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#173

東京五輪 コロナ禍での懸案事項

東京オリンピックの開会式まで3カ月を切りました。2021年5月2日『BS朝日 日曜スクープ』は、新型コロナの感染拡大が続く中での、東京オリンピックの懸案事項を特集しました。

■菅総理「権限はIOC」 しかし去年3月は…

菅原

4都府県に緊急事態宣言が発出された状況でゴールデンウィークに入りましたが、新規感染者はきのう(5月1日)、東京、大阪とも1000人を超えました。開会式まで3か月を切った東京オリンピック・パラリンピックを、この状況で安全に開催できるのか、そのために何が必要か、詳しく見ていきます。では、きょうのゲストを紹介します。オリンピック・パラリンピックを夏冬8回現地で取材しています、スポーツジャーナリスト、二宮清純さんです。よろしくお願いします。

二宮

こんばんは。

                   

菅原

そして、昭和大学医学部・客員教授、二木芳人さんです。よろしくお願いします。

二木

よろしくお願いします。

菅原

変異株による新型コロナの感染急拡大に直面している中、東京オリンピック・パラリンピックまで82日となりました(5月2日現在)。こうした状況の中、水曜日(4月28日)、分科会の尾身会長が「組織委員会などの関係者が感染のレベルや医療のひっ迫の状況などを踏まえてオリパラに関わる議論をしっかりとやるべき時期に私は来たと思います」と発言しました。

尾身会長がこのように発言した背景にあると思われるのがやはり、我々国民の不安です。東京オリンピックの開催について、4月17日、18日に行ったANNの世論調査では、「7月に開催することで良い」が23%。さらに「延期した方が良い」が32%。「中止した方が良い」が41%となっています。延期、中止を合わせると73%が7月の開催に否定的な状況です。

先月23日、菅総理は「開催基準を国民に示すべきではないか」という質問に「東京オリンピックですけれども これの開催はIOCが権限を持っております。IOCが東京大会を開催することを、すでに世界のそれぞれのIOCの中で決めています」と、開催はIOCが権限を持っていて、そのIOCが開催を決めているんだと話しました。日本政府として、万が一感染者が急増した時にどうするのか、その基準を示しませんでした。

菅総理の発言ですが、確かに原則として開催都市契約は東京都、JOC、IOCなので日本政府に中止する権限はありません。ただし去年3月、当時の安倍総理がバッハ会長に「1年程度の延期を軸として検討して頂けないか」と直接提案しバッハ会長が「100%同意する」と答え延期が決定したという経緯があります。二宮さん、なぜ延期は提案できて、中止に関しては相談・提案できないのか。どのようにお考えでしょうか。

二宮

菅さんがおっしゃっていることは間違いではないんですよ。IOCが決定権者、その通りなんです、額面通りに読めば、ですね。でも、今ご指摘されましたように、昨年の3月の段階でフェーズ変わったんですよね。開催都市契約を結んでいるのは JOC、 日本オリンピック委員会、NOC(国内オリンピック委員会)ですよね。それと東京都がIOCと結んでいるわけなんですけれども、国は財政保証しているだけだったんですね。ところが安倍さんが乗り込んでいってですね、この会談でもって1年延期。1年延期はIOCのルールにないんですよ。つまり、今も非常時の状況で、これまでのルールが通用しない状況にきているわけなんですね。そこでね、本当に日本に何も言う権利はないのかと、私もゴールデンウィークの間に、もう1回、開催都市契約を読み直したんですけども、組織委員会の中で、第71項ですよね。「予測できない、または不当な困難」とあるんですよ。その中で、「本契約の条項により組織委員会に影響する本契約の締結日には予見できなかった不当な困難が生じた場合、OCOG(=組織委員会)はその状況において合理的な変更を考慮するようにIOCに要求できる」と書いてあるんですよ。つまり、これは、受け入れるかどうかはIOCの問題だけれども、何も言ってもダメですよという話ではなくて、ちゃんと「合理的な変更を考慮するように」、IOCに要求する権利はあるわけなんですね。

