分にとどまり、原油価格が高止まりすれば、予算の枯渇はさらに早まる可能性がある。
ペルシャ湾やホルムズ海峡では今月に入り、複数の商船やタンカーへの攻撃が相次いでいる。米CNNによると、11日夜にはマルタ船籍とマーシャル諸島船籍の石油タンカー2隻がミサイル攻撃を受け炎上し、少なくとも1人が死亡した。時事通信によると、同日午前には、ホルムズ海峡を通過中のタイ船籍の貨物船が攻撃を受け、3人が行方不明となった。日本の海運大手「商船三井」も11日未明、同海峡周辺で同社コンテナ船が攻撃を受けたと発表している。さらにCNNは、イランが海峡周辺に機雷の敷設を開始した可能性を報じた。イラン革命防衛隊海軍のタンシリ司令官は13日、「ホルムズ海峡を閉鎖する戦略を維持する」と述べ、侵略者への強硬対応を警告した。米国とイランの軍事的緊張が一段と高まる中、トランプ大統領は3月13日、イラン南西部のカーグ島に対し米軍が大規模な爆撃を実施したと発表した。トランプ大統領は、「軍事目標はすべて破壊された」と述べ、作戦の成功を強調した。カーグ島はペルシャ湾に浮かぶイラン最大級の石油輸出の拠点で、同国の原油輸出の約90%を担うとされる。一方、イラン政府は3月7日、ホルムズ海峡近くのゲシュム島にある淡水化プラントが破壊されたと発表した。
こうした事態を受け、海運業界からはタンカー護衛を求める声が高まっているが、米政府の対応は揺れている。ヘグセス国防長官は13日、機雷敷設について「明確な証拠は得られていない」と述べた上で、米海軍が攻撃リスクを理由に護衛要請を拒否したケースがあると報じられている。一方、トランプ大統領は13日、米海軍によるタンカー護衛について「間もなく実施される」と表明。ベッセント財務長官は12日、「軍事的に可能となり次第、米海軍は有志国とともに護衛するだろう」と述べ、海上輸送の安全確保に乗り出す方針を示した。ただ、大統領自身の発言は一貫していない。トランプ氏はこれまでSNSで「機雷を敷設すれば前例のない規模の攻撃を行う」と警告する一方、「機雷はないと思う」とも発言するなど、強硬姿勢と慎重姿勢の間で揺れている。こうした状況の中、トランプ政権にとって最大の政治リスクとなりつつあるのがガソリン価格の急騰。米自動車協会(AAA)によると、全米の平均ガソリン価格は2月27日の1ガロン2.982ドル(約474円)から、3月13日には3.630ドル(約577円)へ上昇。わずか2週間で約22%の値上がりとなり、エネルギー価格の高騰が家計を直撃している。トランプ大統領は12日、自身のSNSで「米国は世界で断トツの産油国。原油価格が上がれば、儲かる」と強調した。
中東で続く米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦を巡り、戦争の終結シナリオが見えない状況が続いている。焦点となっているのは、イランの新たな最高指導者の存在だ。死亡した最高指導者ハメネイ師の後継として、次男のモジタバ・ハメネイ師が選出された。モジタバ師は革命防衛隊との結びつきが強いことで知られている。イスラエルも警戒を強めている。ネタニヤフ首相は12日、「テロ組織の指導者に保険をかけるつもりはない」と述べ、モジタバ師を含むイラン指導部への強硬姿勢を鮮明にした。米国務省はすでにモジタバ師に関する情報提供に1000万ドル(約16億円)の報奨金を提示している。これに対しイランのペゼシュキアン大統領は11日、SNSで「イスラエルと米国が始めたこの戦争を終わらせる唯一の方法は、イランの正当な権利を認め、賠償金を支払い、侵略が再発しない国際的保証を与えることだ」と主張した。英紙「ガーディアン」は10日、イランのアラグチ外相が「トランプ大統領が一方的に勝利を宣言しても戦争を終わらせることはできない」と述べたことを伝えた。米シンクタンクの「外交問題評議会(CFR)」のリチャード・ハース名誉会長は13日のCNNで、「イランは米国やその同盟国よりも長期戦に耐えられると判断している」と指摘した。軍事力では劣るものの、海上交通の攪乱や地域のエネルギー施設への攻撃などを通じ、戦争のコストを引き上げる戦略を取っている可能性があるという。
