番組表

広告

スペシャルアーカイブ一覧

#207

新型コロナ「第6波」猛威 西村康稔・前担当大臣に問う今後の対策

新型コロナウイルスの「第6波」は、これまでにない感染爆発を引き起こしました。感染の主体となったオミクロン株は、重症化リスクが低いとされていたものの、感染者数の急激な増加後、死亡者数が2月27日に全国で322人に達し、過去の流行時を上回っています。2月13日の『BS朝日 日曜スクープ』は、西村康稔前担当大臣が生出演し、今後の対策のありを議論しました。

■「国によるプッシュ型と記者会見でデータ説明も」

菅原

オミクロン株は「重症化リスクが低い」とされてきましたが、新規感染者が増え続ける中、連日、150人前後の方が亡くなっています(2月13日時点)。本日のゲストを紹介します。自民党・新型コロナ対策本部長で前コロナ担当大臣、西村康稔さんです。よろしくお願いします。

西村

よろしくお願いします。

菅原

そしてもう一方、別室からおなじみ、白鷗大学教授、岡田晴恵さんです、よろしくお願いします。

岡田

よろしくお願い致します。

菅原

西村さんは、自民党新型コロナ対策本部の本部長として政府に積極的に提言をしています。国会で岸田総理に3回目のワクチン接種について「1日100万回打つことをお示し頂きたい」と要請。その5日後、岸田総理は「1日100万回までペースアップすることを目指す」と指示を出しました。西村さん、党のコロナ対策本部が積極的に政府に対策を提言していますが、政府の対策に少し物足りなさを感じているのでしょうか?

西村

岸田総理は就任した時から先手先手でやると、慎重すぎるところは自分が責任を取るという姿勢で臨んで来られています。きょう議論があるかもしれませんが、水際対策にしても、非常に厳しい、世界で最も厳しい措置を取るなど、私はそうした姿勢は評価をしたいと思います。その上で2つあって、1つは各県の意向を非常に慎重に判断して、県の意向を尊重している面があって、例えば100万回本当にできるかどうかというところを、各自治体の積み上げを若干、待っているような感じもあります。まん延防止重点措置も、県からの要請を受けて、県の意向は尊重するけども、国がプッシュ型というか、率先して何か背中を押していくような事は今のところ、やってないようですので。

菅原

菅前総理のトップダウン型とはちょっと違う。

西村

そうですね。そういう意味で、それぞれの自治体の意向を反映して尊重する部分は、これはいいと思うんですけれども、時には政府が若干、前のめりになっても、目標を示したり、あるいは自治体の、都道府県の背中を押すということも必要だと思います。もう1点申し上げれば、岸田総理自ら、ぶら下がりで、会見を頻繁にやられています。これは総理の姿勢として非常に素晴らしいことだと思いますが、ただし、ぶら下がりですので、データを示したり、ということがなかなかやりにくいわけですので、その分を、後藤大臣なり山際大臣、あるいは尾身座長がデータを示しながら、丁寧に説明するというところを補完されると、もっと手厚いと言うか、重層的な発信になっていくと思います。

■「早く減少傾向を強めることが重要」

菅原

では最初のテーマはこちらです。「新規感染者『増加速度が鈍化』 実態を表していない可能性も」。

詳しく見ていきます。まずはきょう(2月13日)、午後6時現在の全国の新規感染者数を確認していきます。東京が1万3074人、愛知が5466人、大阪が12574人などとなっています。現段階では、過去最多を更新している都道府県はありません。1日の新規感染者数、全国では7万3351人となっています。

きょうの東京都の感染者は1万3074人、先週の日曜日は1万7526人でした。先週より減少していますが、3連休の影響の可能性もあります。ただ、この1週間、月曜と火曜は前週を上回りましたが、それ以降は前週の同じ曜日の感染者を下回っています。このような指摘もあります。アドバイザリーボードの脇田座長は「感染者数の報告の遅れや検査のひっ迫などによって、公表データが実態と乖離している可能性が指摘されている」。この数字が実態を表していない可能性があるとしています。西村さん、感染者数、どのようにご覧になっていますか?