■「開催都市契約には『予測できなかった困難』」

菅原

今回は、新型コロナという合理的な理由があるということで、相談してもいいんじゃないか。

二宮

「予見できなかった不当な困難」というのは当てはまると思うんですよね。契約を結んでいるのは2013年の9月なんですよ。この時の契約を結んだ人たちというのは猪瀬直樹さん、都知事の。JOCの竹田会長。ジャック・ロゲさん、IOCの元会長。みんないなくなってるんですよ。いなくなってはいるけど、いなくなったからといって契約は無効になったわけじゃありませんからね。ですから、こういうことをちゃんと説明して、こういうことを今、IOCに対して要望しているんだということ。これが見えてこないから、皆、フラストレーションが溜まってんじゃないか。

菅原

そうした不安が7割の人が延期や中止という世論調査にも表れていると思うんですが、説明をなぜ菅総理はしないのか。例えば、開催するための条件を決定する立場にはないですけれども、国民に納得してもらうために示したりすることはできるわけですよね。ここまで頑張りましょう、ここまで感染を下げられれば一緒に開催してもいいですよね、そんな話をしてくれてもいい気はするんですけれども、なぜ菅総理、政府はそれを示さないのか。どのようにお考えですか。

二宮

それは私が聞きたいぐらいですけれどもね。おっしゃる通りですよね。やはりこれだけ国民が不安に思っているわけです。さっき申し上げたようにね、安倍さんとの会談でもって1年延期と決まったことで、実質上のカウンターパートが東京都から国に変わってるわけなんです。ですから私はやっぱり言うべきことはちゃんと言うとね。昔、石原慎太郎さんが 「No と言える日本」と言う本書きましたからね。これに関してはNOなんですと、これに関しては一緒に協力してやって行ってきましょうということは、もうちょっと、きっちり説明された方が国民の理解が得られるんじゃないかなと思いますね。

菅原

なるほど。日本全国の状況を見ても、大阪も医療、逼迫しています。中止というシナリオは実際にはあるんでしょうか、どうなんでしょう。

二宮

中止に関しましては、決定権者は確かにIOCなんですよ。だから日本からする場合は、「中止」は無いですね。つまり「返上」ということになります。1940年に1回ありますけれども、 IOCがもし中止する場合ですね、これも開催都市契約を読み直してみたんですけど、「開催国が開会式前又は本大会期間中であるにも関わらず、いつでも戦争状態、内乱、ボイコット……」、と書いてあるんですけれども、「本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある」ということなんですよ。この「合理的な根拠」は何だって、こうなるわけですね。これは、コロナに関して言うならば WHOがパンデミックと認めた段階で「合理的な根拠」ですよね 。ですからIOC からすれば、これを根拠にして中止することはできるんですよね。ただ IOC としては、あとで話が出てくると思うけれども、おそらく中止というカードは切らないでしょうね。

■「ワクチン戦略 国として練ってきたのか」

菅原

オリンピック憲章にはこのように書かれているんです。開催都市に契約義務の不履行があった場合には 、IOC はいつでも開催を撤回できる権利を持っている。さらに具体的に見ていくと、開催地が万全の感染対策で大会運営ができないと判断した場合には理事会を開催して中止を決めることができると、こういった文言も内容としてはあるわけなんですけれども、河野さん。なかなかこの開催基準を示さないというところは国民の不安にも繋がっているわけですよね。

