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#148

軍事力増強の中国 「軍民融合」戦略の深層

日本学術会議をめぐっては、会員の任命拒否の理由について、国会でも審議の対象になりました。2020年10月25日の『BS朝日 日曜スクープ』では、この問題に絡んで取り上げられた、日本学術会議と中国科学技術協会の覚書に焦点を当てて、中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉さんとともに特集しました。中国のハイテク国家戦略「中国製造2025」と、軍事力増強と経済発展の両立を図る重要戦略「軍民融合」が浮かび上がってきます。

■「日本国民よ、現実を直視しようではないか」

山口

きょう、番組ではここから、日本学術会議のあり方をめぐる議論で遠藤さんが指摘された中国側の戦略について掘り下げていきたいと思います。遠藤誉さんは「『日本国民よ、現実を直視しようではないか』と言いたい」とブログに書いています。遠藤さん、これはどういうことでしょうか?

遠藤

実は、習近平政権の柱の一つは軍民融合戦略なんですね。この軍民融合戦略を実行するにあたり、その疎外要因となっているのを打破するために反腐敗運動というのをやったのですが、それを日本では権力闘争だと大合唱したものですから、その裏にある軍民融合戦略というのがどういうものか、というのが全く見えなくなってしまっている。それを浮き彫りにさせたい。たまたま日本学術会議の問題がそれを浮き彫りにせざるを得ないというところに我々を追い込んでくれたので、その意味では非常に意義のあることで、きょうの番組では皆様とともに掘り下げていきたいなと思っております。

上山

日本学術会議が2015年に中国科学技術協会と交わした覚書が問題とされました。 日本学術会議と中国科学技術協会は「相互の関係を強化し、個人の研究者、及びその関係者間のつながりを育むことは望ましい」としたうえで、「研究者間の交流」や互いの研究者が参加する共同ワークショップ、セミナーの開催などを掲げています。さらに、推薦された研究者を通常の慣行に従って受け入れるとしています。自民党議員は軍事転用が危惧される中国の団体との覚書だと、問題視しました。それに対して、日本学術会議元会長の大西隆さんはこう答えています。大西隆元会長は、覚書に関して、「(中国科学技術協会と)覚書に基づく活動実績はありません。なぜ結んだのかというと向こうの求めに応じて結んだ、相手から要望されれば断ることもないだろうと」としています。

山口

日本学術会議と中国科学技術協会が交わした覚書、遠藤誉さんはこの覚書を交わした時期に注目しているんです。日本学術会議と中国科学技術協会が覚書を交わしたのは、2015年9月でした。実は、その年の5月には、「中国製造2025」が正式に発表されており、さらにその2か月前の3月には「軍民融合発展戦略」が正式に発表されていたんです。遠藤さん、2025年を目標に製造業のハイテク化を目指す「中国製造2025」は、この番組で何度も説明をして頂いていますが、「軍民融合発展戦略」とは、どんな戦略なのでしょうか?

遠藤

そうですね、軍民融合戦略というのはどういうことかと言いますと、経済の発展と国防を強化することを、同時に一体化させてやりましょうということです。国家の安全を守るためには国防力を増強させなければならない、国防力を増強するには、膨大な国防費をそこに注がなければならない、となると一般人民の経済生活を圧迫する。そこで、軍事産業と経済活動を一体化させて、軍と民がタイアップして、両方を発展させて国を強化していこうということなのですが、実は中国というのは1949年の建国以来、軍事産業に関してはソ連の方式を使ってきたんですね。

ソ連の方式っていうのはどういうものかと言いますと、かつてアメリカとソ連、米ソの冷戦時代がございましたよね。その時には、ソ連というのは何が何でも国防を強くさせなければならないので、膨大な国防費を注いでいた。ところが、その軍事産業を全部、国営企業に任せていたのです。国営企業というのは非常に能率が悪く、非効率的なんですね。そのためにソ連の国民経済を圧迫して、ついにソ連は崩壊してしまいました。皆さんご存じのように崩壊してしまいましたね。

そこで中国は何が何でもこのソ連の軍事産業の方式から脱却したいということで、軍民融合政策の方に動きたいと思って、改革開放を唱えた鄧小平さんも、実は軍民融合をやろうと思って一生懸命やったんですけれども、ところがハイテクの力がとても及ばなくて失敗してしまったんです。