西村

脇田所長がおっしゃったように、検査が十分に行き届いてない可能性がありますので、本来は、検査ができていれば、もっと山が高かったのかもしれません。そのあたりの実態はよくわかりませんが、そこは配慮しなきゃいけないということです。他方、感染状況を見ますと、先週今週比で言うと、東京もかつては10ぐらい行っていました。沖縄とか広島、山口、先行したところは、先週より20倍、増えたというケースがありました。その頃から比べると、東京も1.いくつ、おそらく1.1を切ってくるんじゃないかと思いますけれども、それでも1.1だとしても先週から10%増えていることになります。早く1を切ること、減少させることが大事だと思います。仮に0.8になっても今、2万人弱のレベルが数千人まで落ちるのに、約2カ月かかりますから、これはその間にかなりの感染者の数が出ますので、私は1日も早く0.5ぐらいまで、0.5になると、仮に2万人とすれば1週間で1万人、その次は5000人、その次は2500人と、数千人のレベルまで3、4週間で落ちてきますので、そのぐらいまでする事が大事だと。まずは1を切ること、そして早く減少傾向を強くしていくことが大事だと思います。

菅原

脇田さんもおっしゃっているように、公表されているデータがどこまで実態を反映しているのかという話がありますが、新規感染者数を見ながらピークアウトしているかどうかを判断していくということになるんですか。

西村

そうですね。検査がものすごく逼迫してきた時期は、段々段々、過ぎてくるんだと思うんですね。そういう意味で、検査がようやく追いついて来ている、そして抗原検査キットも1日80万回分の増産がおそらく、もうほぼ出来てきていると思いますので、そういったことからすると、かなり検査が行き届いてくることも含めて、とにかく1を切る状況に早くすることが大事だと思います。

菅原

ピークアウトはいつ頃と見ていらっしゃいますか。

西村

今週来週、この一週間ぐらいが山で、後でまた出てきますけども、ワクチンの3回目接種とスピード競争ですね。とにかくワクチン3回目を急ぐこと。それで重症化を防ぐということの、ある意味、時間稼ぎのようなタイミングにいま来ている。この一週間、山場だと思います。

■高齢者施設での死者増加 基礎疾患“悪化”で重症化も

菅原

オミクロン株「重症化リスクが低い」とされていましたが、亡くなる方も増えています。10日には175人の方が亡くなりました。連日、150人前後の方が亡くなっています(2月13日現在)。第5波の最多は1日89人でしたが、その倍になっています。感染拡大によって亡くなる方が急激に増えています。

つまり、重症化リスクが低くても感染者数が増えてしまえば、番組内でも重症者が増える、亡くなる方が増えると伝えてきたんですが、西村さん、それが現実になってきているということですよね。

西村

そうですね。特に高齢者の方が亡くなられていること、本当に残念なんですけれども、まさに基礎疾患を持っておられるような方なんですね。特に高齢者施設などで感染して亡くなられるケースが多いようですので、とにかく高齢者への3回目の接種、それから高齢者施設への対策、これを急がなきゃいけないと思います。

菅原

1月以降に東京で亡くなった方を分析すると、ある事実が見えてきました。まず基礎疾患について、77%が基礎疾患あり、4%が無し、19%が不明でした。基礎疾患の有無が判明している限りでは、亡くなったほとんどの方に基礎疾患がありました。さらに年代別でみると、80代以上が67%、70代が18%と、70代以上が全体の85%を占めています。そして、亡くなった方のワクチン接種歴ですが、2回接種済みが44%、未接種が8%、46%が接種歴不明となっています。3回目接種済みで亡くなった方は東京では確認されていません。つまり、70代以上で基礎疾患がある方が多く亡くなっている。そして、こうした方は、ワクチンを2回接種していても命を落とすケースがあるということです。

岡田さん、年齢が上がれば上がるほど、そして基礎疾患のある方のリスクが高いということがよくわかりますね。

岡田

はい。新型コロナ感染症そのものの症状は軽かったけれども、そのコロナの感染がきっかけになって、持病の糖尿病だとか腎臓の病気だとか、そういう基礎疾患が悪化して重症化する、こういう症例が多くなっています。持病のあるハイリスクの方は、高齢者に多い。高齢者に感染が広がってくることが問題です。

