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#151

デビュー作を自ら改修 20代の履歴を残した東十条の家

今回訪ねたのは、東京都北区東十条にある、建築家・佐竹永太郎さんの事務所を兼ねた住まい。佐竹さんが20年前に設計した5階建てビルを自ら買い受け、元々のデザインを生かしながらも、家族3人が快適に暮らせるためにグレードアップさせた空間です。
佐竹さんが代表を務める「STAR」は、住宅・カフェ・リゾートホテル・寺院など、新築からリノベーションまで幅広く手掛ける設計事務所。実はこの建物は、佐竹さんが28歳の時、独立後初めて設計した作品。大きな吹き抜けと螺旋階段があり、それを独特な形状の天井と壁が囲み、そして贅沢な材料が使われた個性的なデザインでした。それをオーナーの引っ越しを機に購入。4・5階部分を住居とし、かつての趣を残しながら新たに自分たちのテイストにリモデルしたのです。
アンティークを随所に施した住まいの玄関は、明治時代の蔵戸。以前佐竹さんが事務所として借りていた1階はラウンジに変更しました。お客様を迎えるこの場所の正面を飾るのは、旧家の能舞台の襖。松が描かれている表はそのままに、襖の裏側には新たに螺鈿(らでん:貝殻の内側にある真珠の部分をはめ込む装飾技法)を施しました。土間には大谷石を敷き詰め、素敵な空間に仕上げました。
住居部分で大胆にリモデルしたのがキッチン。元々は壁向きでしたが、作業や配膳スペースを広く取れるようL字型に。また、その壁材には印象的な御影石を選びました。キッチンで準備をしながら家族やゲストと会話ができるようになったそうです。間取りは家族の暮らしに合わせて一部変えましたが既存の設計を極力生かし、その痕跡もあえて残しています。この家の誕生から長年関わってきた佐竹さんならではのリモデルでした。

設計担当:STAR

(https://starchitects.info)

【平面図】

4F before

4F after

5F after