その後、江沢民の時代になりましたね。江沢民政権というのは、もう本当に腐敗腐敗腐敗で、軍を牛耳ってはいるのですが、巨大な利益集団を作ってしまってですね、さらに胡錦涛の時代になっても結局、軍に関しては江沢民が牛耳っておりましたので、20年間に渡って江沢民が腐敗集団、利益集団を作ってしまった。それも全部国有企業ですので、国有企業がゾンビ化してしまいました。

国有企業は中国全土に10万ぐらいありますので、もう大変な腐敗の泥沼に追い込まれてしまって、このままでは中国はもちろんアメリカに負けるだけでなく、一党支配体制もやがてソ連と同じように崩壊してしまうだろうという危機感が習近平にはありました。そこで2012年の11月に第18回党大会があって、中国共産党中央委員会総書記に習近平が選ばれるわけですが、その瞬間からですね、彼は軍民融合というのを唱え始めました。ところが軍民融合を進めるには、利益集団、国有企業の色んな既得権益集団、特に軍を中心とした利益集団を排除してしまわないと軍民融合することができません。そこで「虎もハエも同時にたたく」という反腐敗運動というのを大々的に行いまして、それで、その人たちを全滅させたんですけれども、日本では、これは権力闘争だというので、みんなが権力闘争、権力闘争で大合唱したものですから、その陰に隠れているのは実は恐るべき軍民融合戦略だったということを見抜くことが出来なかったわけなんですね。それを見えなくさせてしまったのがこの権力闘争論ですよね。

ようやく2013年、それから2014年に、この腐敗で軍を牛耳っていたような人たちをほとんど逮捕して終わったので、一応、そこで2015年3月に国家として正式に「軍民融合発展戦略」というものを発表して、それと同時に打ち出していたのがハイテク国家戦略の「中国製造2025」だったのです。

■“2015年に中国科学技術協会と覚書”の意味

遠藤

「軍民融合発展戦略」と「中国製造2025」、これは同じ2015年に発表されたわけなんですね。これをやるのは両方とも「ハイテク」ということが重要なんです。軍民融合にしても、もしこれがハイテクでなくて、たとえば大きな戦車を作るとか、あるいは大砲を作るとかそういうようなものだと、小さな、目に見えないようなナノメーターの領域のハイテクの成果などを「民(みん)のものなのか、あるいは軍のものなのかがわからないような形で橋渡しして、転用していく」ということは、なかなか困難なわけですよ。そのためにハイテク国家戦略というものの中で、軍民融合が進んできたわけなんですね。この中で実は、ちょっと遡るんですが2013年に民間の、民の中国科学技術協会というものと、それから中国工程院が提携いたしました。

山口

ここですね、2013年。

遠藤

はい、そうです。この中国工程院はまさに国務院直属のアカデミーで、「軍民融合発展戦略」も、また「中国製造2025」もこの中国工程院の院士の人たちが、最もハイレベルな頭脳なんですけれども、この人たちが中心となって設計していったものなんですね。この中国工程院と中国科学技術協会がタイアップし、かつ本当はもう1つあるんですが、中国工程院ともう1つ、中国人民解放軍の管轄下にある中国軍事科学院がありまして、2017年にその傘下に国防工程研究院が設立されました。実はこの国防工程研究院と中国工程院がタイアップして人事交流も、同じ人が兼任しているというケースもありまして、非常に強くタイアップして動いていますので、日本学術会議が中国科学技術協会と覚書を結んだということは、すなわち、中国工程院と繋がっているということであり、中国人民解放軍と繋がっているということになってしまうわけです。この流れの中で、両方とも2015年なんですが、2015年9月に、おまけに中国からのオファーで、どうかその覚書を締結しましょうよと言ってきたというのが、一体どういう流れの中にこれが位置づけられているのか、その覚書が。これが非常に鮮明になったと思うんですね。二国間のものは他に沢山ありますと、大西さんという方はおっしゃっておられたように思うんですけれども、その他の国との二国間というのと、中国との二国間、この狙いを定めた中国が日本にやって来たというこのオファー、それとはもう全然レベルの違う話でして、そのことを、私たちはこの時系列の中にしっかりはまっているんだということを直視しなければならない、そのように思います。

