番組表

最新記事

とある偶然から生まれた特別企画 「戦下の孤児サヘル・ローズが辿る戦後81年の苦悩」

偶然から生まれた特別企画を8月9日の「日曜スクープ」で放送します。

 

「私はイラン・イラク戦争の時に戦争孤児になりました。本当の名前も誕生日も知りません。…戦争は決して起きてはいけない」などと力強くスピーチしたのは俳優・タレントのサヘル・ローズさん。4月11日、有名俳優や映画監督が顔をそろえた全国映連賞贈呈式のことでした。

 

 

サヘルさんは「花束」という日本の児童養護施設で育った若者たちを描いた映画の監督をしていて受賞しました。同じく受賞したテレビ朝日制作の映画「黒川の女たち」の松原文枝監督は、満蒙開拓平和記念館の上映イベントで参加できなかったため、代理として出席していたのがプロデューサーの私でした。その時、「日曜スクープ」を例に「今はイラン攻撃など戦争の被害ばかりを伝えている」とスピーチをして、直後に続いたのがサヘルさんだったのです。
その力強いスピーチを聞き、「日曜スクープ」で昨今のイラン情勢と、イラン出身のサヘルさんの想いを重ね合わせた放送ができないかと思ったのが今回の特別企画の始まりです。

 

「写真 満蒙開拓平和記念館」

 

特別企画を放送するのは8月9日の日曜日です。
映画「黒川の女たち」は戦時下、満洲へ渡った黒川開拓団の女性たちに強いられた「性接待」という名の性暴力の実態と、その後の苦難・尊厳の回復を描いたドキュメンタリーです。去年夏の上映イベントで黒川開拓団関係者が発した「8月9日が苦難の始まり」という言葉は私の耳に残っていました。

 

8月9日は1945年にソ連軍が日ソ中立条約を無視して対日参戦を開始した日であり、中国残留孤児の悲劇を生む象徴的な日です。元黒川開拓団の方々が中国残留孤児の支援をしてきたことも手記を通じて知っていました。
「日曜スクープ」の企画会議で、4つのキーワード『8月9日』『中国残留孤児』『戦下の孤児サヘルさん』『イラン』が結びつきました。

 

81年前に始まった悲劇を、イラン・イラク戦争の混乱の中、孤児となったサヘル・ローズさんが自らの経験を重ねながら辿るとどんな言葉が生まれるだろう…
イランやウクライナなど世界各地で争いが絶えない今だからこそ、戦争が生んだ悲劇を語り継ぐ役割をお願いしたいとお伝えしたところ、サヘルさんが快諾してくれたのです。

 

 

実際の取材ロケは7月中旬に始まりました。サヘルさんは精力的に取材に取り組み、満蒙開拓平和記念館の寺沢秀文館長や元残留孤児の方々が丁寧に応じてくれました。

 

 

7月下旬、取材ロケはほぼ終えましたが、4つのキーワードを結び付けた構成は非常に複雑で、現在ディレクターがVTR編集に懸命に取り組んでいます。
そして、今回の特別企画では、VTRのナレーションを無名塾の俳優にお願いしました。個人的には「中国残留孤児」の物語として強く印象に残っているのはNHKのドラマ「大地の子」です。仲代達矢さんが残留孤児となった我が子を探すシーンを思い出すと今でも涙がこぼれそうです。そんな仲代達矢さんを師とする無名塾の中山研さん(「大地の子」にも出演)は私の古い友人で、今回のオファーを引き受けてくれました。
VTRの仕上げは8月9日の放送当日まで続き、内容はまだ確定していません。生放送でサヘルさんにもスタジオ出演していただきます。

 

サヘル・ローズさんは、放送を前に次のようなコメントを寄せてくれました。
―――――――――――――――――――――――――――

 

戦争は、「ひと」を二度傷つける。
一度は、戦火によって。
そしてその痛みや記憶が「忘れ去られる」ことによって。
戦争は、終戦の日に終わってはいない。
語られることなく、歴史の陰に置き去りにされた人々がいる。
中国残留孤児の皆さんが生き抜いてきた現実もまた、
終戦によって終わったわけではありませんでした。
故郷を離れ、生きるために選択を重ね、帰国後もなお、
言葉にできない苦難と向き合い続けてきた方々がいます。
その声に耳を傾け、未来へ手渡したいと思います。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

いろいろな想いを背景に、偶然もあって生まれた特別企画です。
折しもこの夏、アメリカとイランの戦争は攻撃の応酬が続き、民間人の死傷者も出ています。81年前と現在…時を超え、場所を超え、悲劇が繰り返されています。
8月9日(日)午後7時。ぜひ、ご覧ください。

 

▼番組ホームページ
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/
 
 

「日曜スクープ」プロデューサー 江口 英明

 
 

番組:日曜スクープ
番組サイトはこちら