上山

岡田さん、これまで「重症化」と言うと、肺炎が悪化するということで、パルスオキシメーターでチェックしていましたが、基礎疾患のある方が自宅療養している場合、患者の状態をよく診て、入院、自宅療養の振り分けをした方がいいような気がするんですが。

岡田

それは基本です、ですから、医療への迅速なアクセスが大事であると。基礎疾患のある方、高齢者の方、ハイリスクの方の自宅療養は、医療者の目が届かないので避けたいのです。今回のオミクロン株ウイルスは、上気道で増えて、肺では増えにくいという性質から、肺炎のなりやすさは減ったけれども、一方で、それがトリガーになって基礎疾患の悪化がある。でも、感染者数が増大すれば肺炎になる人も増えますし、持病がある方、もしくは高齢者の方にも感染リスクがより上がる。ですから、やはり、一度は速やかに医療機関にかかって診療を受けられるシステムを担保することです。以前から申し上げている発熱外来や大規模集約医療施設などの設置が急務で、大事なことだと思います。

上山

西村さん、やはり重症化リスクの高い人は「高齢者で基礎疾患がある人」と明確です。ここにピンポイントで対策はできないのでしょうか?

西村

一番はやはり、ワクチンの3回目接種を急ぐということです。今、足元80万回ぐらいまで毎日打っているようですが、高齢者の方、この2月中に、自治体の調査では97%の自治体が対象となる高齢者打ち終わるということですから、もう2週間ほどですけれども。

上山

これは間に合うんですか。

西村

100万回では間に合いませんから、100万回を超えて、だいぶスピードアップしていますから、なんとか早く打つと。ただ、高齢の国会議員でもあったのですが、3回目接種の後、数日後に感染しているケースがあるんですね。重症化は防げますし、発症もある程度、防げるんですが、打った後、2週間ぐらい経って効果が出てきますので。ですから2月中に打ったとしても、実際、後半に打った人は3月の10日ぐらい以降ですよね、2週目以降ぐらいに効果は出てきます。そういう意味で、この3週間ぐらいが本当に山場で、感染者のピークはもうひょっとしたら近く打つかもしれませんが、重症者、あるいは、亡くなられる方は遅れてきます。そういう意味で、いわばスピード競争で、なんとか高齢者の方の命を守るために高齢者施設には重点的な対策、ワクチン接種はもちろんなんですが、かつては面会もオンラインでやっていましたけれども、去年の秋以降、感染がだいぶ落ち着いたんで、会って実際のリアルに面談されるところも増えたようですけれども、もう1度オンライン面会に徹底をすることとか、あるいは従事者の方に検査を毎日でもやってもらうことも重要です。

■【独自証言】入院できない高齢者施設

菅原

続いてのテーマはこちらです。「数字では病床が空いているのに…高齢者が入院できないケース」。

こちらを詳しく見ていきます。東京都の病床使用率ですが、58.6%となっています。さらに重症病床の使用率、国の基準で41.6%、人工呼吸器を装着しているなど東京都の基準では11.2%です。

ただ、この数字が実態を表していないという指摘があります。話をしてくれたのは都内の介護施設の施設長です。この施設はこれまで、徹底した感染対策で感染者を出していませんでしたが、今回は感染者が出ました。その時の対応が、非常に大変だったと言います。

具体的に見ていきます。入所者に発熱などの症状があり、施設内で検査したところ陽性になりました。高齢者で重症化リスクが高いので、病院に直接、入院させてほしいと連絡するも受け入れられないので施設で診て下さい、こう言われたそうです。公表されている数字では空きがあるはずなのに、ハイリスクの高齢者でも入院できなくなっているといいます。ちなみに保健所は何度電話してもつながらなかったそうです。ただ、施設で診て下さいと言われたのですが、4人部屋しかなくて隔離できない上に利用者は1人で生活できない人なので、介助を通じて職員にも感染、さらに施設には医師が常駐していない状況でした。施設内で療養するのは非常に大変だということです。さらに、容態が急変した時も、救急車の到着まで40分から1時間、入院先が決まらず戻ってきたケースもあったということです。

 

