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#591

保坂啓一 株式会社amidex 歯科医師

 

歯を治すために、健康な歯まで削る――。そんな歯科治療の課題に挑んでいるのが、徳島大学大学院教授・歯科医師の保坂啓一だ。
 
保坂が考案したのは、理想の歯をあらかじめ設計し、その形を口の中で再現する「透明な型枠」。歯と同じ色の材料を流し込み、光で固めると、わずか5分で設計通りの歯が現れる。これまで歯科医師の技術に左右されていた仕上がりを、より正確に再現できるのも大きな特徴だ。
 
だが、本当の鍵は型枠ではない。支えているのは、保坂が20年以上追究してきた「歯の接着」。わずかな面積でも「1トンをかけないと壊れない」という強さが、健康な歯をできるだけ削らない治療につながっている。
 
病気で失った歯を、両脇の犬歯への接着だけでよみがえらせた患者も。現在、この治療法は全国500以上の歯科医院へ。
 
「健康な歯を残す治療を、特別ではなく当たり前に」
 
歯科治療の未来を変えようとする、保坂の挑戦に迫る。

ほさか けいいち

 
徳島大学大学院医歯薬学研究部 教授。歯学博士。東京医科歯科大学、米国ジョージア医科大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などで研究に従事。2021年より現職。20年以上にわたり「歯の接着」を研究。健康な歯をできるだけ削らずに残すことを目指し、デジタル技術と透明な型枠を活用した白いつめものの接着治療を開発。
高度な治療の標準化と、これまで難しかった治療の高水準化を目指している。2023年、徳島大学発スタートアップ「株式会社amidex」を共同設立。現在、全国の歯科医院への普及に取り組んでいる。