放送内容

#36

鯉のぼり職人 金田鈴美

「屋根より 高い 鯉のぼり」
日本人なら誰もが聞いたことがあるこの1フレーズ。
男の子が誕生したら、滝さえも登ってしまう鯉のように、逞しく健やかに育って欲しいとの願いを込めて、端午の節句の前後に鯉のぼりをあげるのが日本の習わし。
 
その鯉のぼりを作る職人の中に、近年失われていた伝統手法を復活させた1人の女性がいる。それが、江戸手描き鯉のぼり職人・金田鈴美、30歳。
金田は2019年、一度は途絶えた「江戸手描き」の手法を用いた鯉のぼりを
35年ぶりに復活させた。
鯉のぼりは線1本1本が手描きの「手描き染め」よりも、より色がはっきりして、大量生産が可能な「型染め」が現代の主流。そのため江戸手描き鯉のぼり職人は、初代川尻金龍で途絶えてしまった。
金田が手書き染めを志した当初は、初代が亡くなっており、作品はおろか染料の配合などの資料も手元に残っておらず、初代の制作した残骸の布や失敗作を集め、
独学で学んだ。そんな苦労の末編み出した、独自の染料で描く鯉のぼりは唯一無二の美しさを放ち、毎年子供の日が近づくと日本中の空にはためいている。
 
日々、鯉のぼりについて探求を続ける、若き職人に密着した。