さらにこんなケースもありました。入所者がコロナ以外の病気が悪化した時、検査して陰性でも受け入れを断られる。厳しい状況について介護施設の施設長は「3週間くらい前からこうした状態。東京の病床使用率を見ていて当てにならないと思う。実際に受け入れてもらえていないので、病床はあっても医師や看護師が足りていない状態だと思います」こう話していました。岡田さん、高齢者施設で感染が起きても入院ができない、相当厳しい状況ですね。

岡田

高齢者福祉介護施設は医師が常駐している医療機関ではございません。医師の往診をお願いするなり、受診するなりして、薬の処方や治療をするということになります。医師が嘱託であるということもあります。看護師はおりますが、医師がいないと、薬の処方もできないし、なかなか治療も開始できない。そのような状況下で流行時には、医療も逼迫していて往診も受診も難しい。そのような状況下で、感染力の強いオミクロンではどうしてもウイルスが侵入してくる。ひとたび感染者が出ると、やはり共同生活なので、どうしても感染が広がりやすい。歩き回る方もおられます。ですから、こういうところに先ほど西村先生もおっしゃいましたけれども、やはりテコ入れをしていく政策というのが急務と思っております。そもそも新型コロナは高齢者施設や病院で、健康被害が増大することは欧米諸国の第1波からあったことです。オミクロンではそれがよりこの日本で顕在化しています。

■「テレワーク強化やオンライン教育で時間稼ぎを」

菅原

リスクがある人同士でうつしてしまうという状況になってしまっていますよね。杉田さんは、どうご覧になりますか。

杉田

やはり、国民に伝えるメッセージ力が足りないと思うんですね。特にワクチンとの関係で言うと、やはり、ワクチンが伸びていないということの1つに、選択してしまうというのがありますよね。ファイザーの予約が早く入ってしまうということです。あの辺の部分は、まさに政治のリーダーシップで、もっともっと安全性を公開する形で、国民に向けて働きかける、そういう努力が必要だと思うんですけれども、この辺というのはどうなっているんですかね、この政権の中においては。

西村

ファイザーとモデルナの交差接種、違う種類を打っても大丈夫だということ、むしろ効果が高いというデータもありますので、そういうことを含めて丁寧に説明したり、今の医療の状況を丁寧に説明したり、あるいは感染状況も1.1倍ぐらい、もう1を切るかどうかぐらいまで、もう少しのところに来ているということも含めて、私の時はパネルで毎日のように状況を説明していましたけれども、そういったことを含めて対応をすれば、より国民には伝わっていくんだろうと思います。

杉田

本当におっしゃる通り、この3週間がまさに本当の山場だと思うんですね。ですから、これをぐんと下げるか、ダラダラ行ってしまうかの天下の分け目だと思いますので。

西村

そうですね。

杉田

そこにおいては、国民が一致団結して行動を起こさないと、なかなかコロナは手強いので終わらないような気がしますので、そこはもう是非、政府からメッセージを明確に出してほしい。

西村

なかなか、特に若い人にとっては風邪のようだとか、季節性インフルエンザのようになってきたということで、緊急事態のような強い措置がなかなか理解を得られない面がありますから、テレワークをもう一段徹底するとか、あるいは学校もオンライン教育、オンラインで、これは2年前から GIGA スクール構想でやってますので、そういったことを徹底することで、なんとか時間を稼ぎながらワクチン接種を進めて、重症化を防ぐというところをやる必要があるんじゃないかなと思います。

■病床ひっ迫「大規模な医療集約施設を」

菅原

もう病床が公表されている数字よりも逼迫しているんじゃないかという指摘、これは以前から同じような話が繰り返しあるように思いますが、根本的な原因というのは何だと思われますか。

西村

前回、去年の夏からなかなか病床が増えないことの一番の要因は人材でした。看護師さんが足りない、医師も足りない。今回、その反省の教訓の上に立って、人材もしっかり確保して病床も確保するということでやってきています。ただ、おそらく想定以上に色んなことが起こった。1つは、濃厚接触者であったり感染者の数がここまで増えましたので、看護師さんも含めて相当待機をしている方が多いんじゃないかと思うんですね。ただ、医療従事者については、毎日検査をすれば従事できるということにしていますので、そういう意味で今回、後で出てくるかもしれませんが、東京、大阪にも200人で看護師さんを国から派遣することにしました。やはりここは、国が言わばプッシュ型で、自治体の要請を待たずに、どんどん看護師さんも一応3000人確保していますから、その中で待機されている方もいると思いますが、送れるところをどんどん手配をして送っていくような姿勢が大事だと思います。