河野

私も以前、政府の側にいた人間ですから、あまり言いたくはなかったんですけれども、ここに至って申し上げたいと思うんですが、この開催基準云々よりも、この五輪は世界がコロナに打ち勝った証としてやると言われてたんですよね。ならば日本が一番、安心・安全の国になってなければおかしいんですよね。そのためにはどうするかといえば、やっぱりコロナをどうするかという話で、緊急事態宣言であれば、一時的にどうこうはできるけど完全にはできないのは、もう一年間で皆、分かったわけです。だからワクチンしかないわけです。ならば東京大会を開催するためにワクチンが絶対必要なわけですよ。その戦略を国として練ってきたかということを言いたいんです。ワクチンを獲得しないと東京は安心・安全にならないわけですから、したがって、そのために必死に全力でやってきたかということなんです。何かEUがくれないとか云々言われてますけども、イスラエルはEU外ですよね、イギリスもEU外なんですよ。東京大会を目指すんであれば、日にちは決まってるわけですから、もっともっとやってこなきゃいかんかったはずなんです。それが本当にやられたかということを問いたいのと、それと河野大臣は4月12日から高齢者始めましたと、慣らし運転から徐々に始めますと言われて、今になって7月いっぱいまでに全部やってしまえという号令かけてますよね。これもね、全くフラフラしてるっていうか、言ってることがチグハグです。あともう1つ申し上げれば、日米首脳会談、菅総理がアメリカに行かれました。その時にファイザーのCEOとの協議を電話でされたと。その結果、我々が聞いているのはですね、日本との協議を加速させますということで号されたと。でも、何故これが9月いっぱい全国民のワクチンが確保できたということになるのかと。そこがまた理解できないですよね。その辺の見通しというのも、本当にちゃんとやってるのかっていうのが本当に疑問なんですよね。今から東京大会やろうとしたら、もう神のみぞ知る、感染者がどうなるか。これに頼らざるを得ない状況に来ていて、やはり今までのやり方は、私はおかしかったと思います。

上山

確かにおっしゃるように、ワクチンに対して見通しが出ていないってところが国民の不満が募っているところがあると思うんです。オリンピックの日程なんですけれども、5、6、7月とあって、7月の23日、この日が開会式なんですけれども、実はこの前の日、前々日ですね、21日から女子サッカーなどの競技が先行して始まるわけなんです。戻りましてこの5月11日には緊急事態宣言解除の予定となっているわけですけども。そして17日には IOC のバッハ会長が来日する予定です。二宮さん、このように見てみますと3カ月というよりも、実質、2カ月という感じもありまして、どの時期に判断すると思われますか。

二宮

私も分かりませんね。河野さんがおっしゃったように、本当に神のみぞ知るじゃないですけれども、緊急事態宣言が明けた後のコロナの状況はどうなってるのか、あまりにも変数が多いもんですから、今の段階でどうこう言うのは、私は早計だと思うんですけど、一つ言えるとすれば、この後に話が出てくると思うんですけど4月の間にですね、人数を決めると、大枠を決めると言ってたんですが、橋本会長がですね、残念ながら決まらなかったんですよね。これは、今年の1月の段階でIOCの方から無観客という話が出てきたんですよ、IOCからですね。セバスチャン・コーが口火を切って、その後にバッハさんもそれに追随したというところがあって、IOCの場合にはテレビの放映権料が入りますからね。ですから、ここで無観客という言葉が出てきた。これでやっぱり組織委員会あわてたんですよね。でも、無観客になった場合に、900億円まるまるチケット収入が入らなくなりますから、それで橋本会長になってからですが、先手を打ったつもりで、外国人の観客は入れませんと。

大体外国人の観客は1割か2割ぐらいなんですね。これで何とか手を打とうとしたんだけれども、そしたらまたコロナが再燃するということで、今度はだいたいプロ野球やJリーグなんか見てても、半分ぐらいは大丈夫じゃないかと。これで手を打とうとしてたんですけれども、これも第4波が来てですね、今はやはりこの最後の砦として、なんとか無観客でやりたいって流れにはなってますね。このシナリオ通りかどうかは分かりませんし、劇的にコロナが解決すればね、それはお客さんも入れるとかなるかもしれないが、現段階では 楽観的過ぎるかなと思いますね。

■“無観客か6月に判断”橋本会長の真意

菅原

まさに無観客という話でましたけれども、日本でもその話つい先日出てきたんですよね。先月28日水曜日の話なんですけれども、政府や東京都、IOCなど5者協議が開かれまして、その時に観客数の上限について、本来4月中に方向性を示す予定だったんですが、判断を6月に先送りをしました。その時に組織委員会の橋本会長が、「医療に支障をきたすような状況が想定されることになった時には無観客の決断をしなければいけない時が来るのだろうと思っています」と、このように無観客の可能性に言及したわけですが、ただその判断は6月に先送りということで、開催の1カ月前。二宮さん、この時の判断で間に合うのかどうか、この辺りも気になるんですけれど。

