番組表

放送内容

#127

ステンドグラス職人 松本一郎

色とりどりのガラスが、陽の光を浴びてきらめくステンドグラス。その美しさを生み出す工房は、今では全国で数えるほどしか残っていない。東京・清澄白河に工房を構える創業77年の松本ステインドグラス製作所は、そのひとつ。家業の技と歴史を守り続けているのが、三代目の松本一郎(53)だ。
 
松本の元には、新規制作から文化財の修復まで、幅広い依頼が舞い込む。
「100年後に見られても、恥ずかしくない仕事をしたい」
そう語る松本は、ひとつひとつの現場に足を運び、光の入り方を確かめ、依頼主の思いを汲み取り、形にしていく。
細かな気遣いと見えない工夫が重ねられる松本のステンドグラス。彼の思いが特に表れるのが強度だ。ガラスをはめ込む鉛線は、本来つなぎ目だけをはんだ付けするのが一般的だが、松本は金属疲労を防ぐため、鉛線全体を丁寧にはんだで固めていく。手間はかかるが、建物に設置するものである以上、将来も安全に残るようにとの想いがそうさせるという。
 
ステンドグラスの未来を見据え、「100年のその先」を作ろうとする職人に迫った。