菅原

実は自民党コロナ対策本部から総理に9日、「臨時の医療施設含め医療確保」などの対策を要請しました。そして同じ日、岸田総理が東京、大阪に「臨時の医療施設の設置」を要請しました。結果、東京に660床、大阪に350床、軽症・中等症Ⅰ向けの臨時の医療施設を開設。国が看護師などの医療人材を派遣するということが決まりました。これがまさに西村さんのイメージされていたものということでよろしいですか。

西村

そうですね。

上山

そして東京と大阪の臨時医療施設の内容をみてみますと、対象者は東京都が自宅療養中の高齢者妊婦などの重症化リスクの高い人、大阪府は軽症・呼吸困難や肺炎がある患者です。軽症から中等症Ⅰという方が対象のように見えますが、岡田さんはかねてから臨時医療施設が必要だと言っていました。自治体も動き出しているように見えますが、これについては評価されるのか、まだ足りない部分があるのか、この辺りはいかがですか。

岡田

夏の5波の時にも大規模な集約医療施設が必要だろうと、この番組でも当時の厚労大臣の田村先生も議論されておりました。多くの患者さんが発生してしまった場合に、いかに限られた医療従事者で効率よく、医療を確保するということを考えないといけません。コロナ以外の一般の医療がひっ迫してしまうと、その別の疾患の患者さんの診療に影響を出してしまうので、一般医療以外に、別に大規模集約医療施設を設置する。やはり、これはどんどん、秋の感染者の少ない10月11月にも拡充して準備すべきだったと思います。そういう議論がされていました。そこでは、やはり軽症・中等症Ⅰだけではなくて、施設には酸素配管をして中等症Ⅱまで診れるようにするというお話でした。こういうことを国がプッシュ型で作っていくことが大事で、自治体では無理なのではないかとも思います。

また、保健所の逼迫ももう長く続いています。ご苦労をされていると思います。ですので、公務員である自治体の職員さん、それから保健所の職員さん、それだけでは、なかなか人材が回らないならば、やはり民間の力も借りながら、官民一体型で、今後を見据えて作っていくことが大事ではないでしょうか。大規模集約医療施設も酸素配管をしておいて、普段は体育館や公共施設でも、いざ、感染者が増えてきて、必要だという時に恒常的に使えていくような施設を作っておくというのが今後のパンデミック対策としても必要だろうと思っております。備えとしてです。

■「国も3000人看護師を確保 プッシュ型で」

上山

西村さん、いかがでしょうか。こうした施設、作ってはいるんですけれども、今おっしゃったように、肺炎の方で実際に酸素吸入が必要な方となると、少し対応が難しくなってくるんじゃないか。そういった施設を増やす必要があるんじゃないかという岡田さんの提案、これについてはいかがですか。

西村

昨年の夏からの大きな流行の時に、全国で数十箇所の臨時の医療施設が設けられました。私と田村大臣で、とにかくそれは維持してくれと。もちろん患者は減ってきましたので、ずっと動かす必要はないんですが、いざ、今回のようにオミクロン株はこれだけ増えてきたわけですが、今度、増えてくる時に、それは使えるようにしておいてくれと。かつ、そのための看護師さんとか、医師とかの段取りをしっかりしておいてほしいということを、自治体にはずっと申し上げてきましたので、ある意味で、そういった準備は自治体の方でしっかりしてきたと思います。それを今まさに実現をする時だと思います。去年の夏も、酸素吸入が必要な中等症の方がものすごく増えたわけですね。そのために、酸素吸入の設備であったり、あるいは配管であったりということも対応してきましたし、それは国が全面的に支援をして、資金的にも支援をして行いますので、そういう意味で、今回、東京と大阪でこのような形で約1000床を増やしていますが、他の自治体でも同様の対応をすべき時だと思いますし、国が看護師さんについては3000人確保をしてきてますので、そのうち待機されてる方もいると思いますが、是非、いわばプッシュ型で派遣もしながら対応するという姿勢が大事だと思います。