中東情勢の緊張が高まる中、日本政府は近く予定される日米首脳会談を前に、防衛政策の在り方を巡る議論に直面している。英ロイター通信によると、高市総理は3月9日、防衛費について「現時点で米側から防衛費のGDP比について具体的な数字の提案があったということは一切ない」と述べ、米国から直接的な増額要求は受けていないとの認識を示した。トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、GDP比5%の防衛費を求める考えを示しており、日本への要求が強まる可能性も指摘されている。仮に、防衛費をGDP比5%まで引き上げた場合、財政規模は大きく変わる。衆院予算委員会で12日、財務省主計局長は「機械的な計算」と前置きした上で、GDP比3.5%の場合は約24.2兆円、GDP比5%なら約34.6兆円になるとの試算を示した。現在の2026年度防衛予算は約9.4兆円であり、GDP比5%の水準となれば、規模は現在の3倍以上に膨らむ計算になる。
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【安全保障と地域の安心】沖縄・大分をルポ“広がる住民の不安” 防衛政策の転換点は
東シナ海に浮かぶ沖縄県与那国島。日本の最西端に位置するこの島は、晴れた日には海の向こうに台湾の景色が望める。台湾まで約111キロ、沖縄本島からは約500キロ。いま、この「国境の島」は、日本の防衛政策の転換点を象徴する場所となりつつある。昨年11月、就任から間もない小泉進次郎防衛大臣が与那国島を訪れた。小泉氏は、「防衛大臣に就任して1カ月。できる限り早い段階で与那国に参りたいと思っていた」と語った。政府は、中国の軍事的台頭を念頭に、南西諸島の防衛体制を強化する「南西シフト」を進めている。その一環として、防衛省は2030年度を目標に、与那国島へ中距離地対空ミサイル部隊を配備する計画を進めている。
これまで島に配置されていたのは、主に監視を担う部隊だった。ミサイル部隊が配備されれば、飛来するミサイルや航空機への対処拠点として、島の役割は大きく変わることになる。今年3月、島では住民説明会が開かれた。「配備を急ぐべきだ」という賛成意見が出る一方、島が攻撃対象となる可能性への不安を口にする住民も少なくない。住民の請舛姫代さん(71)は、政府の説明姿勢に疑問を呈する。「政府は『丁寧に説明する』と言う言葉というか、納得するまで押し付けるという風にしか聞こえない」。
10年前、財政難と人口減少に悩んでいた島は、地域活性化を期待して自衛隊の誘致を選択した。人口は一時1500人を割り込んだが、現在は1700人近くまで回復。その約2割を自衛隊員と家族が占める。島民の泊利明さん(61)は「自衛隊がいないと運動会も成り立たない。村の行事もみんな頼っている。良いことじゃないか」と語る。ミサイル部隊配備に伴い、さらに100人程度の隊員が増える見込み。しかし、自衛隊員の増加が島の持続的な発展につながるのか疑問視する声もある。おきなわ住民自治研究所の山田和幸さん(73)はこう指摘する。「自衛隊員は防衛のため訓練をやっているわけ。電気、運送など地域を支える人が減っている」。
南西諸島の防衛強化は、与那国だけにとどまらない。熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地では3月9日、長射程ミサイルの搬入が始まった。国内で長射程ミサイルが配備されるのは初めてとされる。さらに静岡県の富士駐屯地でも3月31日に、同様のミサイル配備が予定されている。一方、温泉地として知られる大分県由布市の湯布院でも、防衛政策の変化が地域社会に影響を及ぼしている。
由布岳の山麓に広がる大分県由布市の湯布院温泉。その中心部に近い場所に陸上自衛隊湯布院駐屯地がある。古書店を営む鯨津憲司さんは、温泉街の隣でミサイル部隊が拡充されていく現状をこう語る。「駐屯地の正門から900メートルほど先が由布院駅。その間には旅館や商店、民家が並ぶ。まさに温泉街の中心的な場所」。湯布院駐屯地は、「敵基地攻撃能力を担う長射程ミサイルを運用することを想定している」とも報じられている。住民は防衛省に説明会開催を求めている。
同様の懸念は、大分市の大分分屯地でも広がっている。政府は2032年度までに、継戦能力の強化を目的として、全国で火薬庫130棟の増設を計画しているが、その一つが大分分屯地。建設予定地の周辺には住宅地が広がり、近くには保育所や小学校、病院もある。元自治会長の宮成昭裕さんは不安を隠さない。「そのアパートの左隅をずっと上がったところが保育所になりまして、それから直線でまっすぐが火薬庫だと」。近隣住民は反対運動を続け、チラシ配布などを通じて問題を訴えている。駄菓子店を営む三浦博子さんは語る。「やっぱり大きな火薬庫があるところを一番に狙うと思うので怖いです」「どうしてこんな街の中に、住宅地にね」。防衛力強化の最前線となる地域では、住民の暮らしと不安が交錯している。国家の安全保障と地域社会の安心をどう両立させるのか。日本の防衛政策は、いま新たな問いを突きつけられている。