二宮

ここなんですね。6月という数字です、そして無観客。これ、判断を先送りすれば先送りするほど、お客さんを入れられるような状況から遠ざかるということですよね。つまり無観客に近づくということですよ。

菅原

そこから準備をしても、観客を入れたいというのは難しいということですね。

二宮

これはね、小学校の運動会じゃありませんから、明日になったら止めるよとか、そういう話ではないんですよ。まずやっぱり医療の問題がありますよね。ボランティアの問題がある。セキュリティの問題がある。あるいはチケット再抽選するかどうかっていう問題がありますから。このままロジスティックス含めてのオペレーションですよね。これは1カ月でもう間に合わないとほとんどの方が言ってますね。ということは6月に判断するということはもう無観客でやるという方向に向かっているのかなと思いますね。もしお客さん入れるんだったら、もっと早く判断しないといけませんね。いろんなオペレーションがありますから。

菅原

やることがいっぱいあるわけですからね。二木さん、例えばなんですけれども、無観客という判断をした場合、感染症対策、コロナ対策としてはどうでしょう。不安は軽減されると考えていいんでしょうか。

二木

もちろん無観客の方がある程度、マネジメントがしやすくなりますけれども、私はもう無観客は当然だと思いますね。もう観客を半分でも、3分の1でも入れてこのオリンピックを実際に開催することは、私はほぼ不可能だと思ってますね。そういう方々、すなわち観客に対して、感染に対する安全や安心を担保するということはほぼ不可能だと思います。開催となれば選手や関係者のケアで精いっぱいですので、無観客というのは大前提と考えていただいた方がいいと思います。

■「医療体制ひっ迫の気配が見えた時点で…」

菅原

もしオリンピックが開催されたらという前提なんですけれども、医療体制について反発を招いているわけです。現場から反発とありますが、大会組織委員会が日本看護協会に対して看護師500人の確保を要請していたことが明らかになりました。その中身なんですけれども、立憲民主党の長妻議員が「ボランティアで来てくださいとこういうことが書いてあるわけです」と、このように話しまして、ボランティアで500人の確保を要請していたということが分かってきました。これに対し現場から猛反発です。【#看護師のオリンピック派遣は困ります】これが今 SNS で拡散されていまして、抗議の動き、どんどんどんどん大きくなっているわけなんですね。

さらに火に油を注ぐように、菅総理大臣もこんな話をしました。確保要請について質問された際に、「看護協会の中でも現在、休まれている方もたくさんいらっしゃると聞いておりますので、そうしたことは可能だというふうに思ってます」と。おそらく事務的に、ただ答えただけだったような感じだったんですが、これまた批判を浴びてしまっていまして、二木さん、現場ではどういった反発、聞こえてきているんでしょうか。

二木

そうですね。もう今、現実に、大阪ですと医療提供体制が崩壊したような状況で、やはり看護師さんがまだまだ足らないということで、全国から応援が行っているような状況ですね。東京もうっかりすると、これから同じような状況になりかねないということで、みんな身構えている時ですから、そういう時にこういう話が出るということは、依頼をすること自体が、医療従事者にとっては神経を逆撫でされるような要請だったと思いますね。

菅原

しかも、看護師500人という数字ですけれども、看護師不足が現場で叫ばれているわけですよね。こうした中で、通常のコロナの体制というのがこのオリンピックの影響でだいぶ難しくなってしまうんじゃないかという、こう言った声は上がってきてるんでしょうか。

二木

それはその通りですね。先ほども橋本さんでしたか、もし医療が逼迫するようなことがあれば、というのは前提でお話しされていましたけれども、やはり医療体制がですね、コロナの患者さんの数が増えてまいりまして逼迫するような気配が見ればですね、もうその時点でやはり医療提供体制、すなわち人の命を守るという観点から、オリンピックの方へ医療従事者を割くということ自体が難しくなりますね。東京だけの話ではなくて、日本全国で同じような傾向が見られるわけですから、よそから応援をということもおそらく難しいと思いますね。

