放送内容

#16

帝京大学医真菌研究センター 副センター長・教授 槇村浩一

地球上には数多くのカビが存在する。その数は知られているだけでも10万種以上、未知の菌種ともなると数百万種にもおよぶといわれている。人間から見たカビには良くないイメージもあるが、実は、人間にとって必要不可欠な存在だ。動植物の死骸を分解して地球環境のメンテナンスを行い、農作物を育てる土壌を健全に保ち、パンや味噌、日本酒、さらには医薬品までも作り出しているのだ。
そんなカビの世界を探求する男がいる。帝京大学医真菌研究センター・槇村浩一教授。生きたカビの美しさに感激した槇村は、デジタル顕微鏡に向かって様々なカビの写真を撮り続け、ついにはカビのグラビア写真集を発売したほど。

しかし、人間にとって有害なカビもわずかにいる。槇村の研究対象はそうした人間の健康障害の原因となるカビだ。槇村は日々カビと向かい合い続ける中で、ある新種を発見するに至る。致死率30%を超える病原真菌『カンジダ・アウリス』だ。多くの薬剤に耐性を持ち、北米や欧州をはじめとした全世界で多くの感染・死者が報告されている恐ろしいカビを、
世界ではじめて発見。さらに、それまで限られた高価な機器を使わなければ診断をすることができなかったこのカビを、安価で1時間以内に検出することができる診断法まで開発。世界中の多くの人々の命を救うことに大きく貢献した。

そんな槇村の新たな挑戦に、番組は密着。
カビに魅せられた男の流儀とは。