山口

遠藤さん、つまり遠藤さんは時期に大変注目していらっしゃって、日本学術会議は2015年9月に中国側からの求めに応じる形で覚書を交わしている。まさにこの2015年というのは「中国製造2025」、それから「軍民融合発展戦略」が発表された、まさにこういう時期に、向こう側から寄ってきて覚書を交わされたことの意味を考えなくては駄目だという事でしょうか。

遠藤

はい、まさにその通りです。その事実を直視しましょう、ということです。

■習近平国家主席が繰り返した「平和を守る」

山口

そして遠藤誉さんは、この「軍民融合」こそ、習近平政権が軍事力増強と経済発展を両立させた重要戦略だと指摘します。

上山

今年9月にアメリカ国防総省から中国の軍事力に関する報告書が出されました。地上配備型の中距離ミサイルは、現在、中国が1250発以上配備し、対してアメリカは、ロシアとのINF中距離核戦力撤廃条約があったため、現在は300㎞のものが1種類しかありません。

山口

中国が軍事力を増加する中、習近平国家主席は、おととい朝鮮戦争参戦70年の記念式典でアメリカをけん制しました。朝鮮戦争は、1950年6月、北朝鮮が韓国に侵攻して始まり、アメリカ軍主体の国連軍が韓国を支援、中国は北朝鮮側に立ち参戦、アメリカ軍と交戦しました。習近平国家主席は、当時のアメリカを「帝国主義の侵略者」と呼び、中国が参戦したことで「アメリカ軍が戦争で必ず勝つという神話を破った。正義は必ず強権に勝つことを証明した」と語りました。その上で、トランプ政権の名指しは避けつつも「現代の世界では保護主義や圧力、覇権的な振る舞いは通用せず、最後は必ず行き詰まる」と語り、さらに軍を「世界一流の軍隊にする」との目標も掲げました。遠藤さん、今回の習主席の演説の内容、意図、どう分析されますか。

遠藤

そうですね、実は私が最も驚いたのは何かと言いますと、彼の演説の中で何回も何回も平和を守るために戦うんだという言葉が出てきたことなんです。それは中国語で「为了保卫和平」というんですけれども、「平和を守る」という意味なんですが、これは1950年に朝鮮戦争を始めた時に、毛沢東が盛んに言った言葉で、私たちはラジオで毎日のようにその言葉を聞かされて、もう本当に耳にその音がこびりついているんですよ。その時、私は中国にいて、北朝鮮の隣にある延吉市という所にいたんですけれどもね。したがってですね、それと同じ言葉を今、習近平が一昨日ですね、何回も叫んだということにハッとしたんですね。というのは、平和のために戦うって、とっても怖い言葉で、実はこれは、戦争を始めるときにどの国も、どの時代も、大義名分が必要ですので、「我々は平和を守るために戦うんだ」と言って戦争を始めるわけですよ。

そこで、その1950年、それに近い1949年に日本学術会議が設立されたわけですね。それは、戦争を二度と起こさないということのために、それを目的として設立されたものだと思うんですね。今、戦争を起こす可能性のある最も危険な国はどこかと言ったら、これは疑いもなく中国です。軍事力も経済力も強くなった中国が一番恐ろしい存在なわけで、それは先ほど、ご紹介くださったペンタゴンが示したミサイルの数、中距離弾道ミサイルですね、そういうようなものの数およびその飛距離ですね、5500kmまで飛べるんだというような、こういう発射が出来るんだというような、こういうものが1250発もあるという、全地球を覆ってしまうような、アメリカ全土を覆ってしまうというような、日本なんかも庭の中というような状況のミサイルが中国に設置されているわけなんですけども、そのような中でですね、例えば人工衛星、アメリカが仮に何かあるミサイルを持っていて、それで何か撃とうとしても、狙いを定めるときは、必ず人工衛星によってコントロールするわけですね、宇宙からGPS等でやるわけですね。ところが中国は、人工衛星を破壊するためのミサイル、これも世界1位の技術を持っているわけですよね。そう致しますと、私が反射的に「平和を守るために戦う」という言葉で思い出したのは、1949年に設立された日本学術会議のことでございまして、その平和を守る、戦争を起こさないためには、中国という国家にちゃんとターゲットを当ててですね、現状を分析し日本国民を守る、そして政府に提言するという、そういう性格を帯びたものでなければならないはずのものなわけですよね、日本学術会議というのは。ですから、そのことを、つまり日本国民の平和と国家安全を守るという義務を全く無視してしまって、時代は変わってしまったというのに1949年の時勢を考慮して付与された権利だけを既得権のように主張しているということは、あってはならないことだと私は思います。

