番組表

放送内容

#111

理学療法士 鷲巣豪

人生100年時代といわれる今、ある職業が改めて注目されている。病気やケガ、高齢などによって運動機能が低下した人に対し、リハビリテーションを行う国家資格、理学療法士。いわば動作の専門家だ。この理学療法の知識を生かし、介護の現場で新しい取り組みを行っている人物がいる。静岡市のデイサービスに勤務する、鷲巣豪(35)。
利用者に日帰りで食事や入浴、機能訓練などの介護サービス等を提供するデイサービス。鷲巣は、特にレクリエーションを通じたリハビリに力を入れている。
レクリエーションの内容は鷲巣のオリジナル。無理なく複雑な身体の動きを引き出すための遊びを
考え、ゲーム化する。しかも、同じゲームでは脳が活性化しないという理由から、必ず毎日新しいゲームレクリエーションを考案、さらに小道具もすべて一人で製作している。これまでに作った数はなんと1500を超える。
それらは、高齢者の喜怒哀楽をひきだせるよう工夫されている。ただ楽しいだけでなく、クリアできない悔しさなど様々な感情を揺さぶるために、難易度も緻密に計算されているのだ。利用者たちは、「今日はどんなゲームだ?」と彼のレクリエーション時間を心待ちにしているという。
 
そんな鷲巣の原点は高校時代、建築を学ぶ過程でバリアフリーについて知ったこと。誰かをサポートする格好良さに魅せられ、理学療法士の道へ進むことに。卒業後は病院に勤務したが、高齢者に長期間寄り添いサポートできる環境を求めてデイサービスへ転職した。
鷲巣オリジナルのゲームレクリエーションは、SNSでその様子を発信するや、介護・福祉・医療の現場の人たちを中心に、登録者はすぐに10万人を突破。「うちの施設でもこのゲームを取り入れたい」という声が相次いでいる。鷲巣の地道な取り組みは今、全国へと広がりつつある。
利用者に寄り添い、高齢者の身体と心を動かす若者の情熱を取材した。