上山

杉田さん、いかがですか。

杉田

このコロナについては、いつも出てくる数字と、その確保したとされている数字、病床だけでなくて色んなもの、その数字と、現実の、実際の病院や保健所から上がってくる悲鳴ですね。このギャップがすごくいつも大きい。今回も、東京と大阪の数字も本当に大丈夫なのかなというのが正直な思いとしてあるんですよね。それで西村さんがおっしゃった通り、これは本当に継続的な態勢として作っていくということで決まって、自治体にも下ろしたと。それがやはり、これも中央というか政治の問題かもしれませんけれども、なんとなく峠を越えたとなると、緩んでしまうことがある。もういいんじゃないかと、平常に戻ろうよ、みたいな雰囲気ですね。その辺はどうなんですか、実際に、継続的な、今後何が起きても大丈夫だという態勢をずっとキープできるのかどうなのか、というとこなんですけどね。

西村

まさに昨年の10月から11月、12月にかけて、感染者が減りましたので、全体的にかなり乗り越えてきたんじゃないかと、コロナの終わりの始まりという人も、何人か、私も実際に聞きましたし、そんな雰囲気がありました。しかし、岸田政権は、まさに昨年夏の経験を踏まえて病床も3割増やして、3万7000人まで入院できる態勢を作ってきていますし、臨時の医療施設についても、数千人の規模だと思いますけれども、各自治体にしっかりと話をして、それぞれの都道府県もしっかりと人材も確保して、それだけの病床を確保しているということでした。そういう意味では、危機感を持ちながら対応してきてはいると思うんですが、おそらく医師・看護師、相当感染が出て、あるいは濃厚接触者もあって、人材がうまく融通できない場面があるんじゃないかなと思います。繰り返しになりますけど、毎日検査をして陰性であれば従事できることになっていますので、そういったことも、自治体によって若干、温度差があるようですから、ぜひ医療従事者の方は検査を毎日やってもらって、陰性であれば対応して、ということで進めていただければと思います。

■「やらなくてはいけないのは子供と高齢者への対策」

菅原

死者を減らすため、病床のひっ迫を解消するため、新規感染者を減らすしかないという声があります。ピークアウトしても、それだけでは喜べない可能性があります。この後、このように一気に減る「マッターホルン型」か、高止まりが続き、減少が緩やかな「富士山型」かということで、2月9日の自民党のコロナ対策本部で西村さんは「減少傾向に行かない場合、ダラダラ行ってしまった場合、短期間でも強い措置で感染を抑えるということを含めて、備えだけはして頂きたいと思っています」こう話しています。ズバリ聞きます。西村さん、「短期的でも強い措置」というのは、緊急事態宣言が念頭にあるということでしょうか。

西村

備えはしておかなきゃいけないと思っています。というのも、繰り返しになりますが、仮に感染の減少スピードが、減少にまず転じることが大事ですよね。そこから、だらだらだらだら、これは尾身先生も、「富士山型」になる可能性があるという指摘をされていますが、そうなると、場合によっては1カ月2カ月、0.5でも1カ月程度かかってしまいます、東京の場合、1日数千人にまでいくのに、ですね。ですから、2カ月間もだらだらだらだら下がっていくと、その間に重症者、亡くなる方もかなり増える可能性があります。3回目の接種、高齢者に、特に2月いっぱいで行き届かせれば、3月のある一定時期からはかなり効果が持つと思いますので、そのために時間稼ぎが私は必要だと思うんですね。そのために、もしダラダラいきそうな場合、あるいは減少にならない場合は、緊急事態宣言で非常に強い措置を、これは1カ月もやる必要はないと思います、今回のオミクロン株は足が速いですから。そういう意味で、土日を挟んで一週間とか、そんなタイミングで、先ほどの学校のオンラインの徹底とか、これは地域によって一斉に休校する必要ありませんが、感染が拡大している地域は休校措置など含めて、私は、対応は、備えはしておかなきゃいけないと思います。

菅原

これまでの飲食店の休業要請、時短要請、こういったものはあるんですか、イメージとしては。

西村

今、もうすでに夜間の人流はかなり減ってきていますし、飲食店でのクラスター自体は減ってきていますので。そういう意味でやらなきゃいけないのは子供対策と高齢者対策。これは二極化と言われたものですが、高齢者対策は先ほどの高齢者施設での対応と同時に、高齢者に行かないようにするために、昼間の人と人との接触機会を避ける、そのためのテレワークの徹底みたいなことを、私は広く呼びかけてやるのが大事だと思います。