政府は遠距離から敵戦力を無力化する「スタンド・オフ防衛能力」の強化を進めている。防衛省は3月31日を予定として、熊本県の陸上自衛隊健軍駐屯地に改良型の12式地対艦ミサイルを配備する。また同日には、静岡県の富士駐屯地には長距離攻撃能力を持つ「島しょ防衛用高速滑空弾」が配備される計画となっている。こうした装備配備を巡っては、地元住民から不安の声も上がっている。これについて、内倉浩昭統合幕僚長は13日、「ご指摘のようなことよりも、抑止力や対処力を高める効果の方が大きい」と述べた上で、「引き続き、丁寧に地域の方々に説明していきたい」と理解を求めた。小泉防衛大臣は13日、「スタンド・オフ防衛能力整備の一環として、米国製巡航ミサイル『トマホーク』の海上自衛隊への納入が開始された」と明らかにしたうえで、「わが国への武力攻撃を抑止することにつながる」と述べ、導入の意義を強調した。
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【イラン軍が壊滅的打撃】治安機構を重点攻撃“民衆蜂起を狙う”中東戦火が海運直撃
米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃は、開始から9日目を迎え、イラン軍の戦力に壊滅的な打撃を与えつつあるとの見方が広がっている。トランプ米大統領は3月6日、今回の軍事行動「壮絶な怒り作戦」が順調に進んでいると強調し、「イランの陸軍は消え、海軍も消え、通信手段も消滅し、指導者も消えた」と述べた。米国とイスラエルは、イランの軍事インフラを短期間で徹底的に破壊する作戦を展開しており、米中央軍によると、開戦から1週間足らずでイラン国内の軍事拠点など約3000カ所を攻撃したという。カタールの衛星放送「アルジャジーラ」は6日、イラン国内の死者は1332人と報じた。イスラエル軍のザミール参謀総長も同日、空軍が6000発以上の弾薬を用いて2500回に及ぶ攻撃を実施し、イランの防空システムの約80%を破壊したと発表。イラン上空の制空権を確保したとされている。米軍はB52、B2、B1などの戦略爆撃機を投入し、ミサイル基地などへの攻撃を継続している。米戦争研究所(ISW)が3日から4日にかけての衛星写真を分析した結果、イスファハン南部のミサイル基地を含む5か所以上の基地が攻撃されたとみられる。
攻撃はイラン革命防衛隊にも及んでいる。戦争研究所の分析によると、米軍とイスラエル軍は5日、革命防衛隊のサラッラー本部の主要基地2か所を攻撃したほか、南西部では革命防衛隊地上軍の特殊部隊や即応部隊への攻撃を継続している。海上戦力への打撃も拡大している。米中央軍は、これまでに20隻以上のイラン艦船を攻撃または撃沈したと発表した。クーパー司令官は「アラビア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾にはイラン艦船が1隻も航行していない」と述べ、イラン海軍の活動がほぼ停止しているとの認識を示した。また、米海軍の潜水艦がスリランカ南岸沖でイランのフリゲート艦を魚雷で撃沈した。こうした状況について、ヘグセス米国防長官は5日、「我々はまだ戦い始めたばかりだ」と述べ、今後さらに軍事行動を強化する考えを示した。戦闘機部隊や基地の増強を進めるとともに、イラン本土、とりわけ首都テヘランへの爆撃が大幅に拡大する可能性があるとした。
一方、民間人被害については、2月28日、イラン南部ミナーブの女子学校が攻撃を受け、生徒約150人が死亡したと国連のイラン大使が明らかにした。6日のロイター通信によると、米国当局者は、米軍が関与した可能性が高いとの見方を示しているが、調査は完了していない。ホワイトハウスのレビット報道官は、国防総省が調査を進めているとしたうえで、「民間人や子どもを標的にするのはイラン側であり、米国ではない」と関与を否定した。
今後の焦点の一つとなるのが、米軍の地上部隊投入の可能性。トランプ大統領は3月2日、ニューヨーク・ポストの取材に対し、「すべての大統領は『地上部隊は投入しない』と言うが、私はそうは言わない」と述べ、投入の可能性を排除しない姿勢を示した。一方で5日にはNBCテレビのインタビューで、現時点で地上部隊派遣を検討するのは「時間の無駄だ」とも発言しており、政権内でも方針は定まっていないとみられる。米メディアは、大規模な地上侵攻ではなく、特定任務を担う小規模部隊の派遣が検討されている可能性を報じている。これに対し、イランのアラグチ外相は「イランは米軍を待っている。(地上侵攻すれば)米軍にとって大惨事になる」と警告し、強く反発した。