■米FBIが警戒する中国「千人計画」

山口

今、取りざたされているのが、中国の「千人計画」に関して、アメリカでは著名な科学者が刑事訴追される事態も起きているわけですね。春名さんは、アメリカは現在この中国の「千人計画」に対して、どんな対策を取っていると言えると思いますか。

春名

そうですね。アメリカでは、サウザンド・タレント・プランっていうんですね。同じようなもんなんですけれども、ハーバード大学でああいうことがあってですね、FBI連邦捜査局はですね、これに対して非常に警戒しているんですね。特に今のレイ長官は議会証言で「千人計画」を隠れ蓑にしてアメリカの知的財産が盗まれるということをはっきり言ってますので、やはり相当警戒が強まっていると言うことができると思います。

山口

河野さんはこのあたりの中国の動き、日本としても当然警戒しなくてはいけないと思うんですがいかがでしょうか。

河野

まず民生技術とですね軍事技術が行ったり来たりする境がないというのは、世界の常識なんですね。従って、中国が民生技術は軍事に転用するなんて常識です。中国がやらないわけはない。それで、先ほど大西会長の「言われたからやった」という発言なんですけど、ちょっと想像力に欠けると思います。ここはやっぱり真剣に日本の安全保障についても考えていただきたいなと思っております。

上山

春名さん、一方で日本政府の危機意識というのは、どうなんでしょうか。

春名

やはりですね、薄いと言わざるを得ないと思いますね。今の(日本の)国家安全保障局、陣容が変わったんですけども、以前、次長をされていた方が、大学の先生をしているんですが、日経新聞に経済教室というのがあるんですが、彼がそこに寄稿されていてですね、実は日本政府は、守るべき技術、どういうものがあるかということを全体的に把握していないと言うんですよ。私はあれを読んで非常に驚きました。今は国家安全保障局にですね、その後、経済担当者を入れるようになったんですね。やはり経済担当者は最初から入れるべきだったと思います。技術関係も入れるべきだったと思いますし、やはりアメリカが技術を守るために何をしているか。中国がいろんな企業に投資しようとしているんですね。技術を持ってる企業に投資をして技術を入手しようということなんですけども、それに対しては、財務省の中に委員会がありまして、いちいちチェックしてるんですね。やはり日本もそういうシステムを作ってですね、中国からの投資に対しては、警戒の目を向けるいうことが必要なんだろうと思います。

上山

遠藤さんも、日本はもっと軍事転用への警戒をしていかなきゃいけないという指摘もなさってるわけですよね。

遠藤

はい。その通りです。経産省がホワイト国に関するリストというものを作っていて、これは輸出に関してはどういうものが軍事転用されるか、それなりに把握しておられると思うんですが。例えば教育、研究に関しては文科省の方がどのようなリストを持っているのか。どういう部品あるいは技術が軍事転用されるのかというリストを持っていて、これからどの大学が中国のどの大学とどういう協定を結んでいるのかということに関して、報告義務がないと言っておられるようですが、それをちゃんと把握しなくてはならないと。ですからそのリストをとにかく作ってほしいと私は思いますね。

■防げるのか!?日本の危機“頭脳流出”

山口

まさにこの中国へ日本の頭脳が流失してしまう、利用されてしまう。そこへの警戒をもっと高めなくてはいけないということが言えると思いますが。この議論の一方でですね。では日本の大学のあり方、研究機関のあり方、そこはどうなんだろうか。例えば今、科学者が日本での存在価値といいますか、周りの環境ですね、それが十分でないために、例えば中国から高い金額を積まれたときに、向こうのほうが環境が良ければ、流れてしまうのではないか。このあたりに問題も指摘されていると思うんですが、このあたり春名さん、どんなお考えお持ちですか?