■経口薬が新たに承認されたが…

菅原

続いてのテーマはこちらです。「待望の「飲み薬」承認も…“使用制限”の多さに懸念」です。

木曜日(2月10日)、厚生労働省がファイザーの飲み薬「パクスロビド」を特例承認しました。入院、死亡のリスクを89%低減させるもので、発症5日以内の軽症、中等症の患者が対象となります。非常に高い効果を示していて、「ゲームチェンジャー」として期待されていますが、その使用には多くの条件がつきました。特に気になるのは、併用できない薬の多さです。主なものですが、「片頭痛」「関節リウマチ」「脳卒中など」の薬があります。中でも、新型コロナの重症化リスクが高いとされる「高血圧」「不整脈」「高脂血症」、こうした薬も含まれています。岡田さん、なぜこんなに併用できない薬が多くなるのでしょうか。

岡田

パクスロビドにつきましては、リトナビルという HIV の薬が一緒に配合されています。これは薬物代謝酵素の働きを阻害するということで、なるべく薬の血中濃度を維持しながら、薬効を増強するという効果があります。ただそれは、同時に他の薬、たとえば持病の薬で飲んでいるようなお薬に対しても、この代謝酵素が関与している場合には影響してしまうので注意が必要ですということです。これは飲み合わせだとか、薬の量だとか、それから別の薬に替える等の対応が必要でです。しかし、リトナビルそのものは HIV の薬としては長い経験が感染症の医師の中に蓄積されていますので、そういう経験を活かしながら使っていくという選択肢になるんではないかなと思っております。使える新型コロナ薬が増え、その効果があるというカードを増やすことは大事なことなので、このような薬の性状も認識しながら、現場で使えるようになることは大事です。

菅原

なるほど。持病などで飲んでいる薬が強くなり過ぎてしまうということですが、重症化してしまいやすい方が新型コロナにかかってしまった時には、この薬かどちらかを選ぶということになるんですか。

岡田

やはり、その方の体調とか、あとはコロナの薬も複数ございますので、主治医の先生がその患者さんを診て判断していくということだと思います。

菅原

別の薬も考える、という事ですね。

岡田

主治医が患者さんへの診療の中で判断していくことです。

菅原

さらに服用に注意、または服用しないよう求められる人として、12歳未満の方、腎機能障害の患者、喫煙者なども挙がっています。西村さん、期待の大きい飲み薬ですが、「ゲームチェンジャー」になり得るのでしょうか。

西村

効果は、9割近く重症化を防ぐということで、非常に高い評価がされていますが、ご指摘のように、手軽に気軽にどんどん飲んでいいというものではないんですね。ここは医師とよく相談をし、医師の判断で対応することになりますので、重症化リスクのある方にはもちろん効果あるんですが、その辺りがなかなか難しい薬ではあるということですね。

■国産“経口薬”の特例承認あるのか!?

菅原

この一点に頼らず、複合的に考えなければいけないですよね。そうした中で、塩野義製薬が厚労省に開発中の経口薬、飲み薬を来週末か再来週に承認申請するとみられています。この飲み薬、試験では非常に高い効果が示されていて、軽症・中等症患者69人に投与したところ、6割~8割の患者でウイルスが減少したといいます。他の薬との併用については未定です。効果の高い国産の飲み薬があと一歩で使えるようになる、そんなところまできたということです。

ただ、承認がいつになるのか、ということですが、西村さんは、この経口薬を2月中にも承認すべきと国会で話しました。岸田総理は5日後、7日の衆院予算委員会で「条件付き承認制度」も含めて迅速に審査すると答弁しました。この岸田総理が言及した「条件付き早期承認制度」ですが、承認申請時に、一定程度の有効性と安全性を確認した上で、製造・販売後に有効性・安全性の再調査を実施する。つまり、一定程度の有効性と安全性を確認して承認し、その後は使いながら、有効性と安全性を見ていく、そうしたことで承認を早めるというものです。西村さん、2月中に承認できそうですか?