トランプ大統領は今回の軍事行動の最終目標についても強硬な姿勢を示している。トランプ大統領は3月6日、自身のSNSで「無条件降伏以外に合意はない」と投稿し、イランに全面的な屈服を求めた。ホワイトハウスのレビット報道官は6日、「大統領が目標が達成されたと判断した時点で無条件降伏が成立する」と説明している。さらに、トランプ氏は3日、イラン体制の後継者問題にも言及し、「我々が想定していた人物は全員死亡した。次点も三番手も消えた」と述べた。5日には、イランの将来を導く人物を選ぶプロセスに関与したいとの考えを示した。また、6日には、「イランの指導者は必ずしも民主的である必要はない。宗教指導者であっても構わない」と発言した。
イランの後継者候補としては、死亡した最高指導者ハメネイ師の次男で革命防衛隊と関係が深いとされるモジタバ・ハメネイ師のほか、モホセニエジェイ司法府代表や、護憲評議会が選出したイスラム法学者アラフィ師などの名前が取り沙汰されている。ホワイトハウスのレビット報道官は、モジタバ師について米情報機関が動向を注視していることを明らかにした。また、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は4日、イスラエル軍が革命防衛隊や警察の特殊部隊など、国内の治安維持機構を重点的に攻撃していると報じた。準軍事組織バシジの本部や警察司令部の特殊部隊本部などが標的となっており、体制の統治基盤を揺るがすことで民衆蜂起を促す狙いがあるとの見方も出ている。
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、中東の海上交通にも深刻な影響が広がり始めている。世界有数の原油輸送ルートであるホルムズ海峡では、船舶の航行が大きく制限され、海運・保険市場にも緊張が走っている。攻撃前となる2月27日時点では、ホルムズ海峡は、通常の航行が可能だったものの、3月6日の時点では海峡を通過できない船舶が相次いでいる。海運関係者の間では、イラン革命防衛隊が海域を事実上封鎖した可能性が指摘されており、タンカーを含む商船の航行が大きく滞っているという。こうした事態を受け、米国政府はホルムズ海峡を通過するタンカーの護衛を「必要な場合、可能な限り早期に開始する」方針を示した。さらに、湾岸地域を通過する海上貿易について、政治リスク保険や保証を「極めて合理的な価格」で提供するよう関係機関に命じたとされる。
しかし、実際の運用には課題も多い。ノルウェーの海上保険組合「Skuld(スクルド)」によると、すでに戦争リスク保険料は従来の約12倍に急騰し、航行1回あたり数百万ドル規模の保険料が見積もられるケースもあるという。トランプ大統領が示した「必要な場合」という条件も曖昧で、具体的にどのような事態で保険が適用されるのか、また適正価格の基準や保険の適用範囲など制度設計には精査が必要とされている。湾岸の海上輸送が戦闘の影響を受けるのは今回が初めてではない。1980年代のイラン・イラク戦争では、いわゆる「タンカー戦争」が発生し、ペルシャ湾を航行するタンカーが双方の攻撃対象となった。当時は約400~500隻の船舶が被害を受け、少なくとも50隻が撃沈されたとされている。一方、軍事的緊張は周辺地域にも波及している。イランによる反撃とみられる動きは周辺各国に広がり、トルコ、アゼルバイジャン、イラク、サウジアラビア、オマーン、クウェート、ヨルダン、バーレーン、カタールなど、少なくとも11か国に影響が及んでいるとされる。各国政府はイランを念頭に自制を求める一方、軍事対応の可能性についても検討を始めている。
★ゲスト:今村卓(丸紅経済研究所社長)、田中浩一郎(慶応義塾大学大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授)
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【イラン攻撃の決定経緯に批判】米軍支援要請備え“対応を検討”原油急騰で生活懸念