春名

やはりそれはアメリカでも問題になっていまして、中国からの研究資金が入ってるんです、アメリカにも。それはどういうルートで伝わって入ってくるかと言うと、中国は 方々の大学に孔子学院というのを設けています。アメリカ国内でも68ヵ所あるんですね。日本でも結構あるんですね。やはりその平和友好的な交流は進めるべきだと思いますけど、やはりそういうものを隠れ蓑にするようなことがあってはならないと思いますし、やはり日本は守るべき技術をしっかりと認定をして、これを絶対に守るんだという姿勢で臨むべきではないかと思います。

山口

そうですよね、日本の科学者を国が大事にしないと中国のつけ入るすきを与えてしまうという面もあると思うんですね。

春名

そうなんです。したがってお金の問題も出てましたけど、やはり科学技術への研究費の予算は削らないということを政府が一方で言わないといけないと思います。学術会議に10億円、出しているというのは、それはそれで事実なんでしょうけど、やはり科学技術への非常に積極的な働きかけもやるべきだという風に思います。

山口

河野さんはこのあたりの日本の頭脳の流出の問題どう捉えていますか?

河野

大変問題あると思います、ただし私の立場から申し上げれば、防衛省が援助をしますと言って申し上げてるんですね。それを受けとってはいけないというのが学術会議の方針なんですよ。これはいかがなものかと。日本の自衛のための研究のお金を受け取らないと。それが中国には行くとなったら私たちは納得できない話だなと思います。

山口

今日は中国の軍民融合戦略を見てきたのですが、一方で同時に日本ではこの大学、国立大学が独立法人化されまして、科学者をめぐる環境が悪化したという指摘も上がっています。遠藤さんは今、日本政府にどんなことを求めますか?

遠藤

そうですね、まさに今おっしゃった通りでございまして。2004年に独立法人化というのを国立大学はやりまして、それと同時に、研究者の研究費というのがあるんですが、その研究費がものすごく削られた上に、科研費のような科学研究費補助金ですね、文科省からもらう、その科研費に関しても非常に偏った基準でしか下りないというような、非常に厳しい状況があって、かつ教授とか准教授になったときに、年がら年中、雇用期間に関して審査を受けるんですね。そうすると目先のことに必死になって、目先の業績を上げるしかないというような、非常に厳しい雇用条件にありますので、そこをともかく改善しませんと、中国が大金をはたいて、「あなた自由に研究してください」って言ったら喜んで行ってしまうという側面もありますので、日本はここをしっかり改善していかなくてはならないという風に私は思います。

山口

そうですよね、まさにその科学者を守ることが日本の国益になるわけですよね。

遠藤

そうです、その通りです。

山口

この問題、春名さんはどうお考えになってますか?

春名

科学者のですね、任期というのも問題なんです。採用されても長期雇用にならないという場合が非常に多いんですよ。実はあのSTAP細胞って問題になりましたけども、あの研究者はですね1年の任期でやっているんですよ、そうしますと短期的なことしか考えられないわけなんですよ、したがって、ああいう事件も起きたのかなという風に思うんですね。やはりきちんとした雇用、安定的な雇用を与えて十分な研究費を与えるということが必要だと思いますけれども。

山口

河野さん、日本の問題点というのも見えてくるという訳ですけどいかがでしょうか?

河野

科学者の方、それから学者の方ですね、そういう待遇改善やっぱり国家の宝ですからしっかりやって頂きたいなと思います。

山口

そうですよね。そこをしっかりやらないと中国がそこを見てると。

河野

そうです。付け込まれると思います。

山口

まさにこの安全保障にも関わってくる大きな問題だと思います。この科学者に対して日本がどう向き合うのかしっかり取り組んでいただきたいと思います。

(2020年10月25日放送)

■解説者プロフィール

【遠藤誉】
中国グローバル問題研究所所長。中国革命戦を経験し、1953年日本に帰国。共著に『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』

【春名幹男】
国際ジャーナリスト。元共同通信社ワシントン支局長。15年間の長期取材を積み重ね、『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬り巨悪ヲ逃ス』を上梓

【河野克俊】
前統合幕僚長。歴代最長となる4年半、自衛隊制服組トップを務める。2020年9月、初の著書『統合幕僚長 我がリーダーの心得』を出版