番組表

放送内容

#139

箱職人 笹井雅生

明治元年に大阪で創業した「箱屋常吉」。料亭の料理木箱や菓子司の菓子箱などを手掛けてきた会社だ。
5代目としてその伝統技術を引き継ぐのが笹井雅生(57)だ。
 
笹井が手がけるのは国産杉を使った木の弁当箱。木は切られても呼吸を続け、余分な水分を吸収するため、ごはんは時間が経ってもベタつかず、美味しさが保たれる。
特徴は、一枚の木を曲げてやわらかな曲線を描く“角丸”の形。初代が考案した技術を、笹井が現代に蘇らせた。素材の状態を見極め、曲がりやすさなどわずかな個体差にも対応しながら仕上げていくその工程は、職人の経験と感覚が頼りとなる。
 
笹井が大事にしているのは、木のパワーを引き出すこと。
かつては昆布や酒などの贈答用の箱が主力商品だったが、使われた後は捨てられてしまう。そこに疑問を抱いた笹井が辿り着いたのは、
“使われ続ける道具”としての弁当箱づくりだった。
「ずっと大事に、我が子のように育てて使ってもらえる箱を作りたい」
その言葉どおり、使うほどに手に馴染み、少しずつ表情を変えていく木の器を生み出し続けてきた。
 
伝統を受け継ぎながら、時代に合わせて形を変える。木という素材の可能性を信じ、新たな価値を生み出し続ける職人に密着した。