米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をめぐり、米国内では作戦決定の経緯やその正当性をめぐる議論が広がっている。ルビオ米国務長官は3月2日、イラン攻撃について「我々はイスラエルが行動を起こすことを知っていた。それが米軍への攻撃を招くことも理解していた。先制的に攻撃しなければ、より多くの犠牲者が出ることも分かっていた」と述べ、米国がイスラエルの動きを前提に軍事行動に踏み切ったとの認識を示した。発言は、米国がイスラエルの軍事判断を踏まえて先制攻撃を決断したと受け取られかねない内容で、国内のMAGA(トランプ氏支持層)派からも批判の声が上がっている。オンライン活動家のマイク・サーノビッチ氏は、ルビオ氏の発言について「多くの人が推測していたことが事実だと明らかになった」と述べ、米国がイスラエルの動きに引き込まれた形で戦争に関与した可能性を指摘した。保守系論客のマット・ウォルシュ氏も「ルビオ氏は、イスラエルに追い込まれてイランとの戦争に入ったと認めたに等しい」と批判し、いわゆる「MAGA(トランプ支持層)」の間でも疑問の声が広がっている。
こうした中、今回の軍事行動が決定されるまでの経緯について、米メディアが報じた。3月2日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、トランプ大統領が戦争を決断するに至った背景として、2月11日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談に焦点を当てた。ネタニヤフ首相は「トランプ大統領を戦争への道に導く決意を固めて大統領執務室に入った」とされ、約3時間に及ぶ会談では、軍事行動の可能性や攻撃の時期、さらにはトランプ政権がイランと核問題で合意する可能性などが議論されたという。同紙はまた、ネタニヤフ首相が数か月にわたり、弱体化したイラン政権への攻撃の必要性をトランプ大統領に訴えてきたと指摘している。とりわけ、昨年12月の会談では、ネタニヤフ首相が「今後数か月以内にイスラエルがイランのミサイル基地を攻撃する計画について、トランプ大統領の承認を求めた」と報じている。同紙は、「その約2か月後、ネタニヤフ首相は「イラン指導部を打倒する戦争における完全なパートナー」を得た」と記している。
今回のイラン攻撃をめぐっては、米国とイスラエルの間で世論の温度差も顕著となっている。米CNNが実施した世論調査によると、米国ではイラン攻撃に「反対」が59%、「賛成」が41%だった。特に「強く反対」が31%に上り、「強く賛成」の16%を大きく上回っている。一方、イスラエルの世論調査では、イランへの攻撃に「賛成」が約8割を占め、そのうち「強く賛成」は6割に達するなど、両国の世論は対照的な結果となっている。日本政府も対応に慎重な姿勢を見せている。高市総理は3月2日、衆院予算委員会で米国とイスラエルによるイラン攻撃について「我が国として法的評価は差し控える」と答弁した。一方で5日には、ドイツのメルツ首相との電話会談で、イランによる反撃がエネルギー施設や外交施設など民間施設に及び、民間人の死者も出ているとして、その行動を非難した。
一方、中東情勢の緊迫化に伴い、エネルギー市場への影響も顕在化している。海運大手の日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社は、イラン攻撃の翌日となる3月1日、ホルムズ海峡の航行を停止したと発表した。中東情勢の悪化を受け、船舶を安全な海域で待機させるなどの措置を取っているという。日本の石油備蓄は、国家備蓄と民間備蓄を合わせて約254日分とされるが、原油価格は急速に上昇している。中東原油の指標となるドバイ原油の取引価格は6日、1バレルあたり99.14ドル。米国によるイラン攻撃前は約68ドルで推移していたことから、短期間で大幅な上昇となった。航空燃料の価格も急騰している。アジアの燃料取引拠点であるシンガポールのジェット燃料価格は4日、72%以上上昇し、1バレル225.44ドルと過去最高値を記録した。航空会社が徴収する燃料サーチャージの引き上げにつながる可能性も指摘されている。
