番組表

放送内容

#140

能楽師 鵜澤久

継承されている演劇としては世界最古ともいわれる、日本独自の舞台芸術「能」。14世紀に大成されて以来、600年以上にわたり受け継がれてきた。その歴史のなかで、舞台に立つことを許されていたのは、長らく男性のみだった。1948年に女性能楽師が誕生すると、今では160名ほどに。その第一線に立つのが、能楽師・鵜澤久(76)だ。
 
能楽師の父の元に生まれた鵜澤は、父の背中を追い、25歳でプロの道へ進んだ。しかし待っていたのは、根強い男性社会だった。舞台に立つ機会はほとんど与えられず、雑用ばかりの日々。それでもひたすら舞台を見つめ学び続けるなかで、「同じ演目でも演じる人が違えば、印象が変わる」ことに気付く。性別を超え、自らの表現を追い求め続けた鵜澤。その努力は次第に認められ、主役であるシテを任される存在に。2018年には能楽分野における国内有数の賞「観世寿夫記念法政大学能楽賞」を受賞した。
 
鵜澤が切り拓いてきたその道はいま、次の世代へと受け継がれている。娘の光もまた能楽師として活躍し、シテとして多くの舞台に立つまでになった。さらに、35年にわたり、子ども向けの能楽鑑賞教室を開催。子どもたちに能の魅力と精神を伝え続けている。
 
喜寿を前にしてなお、芸を極めようと真摯に向き合い続ける、能楽師の日々を追った。