■「各国選手団も医師団同行を」

菅原

ではオリンピック・パラリンピックの大会期間中の医療体制は、本来どのようになっていくべきなのか。大会期間中の医療従事者なんですけれども、文部科学委員会によりますと、のべ1万人程度の医療従事者を想定している、必要とされているとしています。一人5日間程度の参画を前提としてこの数になっているんですけれども、内訳を見てみますと、およそ3割が医師・歯科医師、それからおよそ4割が看護師ということで、のべで言いますと医師・歯科医師がおよそ3000人、看護師がおよそ4000人ということで、先ほどの500人の確保を要請というのはこの4000人のうちの500人の確保を要請したということになるようです。では1日あたりに直しますと、どれくらいの医療従事者の方が必要になってくるのか。最も多くの会場で競技があるのは7月25日だそうです。医師が300人程度、看護師が400人程度なんですが、そのうち新型コロナの対策のために割かれる人員は医師が100人弱、看護師が100人強ということなんですよね。二宮さん、やはりこの数字を見ると、本当に大勢の医療従事者の方が必要なってくるということなんですね。

二宮

そうですね。二木先生がおっしゃったように、この災害レベルの有事において医療資源をオリンピックに割くということも、理解を得るということは、これはやっぱり難しいだろうと私も思いますね。そういう中で一つ提案なんですけれども、例えば日本がオリンピックに行くときは、よその国に行くときというのは、日本の医療従事者も同伴するんですよ、随行するんですよ。数十人規模で随行するんですよね。自国の選手はちゃんとしっかり診るんですよ。ですから今回、IOCとの協議になると思いますけども、各国ちゃんと医師団を連れて来てくれと。実際も連れて来てるんだけどね、もっとね、こういう状況で日本は医療資源を割けないから、非常時だから、余裕のある国は医師を連れてきてくれとかいうことも言えるんじゃないかとは思いますね。

菅原

例年とは違うオリンピックということですからね。そして続いてですね、オリンピック・パラリンピックの新型コロナ対策のための指針というものも実はできているんですね。プレイブック第2版ということなんですけれども、こちら先月28日に公表されたものなんですけれども、選手の検査など、どうやって行くのかというものがこれに記されていまして、原則毎日にするということが新たに記されました。ちなみに第1版では4日に1度でしたので、回数が増やされるなど、さらに対策が強化された内容になっているんです。ただ、これに対しては戸惑う声も日本国内から聞こえてきているということなんですね。

実はすでに海外選手の事前キャンプなどが始まろうとしているんですが、それを受け入れる側、ホストタウンである自治体の担当者なんですけれども、「晴天の霹靂。こんな田舎で毎日検査を受けられる機械があったら知りたいです」と、このように話しています。さらに岩手県の文化スポーツ部高松課長もこのように答えています。このプレイブック見てみると、「アスリートなどと書かれている。などが誰を指すのかなど、検査の対象がどこからどこまでなのか書かれていない。罰則もあるので、こちらが対応を間違えてしまった場合、出場停止になったりしたら、大変、内閣官房とやり取りしながら読み込んでいる」ということなんですね。二木さん、やはりこういった対策、強化すればするほど、新たな課題も出てきてしまうということになりますね。

二木

そうですね。検査を参加者あるいは関係者全部に毎日やるとなれば、これはもう膨大な量になります。民間の検査会社を使ってという話があるようですけれども、民間の検査会社の人にちょっと話を聞いてみると、とてもそれ全部、対応することは困難だと。それからもう一つは、民間の検査会社と言っても、そのレベルは様々です。その中でやはり検査の質を担保しなければいけないと。非常にきちんと検査をしておられるところもあれば、ちょっと精度が落ちるところもあります。ですから、どこをどう使ってというような事もきちんと事前に詳細にチェックをしておかなければいけないと思いますが、まだその話は具体的には詰められていないと聞いていますね。また、検査をオリンピックに振り向けることで、一般の感染症の診断や診療に多少とも影響の出るようなことがあっては困ります。

■「政府が先頭に」「最大の国益は」「決断が必要」

菅原

河野さん、新型コロナウイルス対策とそれからオリンピックの開催、これを両立させていくには、先ほどワクチンの話はありましたけれども、本来どういった形が望ましいのでしょうか。