原油高が日本経済に与える影響について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは複数のシナリオを試算している。軍事衝突が比較的限定的にとどまる「楽観シナリオ」では、原油価格は14.9%上昇し、日本のガソリン価格は1リットルあたり181円程度になると見込む。原油輸送の混乱が長期化する「メインシナリオ」では、原油価格は29.9%上昇し、ガソリン価格は204円程度まで上昇する可能性がある。さらに、中東全域に軍事衝突が拡大する「悲観シナリオ」では、原油価格は109%上昇し、ガソリン価格は1リットルあたり328円に達する可能性があるとしている。木内氏はまた、原油価格の上昇が電気料金を約6%押し上げ、ガス料金は2~3割程度上昇する可能性があると試算している。食料品にも波及し、卵1パックの価格が10~20円程度上昇する可能性があると指摘している。
★ゲスト:今村卓(丸紅経済研究所社長)、田中浩一郎(慶応義塾大学大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授)
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【光通信と次世代半導体】IOWNが変える“遠隔医療の未来”2026ニッポンの逆襲は?
2025年12月、東京ビッグサイトで開かれた世界最大級の半導体国際展示会。北海道で次世代半導体の量産を目指す「ラピダス」をはじめ、国内外の有力企業が一堂に会する中、ひときわ人だかりを集めるブースがあった。NTTが開発を進める次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」。現在の通信ネットワークは、光で送られた信号を途中で電気に変換しながら処理する仕組みが主流となる。一方、IOWNは光を電気に変換することなく、光だけで通信と処理を完結させる。この技術により、通信遅延は従来の約200分の1にまで短縮され、データ容量は125倍に拡大。さらに消費電力は100分の1に抑えられることが可能となる。膨大なデータ処理が不可欠となる次の時代のインフラとして、世界が強い関心を寄せている。
IOWNがもたらす変革の一つが医療分野。遠隔医療やリハビリへの応用が現実味を帯びる。東京と福岡をIOWNで接続し、トレーナーの動きを遠隔地に伝える装置を用いたリハビリの実証では、福岡側の担当者が腕を動かすと、東京にいる体験者の腕が、まるで隣で直接サポートを受けているかのように自然に動かされた。低遅延・大容量という特性が、距離の壁を限りなく小さくしている。NTTの担当者は「遠隔地からでもリハビリやサポートが可能になれば、地方の過疎化問題の解決や、移動時間の削減によって新たな労働力の創出にもつながる」と語る。人口減少と過疎化が進む日本にとって、医療インフラの在り方を根底から変え、社会的課題の解決に寄与する可能性を秘めている。
もう一つ、IOWNが持つ大きな強みが「省電力」。生成AIの急速な普及により、世界的に深刻化しているのが電力不足の問題。国の試算では、デジタル化の拡大によって、2050年には日本国内のデータセンターだけで約1万2000テラワット時もの電力が必要となり、現在の総発電量の12倍に達するとされる。消費電力を100分の1に抑えるというIOWNの構想には、インテルやソニーなど、世界を代表する約180社が参画している。NTT・IOWN推進室の荒金陽助室長は、「世界でモノを売り、サービスを展開することが前提。NTTグループ単独で完結するとは考えていない。グローバルな企業と連携しながらも、その中で日本企業が重要なポジションを担うことを実現したい」と語る。
一方、通信と並び次世代技術のもう一つの柱となるのが半導体。仙台市に本部を置く東北大学では、消費電力を劇的に抑える次世代半導体の研究が進んでいる。カギとなるのは「スピントロニクス半導体」。電子が持つ「電気」と「磁石」という二つの性質を活用する新しい技術。研究を率いる同大国際集積エレクトロニクス研究開発センター長の遠藤哲郎教授は、「スピントロニクス半導体が社会のあらゆる場面に導入されれば、スマートフォンは一度の充電で2~3週間使えるようになる」と語る。従来のシリコン半導体では、AI処理時に約2000ミリワットの電力を消費し続けるのに対し、スピントロニクス半導体を用いたAI処理では、ピーク時でも40ミリワットに抑えられる。消費電力は実に50分の1。さらに、この半導体は電源を切ってもデータを保持できるという特性を持つ。