西村

塩野義が今、お示しになったように、69人のまず第2、第3層の第一段階のデータを公開したんですね。その次の段階で今、約300人の治験を実施していますので、そのデータがどのタイミングで出てくるかですが、これも厚労省に提出されると思いますので、そこで69人プラス300人ですから、それなりの人数になってきますので、そこで一定の有効性が、安全性と有効性を判断しなきゃいけないんですが、そこで評価をされれば、私はまさにこの2月が山場ですので、私は早く承認をすべきだと思ってます。

菅原

これは総理自ら迅速に審査すると、政府の方針がある意味語られたわけで、それでも確実とは言えないんですか。

西村

そこは塩野義がどういう形でデータを出してきて、そのデータ次第というところはありますので、もちろん今の段階で確約はできないと思いますが、第2層3層の第一段階の69人のような良いデータが出て来れば、これは政府としても判断をしていくと思います。

■ワクチンの間隔短縮「新たな薬事承認も」

菅原

そして政府の遅れを指摘する声が強い「3回目のワクチン接種」です。接種率は10日の時点で7.9%と低いのですが、このように1日の接種回数は徐々に増え、80万回を超える状況になってきました。

こうした中、3日、自民党は「2回接種後6か月を経過していない、65歳未満の若年層にも至急接種を可能とするべき」と、2回目から6カ月経過していない65歳未満に接種を拡大するべきと緊急提言をまとめました。これに対して、松野官房長官は「6カ月を待たずに3回目接種をすることについては現在、薬事承認で認められている接種間隔が6カ月であることから、慎重な検討が必要であると」話しています。これに関しては西村さん、どうしてこういった提言が出されたんでしょう。

西村

海外ではもう4カ月とか、もっと早いところも国によってあると思いますが、かなり前倒しをして、期間を短くして接種を進めているところがあります。松野長官が言われたように、日本の薬事承認は6カ月を経ってからということになってますが、私はこの2月、それから3月がかなり、ワクチン接種が今後100万回を超えて上がってきた時に、きつくなってくると思うんですね。高齢者に大体、行き届いてくるとすれば、特にモデルナに対して、まだ人気がないというところがあって、これは丁寧に情報提供して、モデルナも出来るだけ打ってもらうということですが、空きがある場合に、エッセンシャルワーカーであったり、現役世代であっても今後、状況を見て、3月以降、6カ月より短い期間でも、場合によっては薬事承認をして行うこともあってもいいんではないかと思います。

菅原

岡田さんはどう思われますか。

岡田

私も西村大臣と同じ考えでございますが、まずは3回目の接種を急ぐ。一方で、今のワクチンは、武漢のウイルスで作ったワクチンでございますので、オミクロンはすでにかなりの変異がS蛋白に入っております。やはりオミクロン株で作られたワクチンの日本への確保も先手を打ってお願い致したいということともございます。さらに今後、仮に6波がピークアウトしたとしても、やはり PCR の検査数を1日に100万回ぐらい、欧米諸国並みにできるようにする、それから検査キットは国家備蓄する。繰り返しますが、大規模施設に酸素配管して集約医療施設を整備する等を、国主導で都道府県、自治体に作っていくとかいう政策をお願いしたいです。そういう事を備えとして、ピークアウトしてもやって行って欲しいと思っております。オミクロンのこのウイルスが最後になるかどうかも不明です。さらにコロナとは異なるウイルスでパンデミックが発生する可能性は今後も十分あります。また、ワクチンも薬も接種、投薬後の4相試験を国の責任として長く見て行くこともお願いしたい。

菅原

西村さん、まさに6波が今まさにピークにきているのかどうかというところですけれども、第7波、第8波、こういったものも含めて先手を打って政府というのは動いて行く必要がありますよね 。

西村

そうですね。まさに変異株はどういった形でまた発生するか、このオミクロン株もこれまで我々が経験したアルファ株、デルタ株とその延長線にあるのではなくて、別のところから変異で出てきていますので、色んなことが起こるわけです。オミクロン株は重症度が低いと言われていますが、今後また重症化する率が高い変異株も出るかもしれませんので、色んなことに対する備え、そして、これまでの経験をしっかり生かしていくということは大事だと思います。

(2022年2月13日放送)