河野

本来はですね、世界がコロナに打ち勝った証としてオリンピック目指すんであれば、それを目指してやっぱりワクチン戦略を立てるべきだったと思います。これは完全に失敗したと思います。ことここに至ってはどうか、政府として、東京都がどうかというのではなく、政府が先頭に立って見通しを立てて、そして、ある時点で決断をするという、こういうことが必要だと思います。私、きょう午前中に別の民放番組で 、自民党の鴨下一郎・ワクチン担当プロジェクトチーム座長がですね、ステージ3、4だったとしても、オリンピックは囲われた範囲の所でやるので実施は可能だと、こう言われたんですよ。でも、常識で考えて、周りの日本国民が火を噴いて毎日毎日亡くなってる人がいる中で、このオリンピックという祭典をやるということになるのかと。私は絶対無理だと思います。2年前に自衛隊の記念日行事で観艦式という海のパレードがあったんですよ、計画されてました。皆さん楽しみにされていたんですけれども、その時も、台風により自衛隊は千葉県に災害派遣されたため、止めたんです。やっぱりそれは、出来ないですそういう事は。そこは、3でも4でも出来るという感覚は、これはやっぱり見通しとしてはおかしいと思います。やっぱり甘い見通しに立つことなく、そこはちゃんと見通しを付けて、ある段階で決断をするということが必要だと思います。

菅原

その判断、政府がもっと引っ張っていくべきだと、そういうところは軸としてはやっぱり変わらないわけですか。

河野

はい。東京都ではなく日本国の政府として決めるべきだと思います。これは日本国民の問題ですから。

菅原

そして二宮さん。やはり7割の人が再延期・中止という声が聞こえますが、ただアスリート目線で言うと、やはりそういった間に挟まれて、すごく寂しい気持ちなっていると思うんですよね。もしやれるとしたら、やるためにはどういったものが必要なのかとお考えでしょうか。

二宮

それはもう、国民の誰もが、本当にコロナの霧がぱっと晴れて何とかやりたいと、皆さん思ってますよ。私だってやらせてあげたいですよ。そこで本当、河野さんの意見と全く一緒なんですけれども、最後はこれはもうね、政治決断しかないと思っているんですね。どうも日本人の弱いものはね、個人的な意見だと三つあるんですね。だいたいね、外圧、お上、権威、この三つ。決まりですと言われたら何にも対抗できないんですよね。本当にIOCに対して、どれだけ交渉しているのかと。確かに最終の決定権者はIOCです。私たちには何もできません、これじゃ国益守れないですよ。最大の国益が何かと言ったらね、国民の安全と安心が最大の国益じゃないですか。そこを忘れないでね、菅さんには、最後は政治決断してもらいたい。返上にしろとかそういうことじゃないですよ。IOCとどこまで渡り合えるかって、これは正念場だと思いますよ、僕は。

菅原

そして二木さん、開催するとなれば、この感染拡大を止めるしかない。もうとにかく収めるしかないという状況ですね。

二木

その通りですね。今回、ワクチンはどうしてもオリンピックまでには間に合わないと思います。ですので、やはり感染の拡大を抑える、あるいは感染を沈静化させるということでは、これやはり私たちの努力と、あとはやはり国の決断が必要ですね。どういう状況になったらオリンピックやれるかと。あるいは、どうなったらやめるんだと。あるいは、その直前でもですね、こうなったらオリンピックは止めなければいけないと、いうようなところをお示しいただくことで、やはり私たちの心を一つにしてですね、開催に向けて努力をするという、姿勢が取れるようになると思っています。

菅原

ワクチン早く行き渡らせるという意味では、河野さん、最後に伺いたいんですけれどもこちら、切り札と言われています。東京と大阪に大規模な接種センターを設置して1日1万規模で接種を進める。これに自衛隊をなんとか活用していこうと話がありますが、いかが思われましたか。

河野

私も、今の事態は有事だと考えてますから、自衛隊がやるというのは、私はもう当然ですし、頑張ってもらいたいと思います。責任者は自衛隊中央病院長だと聞いてるんですが、あの自衛隊中央病院もコロナ患者受け入れてるんですよ。そんなに余裕があるわけじゃないと思うんですが、ただもう有事ですからね、しっかり頑張って欲しいなと思います。

(2021年5月2日放送)