遠藤教授がこの研究に情熱を注ぐ背景には、東日本大震災の経験がある。「家族や学生の安否を確認したくても電話がつながらず、かけるたびにバッテリーが減っていく。災害時に、通信機器がいかに脆弱かを痛感した。性能を向上させるだけでなく、少ない電力で本当に役に立つ技術が必要だと強く思った」。かつて、電機大手「東芝」で半導体開発の最前線で従事した経験があり、日本の盛衰を見つめてきた遠藤教授は、半導体技術の向上を踏まえた日本の進むべき道をこう指摘する。「半導体を持たざる国は、経済安全保障を守れない。基礎研究から、企業が世界で勝ち抜く段階まで、国が支援することが大事」。光でつながる通信、磁石で記憶する半導体。エネルギー制約という世界共通の課題を前に、日本発の技術が挑もうとしている。2026年、日本の逆襲は静かに、確実に加速しつつある。
★ゲスト:永濱利廣(第一生命経済研究所)、ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)
★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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【中国に対峙する台湾・金門島】戦跡が物語る“砲撃の記憶”防衛拠点の現実と島民生活
中国福建省の廈門(アモイ)から約5キロの距離に位置する台湾・金門島。人口は約14万人、面積は150平方キロメートルの小さな島で、基幹産業の観光と漁業で発展を遂げてきた。金門島は長年、中国との緊張関係の中で、重要な軍事拠点として機能してきた。最盛期には、約14万人が駐留していたとされる軍隊は、約3000人まで縮小されたが、現在も、島の重要な防衛を担っている。
かつては、砲撃戦が繰り広げられた歴史がある。金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となった。古寧頭戦役では、中国・人民解放軍が金門島に上陸し、蒋介石が率いる国民党軍と激しい戦闘を繰り広げた。この戦いで、国民党軍が防衛の成功を収めた。金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込んだ。島内には、防空壕、砲弾の残骸などの軍事遺構が数多く残されており、戦争の記憶を今に伝えている。
★ナレーター:佐分千恵
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【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定
「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。
事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。
加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。
加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。
加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆
2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。
加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
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【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆
遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
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【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
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【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
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【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
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